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言葉のやり取りでのトラブルと、絵文字増加の因果関係


最近、メールでのやり取りによる「イライラ」や「もやもや」みたいな話を職場で多く聞くようになった気がする。私の会社が不穏なだけだろうか。
そしてそれと同時にここ最近増えたなぁと思うのがSMSでの連絡や、メールへの一言返信、絵文字返信だ。

最初にそれを目にした時、私は正直かなりびっくりした。
受信ボックスに並ぶ文字列の中に👍とか👌みたいな黄色い手のマークが突如大きく現れたり、すごい時は💖というのも見る。ハートて!
私も愛を持って仕事に向かってはいるつもりだが、そんなリアルな形にして相手に送ったことはない。


社内でのタスク管理ツールやチャットなどで、例えば自分はコメントするほどの担当ではないけれど、一応一連の流れは見ているよという意味で「👀」のマークをつけたり、対応の終わりに「🙆‍♀️」なんてスタンプをポチッと押すことはある。しかし、私にとってはそれはあくまで身内でのやり取りだからというようなイメージがあったため、社外の人からメールでそれが届いた時はなかなかにびっくりした。


まぁでも「お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇でございます」から始める要するに「了解」という趣旨の文章を3,4行に渡って書くよりも一瞬で送れるし意図も伝わる。ある意味共通言語がなくとも気持ちや反応を伝えられるとも言える。
これからはビジネスシーンにおいてもこれが新しいコミュニケーションの取り方として浸透していくのかなぁなんて思っていたのだが。

それと時を同じくしてなのか、ただの偶然かはわからないが、もやもやする文章のやり取りに気を揉んでいる人も多く見受けられるようになった気がするのだ。だから、ついこんな風に思ってしまった。
もしかして、スタンプや絵文字を使う機会が増えた分、私たちは言葉を使って伝えるのが下手になってしまったのではないかと。


きちんとテキストで打ちながらもスピードを重視しているというのもあるかもしれない。現代は効率やスピードへのプライオリティがとても高い。
端的にメッセージを交わすと必要最低限の言葉しか使わないため、装飾がなくなっていく。そうすると、場合によってはなんだか怒っているように聞こえて(読めて)しまったり、強い言葉使いに感じるのではないだろうか。

とはいえ私も友達とメッセージを交わす時は、当たり前のようにスタンプ返しもするし、なんならスタンプでしか会話していないみたいな時もある。
「そそ」とか「ちゃう」とか「あざ!」「よろ!」みたいに端的に、かなりくずした表現でテキストを返す時もある。
でも、仕事で関わる人は友達でもなんでもないし、たとえ仕事上の信頼関係があったとしても丁寧なやり取りを心がけるべきだと自分の中では思っていた。そして今まではスタンプ返しなんて仕事の上では失礼な部類に入るのではないかと思っていたのだ。
だからこそ、それをちらほら見るようになって「おぉ...アリなんだ...」みたいな気持ちになった。

しかし、スタンプが失礼かどうかというよりも、スタンプや絵文字に頼って言葉の選び方をついおろそかにしてしまったり、コミュニケーションの中での些細なニュアンスや機微みたいなものに疎くなってしまったことの方が問題かもしれないとも思うのだ。
なによりもったいないというか寂しい気もする。だって、スタンプによって書かれなくなった本来そこに来るべき言葉は「ありがとう」とか「これからもよろしくね」とかそういうものも多いからだ。


あ、もしかしてこれのせいなのかな。
「おっけー」とか「ありがとう」とか、肯定的な言葉は言葉から絵面に変わり、「そうじゃなくて」とか「ここが違う」みたいな否定や注意、指摘、追加など、言葉を使わなくてはいけない、かつハッピー要素が少なめのものだけが文章として返ってくるから、もやもやシーンが増えてしまったのだろうか。


人間はすごいスピードで便利なものや画期的なアイデアを生み出し、それを使いこなしていく。
でも、ツールの便利さに飲まれて心が置いてけぼりになったり、大切なものをなくしたりしないように、気をつけて使っていきたい。

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日野笙 / Sou Hino
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