いいなぁって言うけど

 看護師として働いている時、「資格持ってるっていいよなぁ〜!絶対職にあぶれないじゃん」と言われることが多々あった。

 結婚して自営業になって子どもを産んで育てている今、「資格あるからいざなんかあっても心配いらないよね〜」と言われる。

 いざ、というのは、離婚や事業の失敗、今ならコロナ倒産とか?かしら。

 そして主に在宅で仕事している私に外に働きに行っている人は言うのだ。「通勤なくていいね」「ハラスメントなくていいね」「時間の調節できていいね」

 私はストレスなく生きているパリピに見えるらしい。そして私がその状態でいられるのは、子がかわいいって言えるのは、そういう状況に周りがしてくれている、今なら夫がしてくれているから、と言う意味合いが含まれることが多い。

 そうなってくると、ちょっと反応してしまう私。

 だって看護師になろうと思ったのだって、将来を見据えてのことだった。私は上京組だったし、いつかは地元に帰るかもしれない気持ちもあったし、東京が自分の居場所ではないような気がしていた時もあった。知らない土地に住んでみたい気持ちもあったし、だから日本中どこに行っても、うまくいけば海外に出ても仕事にあぶれないもの、と考えて看護師を選んだ。医師を目指す気力はなかった。

 看護師になって逆マタハラに遭った。妊娠するとこんなに職場の人間に嫌な思いをさせるのかと、たくさんの我慢をさせなければいけないのかと思った。だから妊娠するなら誰かと一緒にやらなければいけない仕事はやめようと思った。

 子どもにはいつも「おかえり」と迎えてあげられる人になりたかった。自分が祖母にそうしてもらえていたように。だから在宅でできる仕事、時間の調整が自由な仕事を探した。

 結局、夫が事業を始めたので、それの総務・管理という仕事をすることになった。簿記や経営なんてカケラも勉強したことがなかった。だから一からそれらを学ぶのは、しかも独学で身につけていくのはとても大変だった。辛かった。でも自分の「こうなりたい将来」は見失わなかった。


 何が言いたいかと言うと、今の私の状況は過去の私が望んで手に入れたものだ。自分がどうしたいのかを明確にして、そうなるために行動してきた結果だ。だから「私には無理だなぁ」とか「そんなのやる余裕ないよ〜」とか「生きてるので精一杯」とか言われると、何諦めてるんだか、という残念なような、じゃあ一生そういう人生だねって見限るような、大丈夫だよできるよ!っていう応援したくなるような、そんな複雑な気持ちになる。

 自分の人生は自分のもの。望んだ通りに生きていける。どうしたいかしっかり自分と向き合って、行動すれば。

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日乃爽
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