Vol.32 金融庁が積極的に情報隠蔽していたという事実
2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。
さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。
要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。
この不適切な行為の問題は
融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた
経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた
しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた
結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた
この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし
私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。
業務改善命令に至った金融検査。金融庁はこの検査によって西武信金による多数の不正融資の事実を把握したにも関わらず、その後にやったことと言えば「業務改善命令」という大甘の行政処分のみ。
金融庁は被害者救済のためにできることがもっとあるのに何もしないまま静観していたのでした。
そこで私は、金融庁が把握していた事実を明らかにすべく何度かの情報開示請求を行い金融庁の保有している行政文書を入手しました。しかしそれらは全て大きな海苔弁。
私はこの金融庁の隠蔽工作を不服として審査請求を行いました。その結果、「ほんの一部だけ」海苔が取り除かれましたので、その一部を貼っておきます。
左が最初に届いたもの。対して右が審査請求後です。
開示された部分は
今回検査
においては、信用リスク管理体制につ
いては、
賃貸用不動産向け貸出に関し、関係書類の偽装・改ざん等
を検証した。
法令等遵守態勢については、反社会的勢力の排除への取組や、マネー・ローン
ダリング及びテロ資金供与防止(以下、「AML/CFT」という。)態勢等に関し、管理態
勢及び対応状況を検証した。
経営管理態勢については、
内部統制機能の発揮状況及び理事長に対するけん制機能の発揮状況を検証し
どう見ても一般的な情報でしかありません。
しかしながら、当初の開示決定通知書に記載されていた不開示の理由として以下のような記載がありました。
嘘じゃん!
どこにも金融庁が主張する不開示理由のことなど記載されていませんでした。
さらに他のページでも同様の隠蔽があったことが証明されていました。
今回検査において、賃貸用不動産向け貸出
検証を行った。
メール
を検証した。
当金庫職員によるER___の修正指
示などの不適切な活用実態が明らかとなっている事例が、__258物件_認め
られる
127件
当金庫による債務者面談調査の結果、何らかの偽装等が発覚(73件)
このページの隠蔽は大問題であると受け止めました。
金庫職員が不動産の専門家に改ざんを指示・示唆していたのが258件、不芳チャネル(=業者)による不正の可能性のあるものが127件あったことは、業務改善命令を受けた当日に西武信金から発表されていました。
しかし金融庁からの発表では「多数」とぼやかしており、金融庁は詳細の数字は把握していない風を装っていました。
この「装っていた」と受け止める理由は、以前の質問主意書の答弁にて
お尋ねの「証拠の残っていた二百五十八物件の詳細状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが
としていたためです。
しかし、この開示によって金融庁はその具体的な数字を業務改善命令発令前から把握していたことが明らかとなりました。にも関わらず、金融庁は私からの再三の問合せに対して現在まで知らぬ存ぜぬを貫き通していたわけです。
メールを確認したところ、__258物件において
ここでも「メール」。どうやら金融庁は、西武信金と不動産鑑定士等の不動産の専門家との間でやり取りされていたメール履歴を多数保有しているようです。そしてその内容から「経済的耐用年数や修繕費用の不正を指示・示唆していた」と判断されたのだろうと思われます。
審査請求によって開示された追加情報により
金融庁は西武信金の不正の内容や件数を把握していた
その証拠となるものはメール履歴である
しかし質問主意書においては虚偽とすら思える回答に徹しており事実を隠蔽していた
結果として金融庁はいまだに被害者を無視し続けている
ということが明らかとなりました。