火乃絵のたいむらいん:Day5 5/25
「My Color of Innosense」が終わり、毎日更新するものがなくなったので、その日つくった作品、原稿などをここにアップしていきます。追加で日記、備忘録、写真など。文章データは、あたうるかぎり毎日あげていくつもりです(改稿・改作含む)。
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【New!】5/26 up
内容見本
【簡易日記】卯月六日
昨日のたいむらいんを上げたあと、「偏向」6月号の編集をしていた。午すぎに寝る。夕方4じ、絵を描いているやつが来る。いやなことがあった。一週間くらい前に、コナンの映画の二回目に行ったときと、内容はちがえどこれが二度目だ——コナンのときの方がひどい、こんな邪悪がわたしたちの生活すべてを支配しているだなんて、言ったって誰も信じないし、陰謀論者にされるどころか、本当のことなので言ったら殺されるか、そうでなくてもただただ死にたくなるだけだ。今回のことだって、もうそんなことがわかったら警察を頼ることもできない。〝ぼくたちは法律を守るのに、法律はぼくたちを守ってくれない!〟というカフカの叫びしかない。いや、法律がぼくたちを殺すのだ——もう酒でも呑もうといって、缶チューハイ片手に大井町へ行き、カラオケに2時間這入る。十代のときまでとはいわないが、まあかなり荒れた。しかも、歌ってるあいだに「偏向」のグループラインに同人のイチムラから、「白石火乃絵の現在」にある、400枚のアナログ写真が白飛びしていた件について、〈400枚も一気に現像に出すのはデジタル感覚に侵食されている証拠だ、フィルムは一本ずつ現像に出してカメラとの信頼関係をゆっくり築いていくべき〉というような内容の非難が送られてきた。ただでさえ外のことでバッドに入っていたのに、これで内も完全にやられた。その通りだ。この文章は火乃絵が文章体に書き換えたものだが、これは比喩だ、火乃絵と他者との関係の。ずっとこうだ、こういう風にしか人と付き合えない。距離がとれない。このコミュニケーションの不能性は、人間関係だけでなく、セックスにもあらわれる——ようするに下手ということだ。根源的には、じぶんとじぶんの肉体の関係がこうなのだ。自傷行為てきにしか肉体を扱えない人間が、他者の肉体を愛することなど不可能だ。男女関係まですべて言い当てられている。そんなにいってくれるなよ。DigItal-AnaLog(ue)を書いているのは、おれがデジタル人間だからだ。「初音ミクの消失」をうたう。できることなら消えてなくなりたいよ….。400枚は、どうしてそうなったかといえば、わかるまい、大切なひとたちみんなと縁を切り、引きこもり生活の果てで狂ったように一ヶ月全身全霊で散歩道の撮影に打ち込まなきゃならない愚物の心が……現像に出している余裕がどこにあったというんだ? デジタルの触れないものを写つそうとしているんだ、はなから。白飛びしてたのは、完全燃焼の証拠だ。写真には映らないものが撮りたかったからだ……。もし白飛びしてなかったら、一篇の詩も書かなかったし、そもそも白石火乃絵だっていない。一本ずつ現像に出せるような人間だったら、詩も書いていないし、愛する人と別れたりすることもなかったろう。だけどそれはおれじゃない誰かの話だ。そいつは「駆け抜けて性春」なんかやったりしない。これこそがおれのアナログの現実だ。絵を描いているやつは同い年の友達と遊びにいって、火乃絵はひとり立会川へ下る。そんでもって、坂の途中で立ち止まる。「17のときからも、19、24のときからも、なんも変わっちゃいねえじゃねえか!」。サンオウ(家)に戻って来てから、午前3じまで「偏向」6月号の編集。今日更新分の自分の原稿はいっこうに手がつかない。「My Color of Innosense〈Third Rec〉」をヘッドホンでかけながら外の階段上のスペースでhi-liteを吸っているが、足がとまらないので昨日とおなじ西大井側の第一京浜沿い公園へ行く。最後まで聴いて戻るが、やはり手がつかない。飛ぶこと≠自殺について書きたいが、今日書いたら自殺が勝ってしまう気がする。前に書いてあったので、今日書く予定だったのと同じ内容のメモをしのぎとすることにする。けっきょく、こうなった元凶はコナンの映画のときからなのだとおもう。あの後、あんまり具合が悪いので、その足で仕事終わりの親友に会いに行って打ち明けるも、「その話キョーミねえわ」と言われ、そのときは自分でも「そうだな、久しぶりの呑みの誘いに持って来る話じゃねえな」といって、合わせたのだが、やっぱりお腹の底に食い入った虫がどかない。誰にもいえないんだ…まあ自殺するよか殺されたほうがマシだからこのさい書いておく。どうにでもなれ——コナンの映画に一緒にいった後輩が、劇場内に財布を忘れた。まだ見つかっていなかったから、次の回の上映が終わるまでに交番にも届いてないか訊きにいった。着くと、もぬけの殻で、オフィスの近くを見回したがどこにも見当たらないので中で待つことに。5分後、二人の巡査が帰ってくる。後輩が遺失物届けに記入しているのを後ろの壁にもたれて眺めていた。3分くらいして、奥に行ってたもうひとりの巡査が声をかけて来た。「写真撮ったよね、2枚(語調がやけにのぼせている)」。たしかにiPhoneで撮った、透明の機動隊とかがつかいそうなシールドに反射する外の街がきれいだったから。ついでに、ワイヤー入りの窓をとおしても。「セキュリティのこととかあるから消してもらえるかな」。写真ライブラリの画面を見せて、目の前で消したことを確認させる(だが、何を撮ったのかには全く興味がなさそうだった)。「よくわかりましたね」そういうと、変な間があって、「ぜんぶじかに見てるから」。それからちょっとして、ふっと闇に姿をけす幽霊みたいに、奥の部屋に消えていった。後輩が書き終わったので、それで交番をあとにした——あいつ、調子に乗ったな、とおもった。まったく、いい事ばかりありゃしない。よりによってこんな不届き者相手にヘマをしないでいただきたい、いや不届き者はそっちか——好きなようにしてくれよ。漫画が現実になるのはそういい事ばかりではないと知る。——何はともあれ、外のことは外のことだ、外のせいにしちゃいけない。この内をどうにかしなければ、すべて自己に返さなければ、現実逃避ということだ——でも絵を描いてるやつには同情する。お前は悪くない。ロマンチックが嫌いだからやさしくできないんだ。朝7じ現在。
【今日の写真】