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yoming
めざせ、ゴールド免許復活。
小学生の頃、私は「黄金の歯」をもらったことがある。
だいたい5センチ四方くらいの大きさで、みんなが大体「歯」と言われて想像するような、奥歯がモデルであろうという形の紙粘土で作られた歯。
その全面に金色の絵の具を塗りたくった、なかなかチープな「黄金の歯」である。
学校の中でも黄金の歯をもらえるのは数人。多分虫歯がなかった人がもらえたのだと思う。
実際に持ってみるとめちゃくちゃ軽いし言ってしまえばただの紙粘土なのだが、我々小学生は小学生らしく「すげー!いいなー黄金の歯!」なんて言って、もらえなかった者はそれを欲しがり、もらえた者は栄光のようにそれをふふんと自慢した。
多分あれは「みんなも黄金の歯をもらえるように歯磨きがんばろうね!」という大人たちからのメッセージだったのだと想像する。
そしてそんな黄金の歯をもらってから月日は経ち、私はその資格を失ってしまった。
先日、虫歯が発見されたのである。
小さい頃から歯医者さんに慣れ親しんできた人は何をそんな虫歯ごときで騒いでおるのだと思うかもしれないが、今まで一度も虫歯がなかった私には結構一大事であり、ちょっと悲しい事件である。
完全なる自業自得なのだが、虫歯になってみてわかった。
今まで虫歯がなかったことは、私にとって小学生でいうところの足が速いとか背が高いくらいのちょっと自慢できる「天からもらったギフト」のように思っていたのだ。
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