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ポートレート撮影で大切な光と色の話

みなさんこんにちは!
写真家の日野拳吾です。

今回はポートレートにおける立体感の秘密について。



立体感が出ない!上手く撮れない悩み


写真を始めてから現像を覚え、ある程度扱えるようになった頃

"写真に立体感が出ない" "色が揃わない" "綺麗な色にならない"

って悩んだことはありませんか?
私はあります。めちゃくちゃ。

特にポートレート。

カメラ変えた直後なんかありがちなんですが、
めちゃくちゃ綺麗に撮れた!カメラすげぇ!と思っていたら
2度と同じ質感、空気感での写真が撮れない。

現像の仕方に問題があるんだとひたすらこねくり回して見たものの
どうにもならなくて。

それが最近はもう気にならなくなりました。
というか、意図的にコントロールできるようになったんです。

一体、できるようになった理由はなんだったのでしょうか?

ということで、昔の写真と比較して
何が必要だったのかを紐解いていきましょう。


のっぺりしていた昔の写真


まずは、昔撮影していて
色決まらないな、のっぺりしてるなーと感じていた写真。

真夏のお昼頃に撮影していた写真だったかと思います。
背景が強くボケていて被写体の分離はできているし、
色味が被っているわけでもないのですが、のっぺりしてますよね。

モデルさんは超綺麗、天候もロケーションも抜群。
でもなんだか写真が冴えない。


立体感を意識できるようになった写真


続いて同じような季節、時間帯に近い雰囲気のロケで撮影した写真がこちら


いかがでしょうか?
色の迷いやのっぺり感がだいぶ軽減しているのではないでしょうか。

立体感の正体


ここで少し見えてきた、立体感の正体。

最初、私は立体感=ボケによる被写体分離だと思っていました。

だから立体的で深みのある写真を見た時、
「あぁ、レンズが違うんだな、カメラが違うんだな」と考え
F値が小さいレンズを買ったり、望遠レンズで撮ってみたり。

上ののっぺりした写真は
Sigmaの50mm 1.4と 70-200mm 2.8の開放で撮影していて
背景も遠いのでかなりボケ感のある写真なんですよね。
まさにボケで被写体分離をしようとしていた写真。

でも何か違う。変わった点はなんだったのか?

変わった点


撮影も現像も変わっている点はあるのですが、自分が認識している変化は

①人にあたっている光と良し悪しを都度判断するようになった
→昔はとにかく半逆光!とか、直射日光は綺麗じゃないから当てない!という認識だったり、背景と構図ばかりを意識していて人に当たる光を認識、調整できないまま撮影していました。

②背景の色と光、人物とのコントラストを意識するようになった
→半逆光を優先して撮っていたこともあり、背景がハイキーになることが多く、結果として人物が暗くなっていました。それを現像でなんとかしようとすると全体的にふわっと明るく締まりの無い写真に。
現像時にヒストグラムも見れていなかったので、ただ人の顔が明るくなれば満足してましたね。

③順光やトップライトで撮ることが増えた
→これはライティングを学んだことが大きいのですが、人に当たる光の良し悪しが理解、判断できるようになったことが1つ。そして好ましくない光が当たっていても顔の向きやポージング、立ち位置、背景処理でコントロールできるようになったことが大きいです。

④反射光を読めるようになった
→1枚目や3枚目は半逆光で人肌には直射があまり当たらない環境ですが、影の中に当たっている反射光がどこからどのように来ているのかが判断できたり、ハイライトをアクセントとして入れることができるようになりました。


ざっくりですがこんな感じ。


つまりは
被写体に当たる光が読めているかどうか、意識的に選べているかどうか
なんですよね。

人間はそもそも光を知覚することで物体を認識している、
=光と影の形やコントラストにより質感、形を脳内にイメージしています。

それを撮影の時に意識できるかどうかであり、意識するということは
ポートレートにおいては主題の人物を見せたり強調することに繋がるので
結果として立体感を感じられるのかなと。

具体的には、
背景と人物のコントラストによる画としての視線誘導や
肌に光を当てることで質感を見せること、
エッジライトで髪の輪郭を強調したり、艶を出すこと

等でしょうか。

そしてその”意識”は現像にもつながります。

色被りから考える、撮影時点での光の重要性


先ほどの

・被写体に当たる光が読めているかどうか、意識的に選べているかどうか
・この意識が撮影時だけでなく現像にも関連してくる

という話、これは色にも関連してきます。
というか光だけでなく色を題材にすると少し分かりやすくなるはず。

例えば色の話で考えると
昔の写真の2枚は顔に盛大に色被りしています。

色被りしている場所は本来の色を綺麗に出すことができません。
調整方法は色々あるもののどうにもならないケースも多いです。

色被りしてしまっている要因を整理すると
・日差しが強く、周辺の草からの反射光も強い環境
・顔に直射光が当たっていないため、反射光=土や葉で色被りした光が主として顔に当たるようになっている

という感じ。

色被りへの対策は様々ですが、
・直射光を当てる
・反射光に色被りの少ない場所や向きを選ぶ
・ストロボやレフ、白布でフォローする
といった対策ができていれば防ぐことができていたんですよね。

光の良し悪しが判断できず、コントロールもできていない、という点であまり好ましくない写真になっています。

そして光が読めない状態で撮影をしていると、人物の色や雰囲気はチグハグになってしまいます。もちろん色被り=絶対悪ではないので、意図して演出する場合は問題ないのですが。

つまり、現像で色が上手く整えられないと感じている場合、原因が撮影段階にあることが多々あるということです。

さらにプリセットなどを使用し、明暗別の色を操作していたりすると
この光と色による写真の印象の違いをさらに強調してしまい、暴れてしまってさらにわけが分からなくなります。

先ほどの光についても同様ですね。

昔の写真は
”人物を明るく撮りたいのに、背景優先で半逆光でとりあえず撮っている”
ので、対策として現像で顔が明るくなるまで持ち上げようとしています。
結果、全体的にハイキーでメリハリもない。

背景と人物の明暗差や光質などによって撮影段階から意識できている場合と
上手くはまっていない写真を現像でなんとかしようとしている場合だと
仕上がりに大きな差が生まれてきます。

現像が上手ければマスクを上手く使ってカバーすることもできますが、
80点は100点にできても120点まで持っていくことは難しいものです。

まとめ


色被りも光の違いも、誰しもが日常的に見てきているものなので
当たり前の変化すぎて撮影の時に認識することって難しいですよね。

撮影の時に気がつけなくても、現像を繰り返していく中で色やコントラストが上手く決まらない時はそこに原因があるかもしれません。

困った時はどこに問題があったのか、振り返りながら取り組んでみると新しい発見があるはず。

冒頭の話に戻ると、

カメラすげぇ!!ってなった時の写真は
いわばラッキーパンチだったってことなんです。

機材も多少貢献しているでしょうが、良い光で撮れていたことが要因。
そして光が読めていないから、再現性がなくてラッキーで終わっていた。

なぜ良い写真になるのか、そう感じるのかを分析して
自分の好ましい形で扱えるようになったから再現できるようになった。

同じように経験している人のヒントになればいいなと思います。

皆さんも撮影や現像の悩みはありますか?
悩んで、乗り越えてを繰り返して、一緒にステップアップしていきましょうー!

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!
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