炭酸まみれな私のしゅわしゅわ生活
【人生初の炭酸は宇宙船のサイダー】
ある夏の日、母が大きなスイカをくり抜いてそこに色々な果物を入れ、フルーツポンチを作ってくれた。お菓子や遊び道具など手作りの何かで子どもたちを驚かせたり喜ばせるのが得意だった母。
「ほら、宇宙船が来たよー!」
母のそんな言葉に「なになに?」と駆けつけた私と兄はテーブルに鎮座する大きなスイカ型の"宇宙船"にびっくりした。
縁がギザギザに切られていて、何本もストローが刺さっている。そしてスイカの中は、たくさんのフルーツとシュワシュワの液体で満たされているではないか。
「すごい!これ食べていいの?」
「いいよ〜!ストローでそのままサイダー飲んでもいいよ!」
「え...これって、歯が溶けるやつ?」
「あ〜...これは大丈夫なやつ!」
私はその日、人生で初めて炭酸飲料を飲んだ。
母は普段、いわゆるジュースと呼ばれるような飲み物をあまり買ってくれず、しかも「シュワシュワの飲み物は歯が溶けるからダメ!」なんてなんとも雑な言い方で禁止令を出してたもんだから、幼稚園児だった私はシュワシュワ=歯が溶けるとばかり思っていた。なんならあの「シュワシュワ」は歯が溶けている音なのではくらいに思って怯えていた。
コップに入ってる時から存分にシュワシュワしているのになぜそんな恐ろしい想像をしていたのかと自分のアホさにびっくりするが、小さい頃ってそういう変な思い込みや勘違いって多い。
「歯が溶けるやつ?」と聞かれた母はきっと「あ...そういえばそんなこと言ったっけ」と思ったことだろう。
そして「これは大丈夫」というなんとも雑な返しで切り抜けた。とてつもなく素直だった私は「そっかぁこれは大丈夫なんだ...」と思って、さっそくストローでスイカの宇宙船に入ったサイダーを飲んでみた。
シュワシュワ、パチパチと口の中で弾ける刺激と爽やかな甘さ。
なんだこれは...!私は美味しさのあまり「お母さんはなんてものを隠してたんだ」と思った。
それと同時に、母が禁止をしていたのもなんだかわかるような気持ちになった。確かにこれを知ったら、水の代わりとして毎日飲みたくなってしまいそうなくらい美味しい。サイダーの味わいはまさに宇宙船との遭遇に匹敵する感動だった。
これが私と炭酸の初めての出会い。
【お酒+炭酸の魔力を知ってしまった私】
大人になりお酒を飲むようになってから、私の炭酸愛はさらに増した。
実はお酒が好きなんじゃなくて、炭酸が好きなのでは?というくらい私は炭酸のアルコール飲料が大好きだ。
ビールはもちろんホッピーにハイボール、トニックウォーターの独特な風味が好きでジントニックもよく飲む。邪道かもしれないが、少し甘すぎるかもと感じた白ワインを炭酸で割って飲むのも好きだ。夏場などは氷を入れても美味しい。
ちなみに飲む以外にも、ワインと炭酸の思い出でいうと染み抜きの応急処置として助けられたこともある。
赤ワインをこぼしてしまった時に友人に教わったのだが、下におしぼりなどを敷いて上から炭酸水を染み込ませた布でとんとんと叩くと炭酸水に含まれている二酸化炭素によって水よりもスムーズに落ちたりする。
飲んでも美味しいし、飲み物をこぼしてしまった時にまで役立つとは、なんて有能なんだ炭酸。
【炭酸が好きすぎて、もはや浴びてる】
そこまで話を広げてしまったら、炭酸泉のことも語らねばなるまい。
炭酸が大好きな私は、体内に入れるだけでは止まらず(?)炭酸に浸かるのも大好きである。
通常の温泉よりも基本的に少しぬるめの温度設定が多い炭酸泉は、もう一生そこに入っていたくなるくらいの気持ちよさだ。
美肌効果や冷え性改善、筋肉痛や関節痛にも効果があり、以前原因不明の尺骨神経の痺れに悩まされた時も、炭酸泉の銭湯に通い詰めることでかなり症状が軽減された。
お風呂の話でいうと、炭酸はシャンプーに混ぜても最高だ。
ペットボトルなどに炭酸水を適量(50mlくらい?)と、シャンプーを2プッシュくらい入れてシャカシャカ振ると、もこもこしゅわしゅわの泡ができる。泡立ちのよさと洗い上がりのすっきり感に感動すること間違いない。頭皮が柔らかくなったり血行促進の効果もあって、一説によると育毛効果まで期待できるとか。
また、カラーをしている人は色持ちもよくなるし、カラーシャンプーは泡立ちが悪く使いづらいと感じることも多いが、炭酸シャンプーにするとそれも解決するのでとってもおすすめだ。
炭酸シャンプーで髪を洗い、炭酸泉に浸かる。そしてお風呂上がりに冷たい炭酸飲料をごくごくと飲む。これが私の至福の炭酸満喫コースである。
飲むのも浸かるのも洗うのにも炭酸。
私の生活は、しゅわしゅわにまみれていると言っていい。