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Non:Fiction Part5“チャマ”

※これはフィクションです。

見たことあるか?片腕の無いおっさんとヘロインを打ちまくった子連れママと真っ白なバスローブを着た変態と普通のおっさんが麻雀をしている光景を。カオスだぞ。しかもそれを普通の時間として扱っている俺。
雀荘には“ヤバいやつ”が集まっていた。しかも雀荘の上はヤクザの事務所だ。俺はそこでマリファナを吸っていた。親分と若頭2人と。

親分「ワシにとってはこれは子供の遊びよ!」

キラさん「そうですね。」

親分「遊びの延長線上がコレやろ!」

と言って出した白い粉。死ぬ気か?

俺「おやっさんも一服どうすか?」

俺は頭がおかしかった。というか現実の精神が崩壊していたからことの善し悪しが分からなくなっていた。俺は親分に煙を吹きかけた。

親分「やめんかいゴラ!」

俺は大爆笑した。キラさんですら笑っていた。

親分「えへへー。」

親分ですら笑いだした。
親分はチャマのオーナーでありダークウェブな雀荘のオーナーでありヤクザだ。本当にコイツは危ない。そしてなぜか俺を可愛がってくれていた。まあ、若頭と殴り合いをして互角だった可愛い男の子だ。そりゃあそうだろ。それに若頭のキラさんと俺は親友だ。キラさんの家に泊めてもらったりキラさんにゴルフをおしえてもらったりしてた俺だ。

“世渡り上手なのか?それとも騙されやすいだけの馬鹿なのか?よく分からん。”

腹が減ると4人で雀荘横の喫茶店に行く。喫茶店にあるバーガーを食べるのだ。“意味が分からない。”時折、ピザも食べたり。

俺達はよく閉店した雀荘で音楽を爆音にかけて酔っていた。不思議なことにこのヤク中達はこの間1度も誰とも喧嘩していない。まるで兄弟のように仲良く座っていた。

飯を食い、糞をしてジュースを飲んで寝る。起きて仕事に行き、終わるとまた集まっての繰り返しだ。青春だろ?そう思うだろ?それでは付け足そう。

『マンチーで飯を食い、糞をしてジュースを飲んで寝る。起きて仕事に行き、心無い言葉や暴力で行き場を失った俺はチャマに行き酒を喰らい歌を歌う。ヤクザ達の昔話を聞き、誰かと誰かが揉めたら鉄砲玉で若い俺が突っ込む。そして雀荘で傷を癒しながら「よくやった。」と親分に褒められながらジョイントに火をつける。それを若い衆に回しキラさん、親分に回す。最後の一口は俺専用。肺に溜め込み思い切り咳き込む。それ見てみんなが爆笑する。』

だがそんな青春にも終わりが来る。ある日だ。ある日、親分から電話がかかってきた。

親分「俺君、すまんけど顔出してくれんか?」

よく分からん会合に呼び出された。忘れもしない。雀荘の目の前にある蕎麦屋。親分、キラさんの2人が座っていた。仕事終わりの俺は疲れていた。

親分「あいつが捕まったんや。チャマで料理人
            せんか?」

キラさん「暴行。俺とやらんか?」

即決だった。

俺「無理です。」

たとえヤクザだろうがホームレスだろうが俺は対等の関係を通していた。
“舐められてはいけない。”この夜の街の暗黙の了解だ。下手に出ては舐められる。上手なら殺される。何があっても対等で言わなければならない。俺のルールだ。俺がこの夜の街で培った知識だ。嫌な事は断らなければいけない。
この日を境にチャマは廃れて行き、まもなく店は潰れた。俺のドラッグジャーニーも終わった。
噂によれば親分はチャマを出た後に酔って転けてしまい頚椎を損傷。つまり歩けなくなり病院暮らしらしい。俺は1度も見舞いに行ってない。若頭は獄中。キラさんは街から姿を消した。

俺はまた暴力の世界に戻り平穏とは程遠い戦いとセックスのオンパレードに身を投じた。だが、俺は知識はつけた。今回のドラッグジャーニーは俺の考え方を180°変えさせ、後の俺の人生で最高で最悪の事件を引き起こすきっかけになった。


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