Vol.29 損害賠償請求の裁判、被告は本人訴訟で対応
2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。
さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。
要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。
この不適切な行為の問題は
融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた
経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた
しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた
結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた
この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし
私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。
2021年4月に不動産鑑定士を提訴した私。
そもそも裁判(民事訴訟)なんて初めての経験です。どんな段取りで進んでいくのか?とても興味がありましたが、実際には肩透かしというか、想像していたものとはまるで違っていました。
まず、裁判所にて原告・被告がガンガンやり合うなんてことは皆無!基本的には期日(裁判が行われる日)の1週間前までを締め切りに原告・被告それぞれが必要に応じて自身の主張を「準備書面」にまとめ、それを裁判所(と相手方)にFAXで提出(この準備書面の作成、送付は弁護士がやっています)。
期日には、事前に提出されていた準備書面に関して裁判官からいくつかの質問を受け、そこで明らかとなった疑問や争点に対する主張や反論をまた準備書面にまとめて提出、の繰り返し。
要するに基本は全て準備書面で裁判が進んでいきます。
第2回期日を迎えるにあたっては「原告から訴状」、それに対して「被告からの答弁書」、その答弁書に対して原告からの「第1回準備書面」が提出されているところからスタートです。
まず、被告の主張となる答弁書の内容は
原告の請求を棄却するとの判決を求める(100%否認)
でした。
対してこの答弁書をうけての原告からの第1回準備書面においては
答弁書の内,訴状記載の事実に反する部分は否認し,主張は争う
単なる被告個人の思い込み・空想の部分は認否する
と主張しました。
特に下段の部分にも関係してくるのですが、裁判においては、全てに反論する意味はありません。法的根拠に基づき正しく判断されなければならないことに関しては主張なり反論なりを行う必要がありますが、裁判とは無関係な主張は全く意味がないため、それをほじくり返す必要はないのです。
そもそもの被告の答弁書には、正にこの裁判とは無関係なことばかりが記載されていました。しかも、それらは単に無関係なだけでなく単なる被告の想像でしかないことが大半だったのです。
法律の専門家である弁護士が作成する答弁書や準備書面であれば絶対に書かれないようなことがこの答弁書にはダラダラと書かれていたのです。それもそのはず、被告は何と本人訴訟で対応してきたのです。
被告ははそれほどまでに法律の理解や裁判の対応に自信があるのかも知れませんが、原告が弁護士を入れて提訴している中、被告が本人訴訟となれば普通に考えれば原告が勝つ可能性が爆上がりです。
そして実際にこの答弁書、さらに以降延々と続く準備書面を見る限り、被告の法的な知識・実力は、裁判所が求める法的レベルに達していないことは明らかでした。
こんな状況であることから、以降も本訴訟とは無関係なこと、空想や思い込みによる被告の主張が繰り返され無駄に時間がかかることとなりました。
私は全ての期日に出席するつもりでいたのですが、第1回は単に裁判がはじまるという宣誓式のようなものだけ、数分で終わってしまうイベントということなのでこれだけは欠席、2021年8月にセットされた第2回期日から参加することにしました。
その第2回期日だけは確認することが多かったので少し時間を要しましたが、基本的に1回の期日に要する時間は10分かからないぐらい、毎回本当にあっけなく終わります。