昨夏のメルマガ創刊準備号を公開!
-------------------
1.ヒノvsイクル【競馬放談】
-------------------
――初回でふたりとも肩が温まっていないだろうから、軽く重賞回顧でもしてもらいましょうかね。せっかくPOG鑑定士のイクル君がいるので、函館2歳Sにしましょう。
樋野(以下、ヒ):アスターペガサスのゴール前の脚は凄かったね~。前走(デビュー戦)、直線追い風でもないのにラスト2ハロン11秒7→11秒5という加速ラップで勝っていたから、能力が違うんじゃないと本命打ったけど!(ドヤァ
北村(以下、イ):1頭だけ脚が違いましたね。ただ、ここまで差しに回るのも想定できましたか?
ヒ:馬の能力は抜けていても、初重賞制覇のかかった小崎騎手の肩の力が入り過ぎて詰まって脚を余すんじゃないかと心配してた(笑)。だから、出遅れて大味な競馬になったのは、かえってよかったんじゃないかと。イクル君はどう評価してたの?
イ:新馬戦の内容自体ははそれほど評価していませんでしたが、ペースが上がる前提で考えればここは消去法で上位なのかなと見ていました。ただ、抜けた1頭とまでは見抜けなかったので、ヒノさんさすがです。馬券は何を獲ったんですか? 3連複?
ヒ:……。
イ:えっ!? さっきのドヤ顔で、まさか当たっていないわけが……。
ヒ:それが、コパノ2頭出しに気づいてなくて、ラブミーファインをヒモしていたつもりが、シンガリ負けのラブミーリッキーを推していて……。これ以上は、ツッコまないで……。
イ:当たってないんかーい!(笑)
ヒ:だから、アスターペガサスをもう一度馬券にしなければ……。ただ、将来性は、どうなんだろう? あんまり先につながるイメージがないけど。
イ:父(Giant's Causeway)を考えれば同父のエイシンアポロンのような活躍を期待してもいいかもしれませんが、母が2歳GⅠの勝ち馬で、より仕上がり早の可能性はありますね。ただ勝ち方が単調な短距離馬には見えなかったので京王杯2歳Sぐらいなら出番がありそうに見えました。あとはダートですかね。
ヒ:どこまで距離をこなせるかは未知数だけど、2歳戦ならマイルもこなしてくれると信じたい。
【Point of view】アスターペガサスは第二のエイシンアポロンになれるか!?
同じGiant's Causeway産駒のエイシンアポロンはデビュー2戦目の未勝利戦を勝ち上がると、野路菊S5着の後はデイリー杯2歳S2着→京王杯2歳S1着→朝日杯FS2着→弥生賞2着。POG期間内に1億円以上を稼ぎ出した。
――このレースは1番人気に推されたナンヨーイザヨイが9着に飛びましたが。
イ:「ナンヨーイザヨイの函館2歳Sは消し」なんて、教科書の1ページ目に書いてありますよ。
ヒ:こらこら、馬主さんもこの馬を本命に推した予想家さんもいるんだから……(汗)。
イ:買った人には、エイシンフラッシュ×スペシャルウィークなんて血統の馬を、今後も芝1200mの2歳Sで買いますか? と聞きたい。
ヒ:エイシンフラッシュは、グッドルッキングホースだっただけあって、産駒もパドック良く見せるんだよね。でも、見た目の良さに騙されることが、しばしば。
――イクル君とセレクトセールでも話していたんですけど、遠くから見て、黒くて大きい良い馬がいると思うとエイシンフラッシュ産駒で。これはボリクリ2世だな、と思いました。
イ:何も考えないで見ると、黒い馬はよく見えるんですよね。あと、現3歳のファーストクロップを見ると、結果としてエイシンフラッシュ産駒は勝ち上がり率がかなり悪いですからね。
ヒ:毛色別のデータ調べたら、油分か少なく、ツヤのない栗毛が一番回収率が高いしね。
――話をナンヨーイザヨイに戻しましょう。この馬のデビュー戦は前半3ハロンが34秒4で、数字上、2歳新馬戦としては流れた印象を受けます。それを2番手から押し切ったので、血統面には疑問を抱きつつも「この馬は大丈夫だろう」と考えた人が多かったのだと思いますが。
ヒ:開幕週の日曜日の新馬戦だから、一番メンバーが集まるわけで、そこを勝った馬が人気になるのは当然だけど。ただ、前半34秒台といっても追い風参考だし、ラスト200mで伸びてなかったから、上積みは少ないと、ヒモ評価にとどめた。
イ:僕は単純にナンヨープランタンかな、と。前年の函館2歳Sで2番人気6着と人気を裏切ったルーラーシップ産駒ですが、奇しくも同馬主で、母父もスペシャルウィークでした。
――レース後に気づいた人もいるでしょうね。
イ:現3歳世代の芝重賞勝ち種牡馬は、1:父がサンデー系、2:父が英字(外国産馬or持ち込み馬)、3:父がキンカメ系、この3パターンに大別できます。いずれにも該当しないのは4頭だけで、1800m未満は葵Sを勝ったシニスターミニスター産駒のゴールドクイーンだけ。POG的な観点からも狙いにくかったです。
ヒ:キンカメとキングマンボは扱いが違うの?
イ:前後が逆ですが、サンデーとディープが同じか? みたいな話でしょう。あと、結果的に母父サンデー系の馬はナンヨーイザヨイを筆頭に下位に沈んでしまいましたね。
【Point of view】母父サンデー系の扱いに注意!
実は現3歳世代で母父サンデー系の芝重賞勝ちは3勝のみで、すべて二冠牝馬アーモンドアイによるもの。現2歳世代の上級戦でも扱いには注意を払いたい。
――この流れで、ヒノさんからPOG鑑定士としてのイクル君に聞いてみたいことがあれば。
ヒ:産まれ月を予想ファクターとして使っているの?
イ:世代限定戦では見ていますね。
ヒ:早生まれが有利っていうのはわかるけど。函館2歳Sの2、3着馬(ラブミーファイン、カルリーノ)は5月生まれ。こういう馬って出世する?
イ:マクロ的にいえば伸び悩むでしょうね。個体で見ると成長の余地を残す……的な正論も可能でしょうが。もっとも、ダービーまでの話ですけど。
ヒ:僕も世代限定戦はどれだけ成長余地を残しているかを重視しているけど。早くから活躍できた遅生まれが順調に成長するほど単純ではないんですね? どうやって、馬券に活かせばいいですか?
イ:関東馬より関西馬、といった感じで、早生まれのほうが根本的に有利で、遅生まれの人気馬は疑ってみるでいいでしょう。
ヒ:ああ、ダービーが早生まれの馬の活躍が多いように、レベルが高くなればなるほど、早生まれのアドバンテージが大きくなる感じなんですね。逆に考えてました。
イ:そこはどっちも差がないですけどね。さっき話したように、関西馬のイメージでいいです。新馬でも上のクラスでも関東馬は強くならないですよね? そういう認識でいいと思います。
【Point of view】2歳オープンで馬券に絡んだ遅生まれは危険!
過去3年、2歳のオープン特別+重賞で3着以内に入った5月生まれは延べ25頭。しかし翌年1月~ダービー終了までに勝ち星を挙げた馬はわずかに2頭のみで、いずれも500万下戦。オープンクラスでは未勝利と伸び悩んでいる。
※各馬への評価は、あくまでも馬券的な扱いについての評価であり、他意はございません。ご気分を害された関係者の皆様にはお詫び申し上げます。
-------------------
2.ヒノは先週のレースのここを見た!(7/21,22)
-------------------
1)日曜中京3R:アンティグラビティ(9番人気5着)
初出走馬が既走馬相手の未勝利戦で5着なので次走人気かもしれないが、この時期の未勝利馬は優先出走権を持っていないと行方不明になることが多いので、続戦する可能性が高いということで抜擢。初出走馬は出遅れることが多いのに、無難にスタートを決めて、先行するスピードを見せていたので、一回レースを経験したことで、さらに先行力が増す可能性もあるし、なにより、水口騎手ー崎山厩舎ー山上オーナーという格高ラインならぬ爆穴ラインの馬。将来、どこかで大仕事してくれるという期待もできそう。次走は小倉ダート1000mかもしれないが、エンパイアメーカー×タップダンスシチーという血統を見るとダート1700mのほうが面白そう。ハイペースで逃げて、上がりが40秒以上かかるような展開に持ち込み、リボーのド根性を引き出して欲しい。
→次走の未勝利戦を8番人気で勝利!
→2走後の昇級戦も3番人気1着!!
2)日曜函館10R:アグネスリバティ(6番人気5着)
函館で3回も使ってしまった馬にどれだけの余力が残っているかという問題もあるが、ようやくクラス慣れしてきた印象。今回はスタート押してポジションを獲りに
行ったのに、1コーナーで寄られて下がる不利があり、気づいたら後方2番手。4角では最後方だったが、勝ったレイエンダに次ぐ上がりの脚を繰り出して5着まで追い込んだ。重賞2着もしくは1000万勝ちの経験のある馬が6頭もいて出走馬のレベルが高かったことを考えても、次走あたり一発あっていい。
→先週の中京・熊野特別を10番人気で2着激走!
3)日曜函館5R:クリノイヴァンカ(8番人気7着)
勝ち馬のウィクトーリアが従来のレコードを1秒4も更新するタイムで逃げ切り話題を集めている新馬戦。負けた馬の次走以降にも注目したい。なかでも一番妙味を感じるのがクリノイヴァンカ。というのは、エンジンのかかりが遅く、脚を余してしまったもので、ゴール前の勢いはあと10mで4着まで上がれていたはず。7着とはいえタイムは上々だし、着順の悪さから人気にならない可能性も考えられる。
-------------------
3.イクルは先週のレースのここを見た!(7/21,22)
-------------------
1)土曜函館6R:スキップガール(8番人気9着)
スタートで大きく躓き、一完歩目で大きなロスがあった。上がり3Fは最速で、9着とはいえ勝ち馬とはコンマ3秒差しかなく躓いた分が響いた。4月以来のレースで初の芝という背景を考えれば、パフォーマンスをさらに上げる可能性は高い。もともと新馬戦で2着になった素質馬だけに今の未勝利なら力が上だろう。上がり3F最速の記号がつくのは余計だが、ダート向きと思われているうちは配当妙味がある。もちろんダートに戻っても何ら問題はない。同馬の生産者、冨田牧場は私が青本で取り上げた「当たりが潜む非社台牧場」のひとつ。22日の中京最終で10番人気ながら3着と穴をあけたノーウェイも同牧場の生産馬。複回値が高く、POGでも馬券でも見逃せない実力派の穴メーカーだ。
2)土曜中京12R:キャッチミーアップ(3番人気3着)
直線で進路を探し大きく横に移動する不利があった。前が開いてからはグイグイと伸びていただけに「人災」としか思えない負け方で、荻野極騎手もミスを認めている。そもそも前走で前に行って末が甘くなった経緯があったとはいえ、スタートから溜める意思が強く位置取りをズルズルと下げて直線で捌けないのだから、戦略性の欠片もない騎乗ぶりだった。同馬の馬主、畑佐博氏は前述の「穴牧場」冨田牧場とのつながりが深い。その影響もあって畑氏自身も高い回収値を計上する「穴馬主」となっている。さすがにこの馬が次走以降で大きく人気を落とすことはないだろうが、デビュー以来1番人気になったのは一度だけと過度に人気になる馬でないのは「穴馬主」のなせる業か。マイルもこなすだけに舞台は選ばない。馬主キャラで荻野騎手のミスがオッズに反映されなければ、拾い上げる一手だろう。
3)日曜中京6R:モズダディー(11番人気8着)
道中は外目の3番手にいたが向こう正面でマクリが入ると過敏に反応しズルズルと位置を下げてしまう。直線は鞍上もアクションを起こさず惰性の入線になった。正直、目一杯に追っても勝ち負けはなかっただろう。それでも急坂を越えるときのフットワークは逸材を予感させ、今回は注目馬の1頭として取り上げることにした。モズの冠名の外国産馬といえばモズアスコットが安田記念を制し、その眼力の正しさを国内外に見せつける形になった。当馬もその流れを汲む一頭だろう。本馬はまだキャリア2戦目で今後の成長が見込める。未だに適性を探っている段階で地方転出になってしまう可能性もあるが、地方の有力厩舎に入り馬が良化して帰ってくることも考えられる。末永く名前を憶えておきたい1頭だ。
→次走、単勝194倍の12番人気で3着に激走
→2走後、3番人気2着も地方転出
→しかしイクルの予想通り、園田で2連勝して再転入
→中央復帰2戦目を4番人気で勝利!
→1000万昇級緒戦も3番人気2着!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?