【5年で売上5倍】その成長のための変化と改革|有限会社コミヤマ工務店 込山さんとの対談[前編]
「誰と関わり」「どんな話をするのか」
この2点は人生においてとても大切だと私は考えています。
もちろんこれは私自身にも当てはまります。数多くの出会いと、さまざまな人との繋がりが、私を成長させてくれました。
特に、真面目で誠実、そして実行力のある経営者との出会いは、私にとって宝物のようなものです。
そこで今回は、私に多くの学びを与えてくださった一人、有限会社コミヤマ工務店の代表、込山さんとの対談をお届けします。
込山さんの実直で勤勉な姿勢や、経営者としての在り方から、私は成長することの大切さを改めて学びました。この対談を通じて、皆様にも信頼し合える関係性の大切さ、そして真の成長とは何かを感じ取っていただければ嬉しく思います。
「成り行き経営」から「意思を持った経営」へ
日野:込山社長とは、私のビジネスパートナーを通じて出会いましたね。「とても真面目で誠実な社長さんだから一緒に伴走支援をしてほしい」と相談を受けたのがすべての始まりでした。
込山:そうですね。「すごい人がいる」と紹介を受けたのがきっかけでしたね。
そして、うちの決算書を見ていただいたところ、日野さんは少し間をおいてから、こうおっしゃいました。
「今まで一体何をしていたんですか」って(笑)。
日野:そんな直接的でしたか(笑)。
込山:はい、でも本当にその通りでした。日野さんと出会ったのが2019年。あの時点で私は独立して19年経っていました。今振り返ってみると、当時の私は利益に対する意識が低く、経営に必要な数字についての知識も不足していたと思います。その結果、会社に十分な資金が残らないという状況に陥っていました。
日野:そうでしたね。でも込山さんのすごいところは、そのことを認めて努力を重ねていらっしゃるところ。
私の持つ知識をお伝えするたびに、込山さんはそれらを素早く吸収し、実践に移されていました。本当に真面目で誠実で、実行力のある方だということが、しっかりと伝わってきました。
今までの「成り行き経営」から「意思を持った経営」に変わっていく様子が感じられて、それがとても嬉しかったですね。
5年で売上は5倍、従業員は3倍へ
込山:日野さんには、長期的な経営において重要となるポイントを学ばせていただきました。
具体的には、「貸借対照表を使った財務状況の確認方法」や「金融機関が融資審査で注目する点」などです。それらを意識して経営できるようになったことで、売上の向上はもちろん、会社の財務状況も良くなり、長期的な成長への道筋が見えてきました。
日野:財務状況の確認や分析に関しては、最初は難しく感じることも多いと思います。それでもアドバイスを繰り返し聞き、実践することで、徐々に『見るスキル』は身についていきます。
そうすると、金融機関への説明にも説得力が加わり、信用度が高まる。さらに会社の財務状況を改善していくことで、より有利な条件での融資や資金調達が可能になる。その結果、資金繰りが改善され、全体的な財務状況がさらに良くなっていきます。
さらに新規事業や投資に対する支援も得やすくなるので、事業拡大の機会も増えていきます。込山さんは、この良い循環を継続的な努力で実現したのです。
込山:ありがとうございます。日野さんとの出会いから約5年で会社の自己資本が増加し、売上も4億円から20億円へと5倍の成長を遂げました。従業員も3倍に増えました。ここまで成長できたのは、本当に日野さんのおかげです。私にとっては神様のような存在なんですよ。
日野:そう言っていただけると光栄です。でも、実際に行動を起こし、変化を生み出したのは込山さんご自身です。私はただ、そのお手伝いをしただけなんです。
信用と信頼関係の構築で描く未来
込山:思えば日野さんは保険の話なんてしなかったですね。保険の人ではなく、ずっと私の中では「先生」という存在でした。
日野:そうですね。保険の契約はすでにされていたので、私は『私にできること』で込山さんに貢献していこうと考えていました。会社の財務状況が良くなれば、資産組み換えや事業承継の話はいずれ必ずやってくる。その時にまたお役に立てればと思っていました。
込山:そういうことだったんですね。
また、日野さんとの出会いを経て、自分の意識以外にも変わったことがあります。それは「財務内容の改善により、銀行との関係が大きく変化したこと」です。
建築業界では先行出費が多く、時に赤字案件を受注することも珍しくありません。そのため融資が通りにくく、多くの企業が「毎月300万円までしか与信を認めてもらえない」といった厳しい制限を受けていました。しかし、財務内容が改善されたことで、現在ではそういったことは全く言われなくなりました。
日野:金融機関からの信用を得られたということですね。
実は、企業の財務状況を理解し、金融機関からの信用を得るには、利益だけではなく現金の動きも重要になります。売上を見ると利益は出ていても、実際の現金の出入りを見ると手元にお金がない。このような状態が続くと黒字倒産のリスクが高まります。これは、売上が好調でも現金が不足するという、多くの中小企業が陥りやすい状況なんです。
こうした事態を避けるために大切なのは、日頃から十分な資金を貯めておくこと。「儲かっている」だけではなく、適切な「お金の管理」が不可欠だということです。
健全な資金管理を続けることで必要な時に融資を得られる可能性が高まり、事業の安定と成長につながるのです。
継続的な努力・改善、そして事業承継へ
込山:経営への向き合い方の他、経営者としての在り方も変わりました。今までは「自分がやらなければ」という気持ちで先頭に立って進めていたんですが、それには限界があることに気づいたんです。思えば20歳で入社した社員も27、8歳になり、今では立派に一人前。60歳の私では、正直現場で彼らには敵いません。
だから基本的に信じて任せることにしたんです。社員たちは信頼に応えて日々努力をしてくれました。そのみんなの頑張りが、会社全体の成長につながったんです。
日野:それは素晴らしい変化ですね。経営者が全てを抱え込むのではなく、従業員を信頼し、成長を促すことで、会社全体の力を上げていく。それこそが真の経営者の役割だと私は考えています。
込山:ありがとうございます。この5年の間にたくさんのことを学ばせていただきました。あとは事業承継をきっちり終わらせることが大切ですね。
日野:事業承継は最後の大仕事、集大成ですね。でも込山さんなら絶対大丈夫。必ず素晴らしい形で事業を次の世代に引き継げると確信しています。
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込山さんの5年間の変化を間近で見ることができたのは、私にとっても大きな財産となりました。後編では、込山さんの事業承継に対する考え方や、お互いの存在について感じていることなどをお伝えしていきたいと思います。この対談が、ビジネスで悩める方の背中を少しでも押すことができれば幸いです。