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炭焼き体験教室にて、歴史の一端を垣間見る【檜原村こよみだより 11月】
協力隊の先輩に声をかけていただき、檜原都民の森で炭焼き体験教室のお手伝いをしてきました!
2日間にわたって講師を招き、炭作りを体験できるイベントです。希望者は、できたばかりの炭を持ち帰ることもできます。
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村の周囲を山林に囲まれた檜原村は、炭焼きが主要な産業のひとつでした。その歴史は古く、室町時代の文献に、炭を年貢として納めた、という記録が残っているそうです。
多くの村人が炭を焼き、馬の背中に炭を乗せて、五日市(現在の東京都あきる野市)まで運んで、炭問屋に売ることで生計を立てていました。
昭和30年代にエネルギー革命が起き、燃料が石油やガスに切り替わってからは炭焼きをする人は減っていき、現在ではほとんど行われていません。
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今回のイベントで体験できるのは、かつて檜原村で行われていた、白炭と呼ばれる炭作りの方法とのこと。
白炭とは、一般的な黒い炭と違うもので、1000℃以上の高温で焼いた硬質の炭のことです。窯から出した炭の消火と冷却のときに白い灰をかけ、仕上がった炭が白っぽくなるためそう呼ばれています。
なかなか火がつきにくいですが、とても火持ちがよく、火力は弱いですが、遠赤外線効果でじっくりと火を通すことができ、煙や臭いが少ないので、料理に向いているという特性があります。
黒い炭と違い一度に作れる量が少なく、工程も多いため、作っている場所が非常に少ないそうです。
講師の方々が受け継いできた、貴重な白炭作りの工程を間近で見ることができるとのことだったため、先輩から話を聞いたときから今日の体験教室を楽しみにしていました。
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イベント会場の都民の森は標高1000メートル以上の場所にあり、当日は雨模様で、道中の奥多摩周遊道路は霧に包まれていました。
日中は気温17℃ほどになりましたが、その前の数日間は20℃を超えていたので、気温よりもかなり寒く感じる1日でした。
講師の方に、参加者の方々が暖を取れるように、と指示をいただき、協力隊の先輩と白炭を使ってイベント会場のいろりに火を起こしました。落ち葉や薪を火種にし、息を吹きかけるのですが、なかなか火がつきません!昔の人はこんなに大変な作業を日常的に行なっていたのだな、ということを身をもって知りました。
火がついた後も煙が少なく、とても静かに光を放っていました。いろりに近づくとじんわり暖かく、だんだんポカポカしてくる、という感覚です。
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炭焼き釜の前では、化学繊維の服が溶けたり髪の毛が焼けたりすることもある、と聞いていたので、作業中はさぞかし暑くなるのだろうと思い、魔法瓶に氷まで入れてキンキンに冷えた状態のアイスコーヒーを講師の方々に振る舞ったところ、「山でコーヒーといったらホットだろう」と優しいお叱りを受けてしまいました。
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炭を作る釜の火力の強さは、気候などを考慮しつつ煙突(空気穴)の広さを調整して行うそうです。手伝いを行った前日は火力が不足していたようで、朝の時点で炭の仕上がりが良くないとのことでした。そのため、当日は煙突を全開にして火力を上げ、イベント終了までに炭ができ上がるよう調整を行っていました。
参加者の方々に混ざって炭のかき出し作業をしましたが、その熱さに顔と体がのけぞり、次の瞬間には、額と上半身に汗が吹き出してきて、釜の前にいるときは寒さを忘れてしまうほどでした!
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イベント終了後に短い休憩を取り、次の日の準備に取り掛かりました。材料となるナラ材を、釜の奥の壁から敷き詰めていきます。それが終わると、釜に火を入れ、煙突の広さを調整します。釜の奥まで火が届き、炎が揺らめいて、煙が黄色っぽくなってきたのを確認して作業終了となりました。
たった一日の作業でしたが、ナラ材を運び終わった後は体がガタガタになりました。
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今回、私はイベント1日目のみの参加でしたが、協力隊の先輩は、数日前の準備から作業補助を行っていたとのことでした。
帰り道、いただいた白炭が車に揺られてぶつかり合い、カランカランと小気味よい音を立ていました。その白炭の音を聞きながら、檜原村の歴史の一部を垣間見たような気がしました。そして、今後も協力隊の情報発信担当として、村の歴史や文化をより多くの人に知ってもらうお手伝いをしていきたい、と改めて思いました。
【ライタープロフィール】
松本 圭史
群馬県前橋市出身。前職は在宅の介護支援専門員。2024年8月より東京都檜原村地域おこし協力隊に着任。情報発信業務を担当している。ゆず、ルバーブなどの村の特産品を使用した商品開発や、白炭を使ったコーヒー豆の焙煎をしてみたい、と構想中。