見出し画像

【風呂酒日和147-1】 栗の湯(くりのゆ)

【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


改札を出ると、あら、カツオくんとワカメちゃん。

桜新町はサザエさんの作者長谷川町子さんが暮らしていた街なんだとか。なるほど、だからこの銅像があるのか。
サザエさんは…別の改札口を守っていらっしゃるのかな。

駅前から住宅街の方にてくてく歩く。
うーんこれぞ閑静な住宅街という感じ。大きくて立派な一軒家が並ぶ。
今日は蒸し蒸しな日。こんな日は一目散にお風呂に入りたい。サウナもあるのでわくわく。

大きな通りを渡ると栗の湯に到着。
おおーきれい!マンションみたい。中に入るとロビーも広くてすごく新しい感じ。最近改装したのかな?

券売機を見る。あれ...サウナ、休止中とのこと。
ぎゃおん。残念、仕方がない。では今日は入浴のみで。チケットを買って左手奥の受付に渡す。靴箱の鍵を渡してロッカーの鍵をもらって、さて浴室は...?

受付の先には大きめの待合スペース。
大きなホワイトボードが置いてあってベンチが数箇所。なんか待合スペースというよりは公民館とかのロビーみたい。
大きめにクラシックがかかってるひらけた空間だ。

階段を上がると浴室があるらしい。
特に案内的なものも書かれていなくて。あまり銭湯感はない。小伝馬町の十思湯とか、府中の方にあった藤の湯と同じような雰囲気を感じる。色々な銭湯を巡っていると、なんとなく「あぁこれはあれ系ね」みたいなジャンル分けみたいなものが自分の中でできていって面白い。

階段上がると男湯と女湯ののれんが見えた。
扉を開けると脱衣室。ほう、これまた藤の湯っぽい。スチールのロッカーが置いてあって、更衣室という感じの脱衣室。
ここもきれいで、新しい匂いがする。

身支度して浴室へ。
浴室は右手に浴槽、左手に洗い場。ピカピカだ。
小さな子どもを連れたの親子が2組、そしてお姉さんが3人。なんだか年齢層が若い。

洗い場には桶と椅子が既にセットされているスタイル。
ボディソープとリンスインシャンプーも完備だ。端っこにあった一人用スペースになっている洗い場をゲットし体を洗う。
休止中のサウナの扉のすぐ横に水風呂、その隣が大きな白っぽい浴槽。
ここがメイン浴槽っぽい。そして一番端があつ湯かな?
水風呂とあつ湯は黒湯っぽい感じ、天然温泉かしら。ほほほ。
そして向こう側...これは窓だろうか、それとももしかして露天風呂があっちにある感じ?大きな掃き出し窓の向こう側をじっと見ると、椅子が並んでるのが見えた。わーい露天もある!

ひとまず中のあつ湯から入ってみよう。
おぉ、黒湯...なかなかあつい。そしてとってもぬるぬるでなめらかな質感。壁に説明書きなどは書いていないが、多分これは温泉だよね。考えるな感じろってことか。
ひとしきり浸かって隣の白いシルク風呂っぽい方に移動。

ふぃぃ、いいね。ぬるめの温度が気持ちいい。
壁にボタンがあったので押してみるも何も起こらなかった。
ぽちぽち押すも何も起こらないのを見られるという一番恥ずかしいやつ。まぁ誰も気にしてないのは知ってるんだけど。一人で勝手に気まずくなる。

シルク風呂に入っていた女の子の横にもう一人女の子が話しかけながら入ってきた。あら、連れだったのね。友達と一緒に銭湯、いいねぇ。

「部屋どうだった?汚かった?」

「え?いや全然!なんも思ってなかったよ」

「あそう、よかった。ちょっとドキドキしてた。人呼ぶのって緊張しない?」

「あんま私そういうのないかも。つか全然汚くなかったよ。許容範囲っしょ、あれくらい普通だよ」

「そっか、あはは」

ほぅ…もしや今夜はお泊まり会で近くのお風呂に一緒にきたという感じだろうか。
2人の会話を聞いてなんとなく関係性を想像していたら、また1人2人と新たにお姉さんが入ってきた。
ここはもしかして、近くに大学があるとか、寮があるとかそんな感じだったりするのだろうか。こんなに若い人だらけの銭湯、結構珍しい気がする。でもママもいるしな…。
シルク風呂にぷかぷか浮きながら考える。

髪を洗って一度外へ。露天の温度を確かめてみよう。
ふむふむ、よい。シルク風呂と黒湯のちょうど間くらいの温度だ。さっき歩いていた時はベタベタじめじめで暑いなぁと思ってたのに、お湯に浸かりながら顔に風を受けると涼しくて気持ちがいい。

よし、結構あったまったぞ。
もう一回中のあつ湯に入ってから、もう限界!というところで水風呂にざぶーん。
サウナあがりの汗びちゃ状態ではないのでかけ湯をせずにずんと入ってしまったが、ギリギリ浸かれるくらいの温度。
もしかしてサウナ休止中だからちょっと温度を高めに変えたりしてるのかな?

よく冷えたところで外の椅子に移動。あぁ、いい風。このまま寝れそう。
先ほどお泊まり会っぽい会話をしていた子たちが、浴槽の縁に座って話している。

「あの玉のやつ?」

「えー今日やる?」

「え、どうする?いいよ」

2人の楽しそうな会話を聞いて、ふと思う。
もしかして、この2人はお友達ではなくてカップルだったりする?2人の背中からなんというか友達とはちょっと違うような幸せオーラを感じるのだ。距離もなんか近い気がする。そんな頭で聞いているとさっきの「あの玉のやつ」がなんか一気に気になってくるな...。

ある程度涼んでもう一度シルク風呂に入っているとお子様が2人浴槽の方に歩いてきた。
男の子は完全拒否の姿勢で浴槽に入りたがらないため、仕方なくママがシャワーの方においでおいでと呼んでいる。
一方女の子の方は、さっきの男の子よりも幼そうだったがお風呂に興味津々。水風呂もあつ湯にも入ろうとして浴槽の縁をうろうろ。
ママはそれに付き添って「これは熱いよ〜?」とか「こっちは冷たいから大きいとこ入ろう?」なんて言いながら前のめりに手から入っていく女の子を支えるのに必死。結局自分はほとんど浴槽に入らず「こっち、次はこっち」とリクエストする女の子を浴槽に入れてあげている。いやぁ、ほんとお母さんって大変やな…。

ママ、風邪引きませんように...と願いながら、あつ湯と水風呂を回り、露天の椅子に座って二回目の整いタイム。

ふう、いい感じ。
パキッとはキマらなかったが、穏やかな満足感で脱衣室へ。


身支度を整えていると今度は3人連れのガールズたちがやってきた。高校生?大学生?だろうか。みんなくっきり綺麗に水着の日焼け痕がついていて、そのシルエットから水泳部かなと思われる。
もものところに日焼けラインがあったり、背中の焼け方で海で遊んだというよりはスポーティな気配を感じる。
やっぱりここ、若い子が多いなぁ。ていうかそういえばおばあちゃんを1人も見なかったかも。
時間帯のせいかもしれないがノーおばあちゃんの銭湯、はじめてだ。

つくりといい客層といい、いつもとはちょっと違う銭湯の顔を見たなぁなんて思いながら、私は栗の湯を後にした

【栗の湯】
住所: 〒154-0014 東京都世田谷区新町1-36-6
電話: 03-3702-3305
アクセス:東急田園都市線「桜新町」駅下車、徒歩7分
定休日:月曜、火曜、水曜


サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨