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能ではいつも割れる殺生石。現実でも真っ二つに!

先日、栃木県那須町にある、殺生石が真っ二つに割れたというニュースがありました!

割れる前(画像提供:一般社団法人那須町観光協会)
割れた後(画像提供:一般社団法人那須町観光協会)

縁起が悪いと考える方もいるかもしれませんが、能では殺生石が割れるシーンはお馴染みです。

能の演目に『殺生石』があります。玉藻の前という美しい女性に化けた、狐の妖怪がシテ(主人公)の物語です。

僧の玄翁(げんのう)が、那須野の原を通りかかると、飛んでいる鳥が大きな石の上にさしかかると死んでしまうのを目にします。僧が石に近づこうとすると女が現れ、その石は殺生石といって、昔、帝に寵愛された玉藻の前という美しい女性の執心が石になったものだと言い、玉藻の前の物語を語ります。女は玉藻の前の化身で、石の陰に姿を消します。僧が供養をしていると、殺生石が二つに割れ、玉藻の前に化けていた野干(やかん。狐の妖怪)が現れます。玉藻の前は宮中で陰陽師に正体を見破られ、那須野の原に逃げ込みましたが、帝の命を受けた三浦の介と上総の介に射殺されました。その執心が殺生石となったのですが、僧の供養のおかげで、もう悪さはしないと約束して消えていきます。詳しいあらすじはこちら

能「殺生石」シテ 長山桂三 太鼓 桜井均(銕仙会定期公演 2017.7.14 撮影/駒井壮介)

アイ(狂言方)の語りや能の最後の場面で、那須野の原に逃げ込んだ狐の妖怪を退治したのは、三浦の介と上総の介だと語られますが、妖怪を退治するために狐に似る犬で百日間稽古したことが、弓術練習の一つである犬追物(いぬおうもの)の始まり、というプチ情報も盛り込まれます。

そして、この三浦の介と上総の介。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、佐藤B作さん演じる三浦義澄の父、山本耕史さん演じる三浦義村の祖父にあたる三浦義明が三浦の介、また、佐藤浩市さん演じる上総広常が上総の介とも言われています

能「殺生石」を観てみたいという方は、ぜひ足を運んでくださいね!

2022年の公演情報はこちら!

3月19日  神奈川県/横浜能楽堂 「普及公演 バリアフリー能」
3月27日  東京都/観世能楽堂「二つの世界の狐 伝統芸能フェスティバル 能X歌舞伎」
5月3日     神奈川県/金沢公会堂「第25回称名寺薪能 金澤能」
5月8日     東京都/矢来能楽堂 「観世九皐会5月定例会 第2部」
7月2日     東京都/宝生能楽堂「夏の女流能」
9月4日     石川県/石川県立能楽堂「金沢能楽会定例能」
9月10日   東京都/国立能楽堂「普及公演」
9月18日   広島県/大島能楽堂「定期公演」
9月25日   東京都/十四世喜多六平太記念能楽堂「喜多流自主公演」
11月11日 東京都/宝生能楽堂「銕仙会 定期公演」
11月27日 京都府/京都観世会館「京都観世会例会」

公演は変更する場合があります。


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