Vol.27 ADRにおいて不本意ながら西武信金と和解
2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。
さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。
要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。
この不適切な行為の問題は
融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた
経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた
しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた
結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた
この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし
私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。
2020年10月、西武信金を相手に申し立てたADR。
西武信金はADRには応じたものの、西武信金の大前提は
不正は一切していない
不動産鑑定士に対して何ら指示・示唆などしていない
西武信金が認めた258物件に私の物件は含まれていない
としてこちらの主張に対して徹底的に反論してきました。
しかし、その反論の中には、以前に弁護士Bを使って交渉していた際に主張していたこととは真逆の主張もチラホラ見受けられました。すなわち、西武信金は場面によってコロコロ主張を変えているわけです。
こちらからはその矛盾の追求やその他の主張の論破等を行ってきました。そんなADRの期日(話し合いの日)を繰り返すこと数回、仲裁人から
実現可能な譲歩案の提示してもらえないか?
という打診を受けました。
そもそもADRは裁判ではないため、白黒をはっきり線引きさせどちらかが勝ちでどちらかが負け、みたいな決着にはならず、お互いの主張から「何らかの着地点を探る」そんな場なのです。
私個人としては、白黒はっきりさせたいという思いも強く持っていましたが、そもそも西武信金に不正があったとする明確な証拠もないため、どこかで引く必要もあったのです。
また、この譲歩案にしても、こちらの主張を一方的に押し付けたところで西武信金には最後の切り札として「不調」があります。
ADRが不調としてもの別れした場合、
ADRで決着しない場合、西武信金はすぐに自らの権利を行使し差押えや競売手続きに進む可能性が高い
ADRで決着がつかなかった場合、そのあとに私が西武信金を提訴してもそれだけでは差押え・競売は止められない
私が提訴しても、この時点では西武信金が不正を行ったとする明確な証拠がないため勝てる保証はない
仮に勝訴したとしても損害賠償が認められる保証はない(勝訴と損害賠償は別もの)
ADRにて一定の条件で和解するためには、一方的にこちらの主張を押し通すことなく現実解を探る必要がありました。そこで弁護士Cと相談の上、不本意ながらまずは合意することを最重要視した結果、以下のような譲歩案を提示しました。
月々の返済額の見直し(リスケ)
ローンの支払い遅延損害金約900万円の放棄
妻の連帯保証の解除
自宅の共同担保の解除
損害賠償として一定の金額を請求することを諦める、ここは大きな決断でした。しかし、当時まだ西武信金が不正を行ったという証拠がない中では仕方ない判断でした。まずは差押え・競売に進ませないまま何らかの合意に至ることが最優先だったのです。
この譲歩案を打診した結果、西武信金の判断は
月々の返済額の見直し(リスケ) → 一部条件付きで了承
ローンの支払い遅延損害金約900万円の放棄 → 債務を遅滞なく完済した場合は抹消することで合意
妻の連帯保証の解除 → 了承
自宅の共同担保の解除 → 担保評価が足りないため却下
この期に及んで「担保評価が足りない」は全く意味不明でした。そもそも西武信金は担保評価があるとして融資をしたはずなのにそれを真正面から否定してきたのです。
新たな不動産鑑定士を使った不動産鑑定書を提出してきたのですが、そこに書かれていた評価額は至極真っ当な数字。最初からこれだったら融資できなかったのでは???
その点をさらに追求したい気持ちも強かったのですが、弁護士Cから「それによって和解に至らない場合のことを考えたら争うべきではない」と説得され、2021年4月、渋々これらの条件で和解に至りました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?