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応用情報技術者試験に合格する方法(攻略法、勉強方法と合格体験記)

 2021年10月に実施された応用情報技術者試験に1発合格しましたので、勉強方法と合格体験記を踏まえて、合格する方法を記事にしました。

応用情報技術者試験 成績照会
応用情報技術者試験 成績照会

答案用紙をIPAから取り寄せてみました!

※途中から有料記事です


応用情報技術者試験に合格するとどうなるか。

 応用情報技術者試験に合格することで、中級程度(高度スペシャリストの一歩前)のITスキル、知識があることを証明できます。基本情報技術者に比べ合格者は少なく、一人前のSEやIT担当者であると見られるとともに、社内でも一目置かれる存在になれます。(筆者は周囲のエンジニアが丁寧な接し方になり、尊敬さえ感じられるようになりました)

 この資格を取得したことにより、話ができる技術の幅が広がったことを感じました。そのため、プロジェクト内で円滑にコミュニケーションが取れるようになったと思います。また「あの人が言うなら、そうなのか。」と意見が通りやすくなりました。一番大きかったことは、広い試験範囲と膨大な知識を勉強したため、わからない用語が出てきたときに自信を持って「わからない」と言えるようになりました。そして、何より難しい専門資格を取得したことへの大きな自身がつきます。

 会社によっては、報奨金が出たり、昇格の条件になっていたりします。筆者の勤め先は、昇格の条件になっております。


応用情報技術者試験の試験概要

 試験は午前と午後があります。午前試験は4択マークシートで80問が出題されます。午後は「〇〇となった理由を30文字以内に述べよ」というような問題が出題される記述式であり、11分野に分かれた大問から全部で5問を解答します(4問選択+セキュリティ分野必須)。特に午後はある程度知識を広く深く理解してないと書けないものもあります。しかし、傾向や攻略法が存在しますので、しっかりと勉強した上で、真面目に取り組めれば難しい試験ではございません。このような記事を読んでいる方は、きっとお忙しく、時間が無い中での資格取得だと思います。正答率が6割を超えれば合格となりますので、満点を目指さず8割を目指していけば、十分合格できるラインになります。

 求められる人物像や業務、技術水準、試験時間・出題形式・出題数(解答数)などの詳細はIPAのリンク先に記載があるので、興味がある人は読んでみてください。

シラバス

 上記のIPAのリンク先にはシラバスや試験要綱があります。特にシラバスは出題される用語が掲載されていますので、一度は目を通したほうが良いでしょう。(私はPDFをスマホに入れてそれぞれの意味を調べて理解することを行いました。)


攻略法

 応用情報技術者試験はある程度決まった出題傾向がありますので、これを抑えて勉強すれば合格に近づけます。冒頭の成績照会を見ていただければわかるように、私の午前試験の62.5点です。80問中50問しか正解しておりません。このくらいギリギリで合格です。(私の例はギリギリすぎると思いますが、48問正解で合格です)。全て正解する必要はありません。6割で良いのです。しっかりと計画を立て、戦略的に勉強することで必要最低限の時間で合格が可能なのです。

0次試験

 情報処理技術者(情報処理安全確保支援)試験全般に言えることですが、申し込み人数に比べて当日受験をする人が7割程度になります。業務の都合や家庭の事情などもあると思いますが、試験前に挫折してしまい会場にすらいかない人も多くいます。

 まず朝起きて、必ず会場までいきましょう。受験しなければ、そもそも合格しません。全く自信が無くても、次につながるように必ず受験しましょう。もしかしたら合格できるかもしれません。

午前試験対策の戦略

 午前試験は80問を2時間30分で解き切る必要があります。難しい計算問題も多く、応用数学の分野から出題もありますが、これら一問一問にいちいち向き合っていたら、いつまで経っても合格ラインにたどり着けません。

 午前試験の40問程度は直近2回を除く過去10回分、800問からの流用です。さらに20問は過去問の類似問題です。よって、過去問をひたすら頭に叩き込みましょう。

 また、応用情報処理技術者試験で良くある挫折パターンは、計算問題が理解できずに挫折することです。午前問題の前半はテクノロジ系(計算問題やアルゴリズム、ハードウェア・ソフトウェアが動く仕組みを考える問題)です。業務に慣れたIT関係者ですら挫折することが多いため、良く出るパターンの回答と解き方を暗記するだけにしました。出題される後半40問の問題は、マネジメント系、ストラテジ系分野であり、非エンジニアでもとっかかりやすい内容になっておりますので、こちらを得点源にします。

 また、これは当日余裕がある方にはかなりおすすめなのですが、試験開始後に解き始める問題を40問目からすることです。40問目以降は計算問題やアルゴリズム、動く仕組みを答える問題は少なくマネジメント系、ストラテジ系の問題です。これらはほぼ暗記で即答できますので、先に回答をし、残った時間で1問~39問目を解きます。マークミスには要注意です。

午後試験対策の戦略

 午後試験は基本的に同じ問題は出ませんが、問われる内容は午前問題の応用です。こちらも過去問題をこなし、理解できれば解けるようになります。実際、午後問題は初見のものが多いですが、過去問で慣れておけば本番時も対応して解けるようになります。

 まず、力を入れたいのが、選択必須分野であるセキュリティです。過去問題を全て(平成21年春~)を解き、内容の理解とシラバスの用語暗記・理解をします。セキュリティは、必須分野のため、他の分野より易しく出題されます。必ず回答しなければいけない分野ですので、最も勉強に力を入れ、得点源になるよう満点を狙いに行きましょう。

 私は平成21年春~の全過去問を2回解き、解き方と答えを暗記しました。しかし、それでも私の受験した時はオフィスのセキュリティ区分や防犯カメラ、入退出時のアンチパスバックを問われる問題で、過去問だけでは対応できない問題でしたので、シラバスでしっかり対策をしましょう。

 他の分野は各自好みがあると思います。一度過去問を解いてみて、自分が一番解きやすい分野を選ぶのが良いでしょう。また、社会人の方であれば、自分の業務に近いものを選択するのも有りかと思います。良く見かけるのは、メインで4つの分野(セキュリティ以外)を決めておき、サブで2つの分野を準備しておくと本番時に解けない問題が出たときに対処しやすいと聞きます。しかし、私のおすすめはとにかく、まずはメインを4つひたすら勉強することをおすすめします。全くダメな問題が出たときは、その分野の勉強が不足しているということですので、他のサブに時間を割くくらいならメインで決めた分野4つをひたすら勉強するほうが得点できる可能性があがります。

 私が得点を取りやすいと思った分野は、経理戦略とサービスマネジメントです。

 経営戦略は社会人なら一度は聞いたことがある用語や簡単なビジネスフレームワークを活かす問題が出ますので、得点源になりやすいと感じました。私が受験したときは、企業のSNSが炎上するとどのようなリスクがあるかを問われる問題が出ました。比較的とっかかりやすいと思いますが、会計・財務系の問題が出ると、一気に難易度が高くなりますので、こちらは要注意です。PL(損益計算書)・BS(貸借対照表)・CF(キャッシュフロー計算書)のいわゆる財務三表は午前問題でも問われるので、必ず押さえておきましょう。経営戦略は以下のサイト様がまとめてくださっているものを参考に勉強しました。かなりまとまっており、おすすめです。


 サービスマネジメントは比較的傾向が読みやすく、かなりの確率でインシデント(障害)が起き、それに対する暫定対処と恒久対策、根本原因の調査と運用保守体制を問われることが多いので、この辺りを過去問で読み解く力を身に着ければ得点源になります。私が受験したときの問題は、おそらく満点が取れたであろうと思ったくらい、簡単だと感じました。また、その他ポイントとして、運用保守は手順書を必ず準備し、手順書に不備があった場合の切り戻し(元に戻す)手順を準備しておくことも良く問われますので、抑えておくと良いでしょう。

 午後問題は、午前対策だけでは対処できない現場の業務でこうあるべき、というルール的なものを問われることが多いです。(厳密にはそれぞれ対応する規格があり、それに沿っているのですが、そこまで深堀りしていると時間が勿体ないです)

 その他、システムアーキテクトは、複雑そうな表や図、計算式が出てきますが、問題をしっかり読んでいくと、それほど難しいことは問われておらず、簡単な四則演算で解けるものが大多数です。計算式は問題文中にあるので、実はそれほど難しくないという印象でした。

 プログラミング、データベース、ネットワークは全く知識0から挑戦しようとすると、なかなかハードルが高いと思います。しかし、答えとなる正解が必ず1つとなるので、論文系や文書問題が苦手な方はこちらでかっちり答えを出していくのが良いでしょう。

 情報システム開発は幅広く様々なことを問われるので、実務経験者有利という印象でした。設計手法やUML、オブジェクト指向やテスト手法の具体的な内容を問われます。

 プロジェクトマネジメントは、近年アジャイル開発手法が入ってきているため、2021年以降の出題傾向として新しい傾向となってきているようです。筆者の場合、これまでと変わってアジャイルの問題が出題されて泣きそうになりましたが、よく読むと、当たり前のことを問われているいるだけで、アジャイル開発をテーマとしたプロジェクトとしてどうすべきか、根本的なものを問われていました。

 監査は、筆者が苦手なため、割愛します。

午後対策は、後述する午後対策本を一通り勉強すれば問題なしです。

勉強方法

利用した参考書

キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者
 初学者から熟練者まで、まずは読んでほしい1冊です。ここまでITのことを理解しやすいように、わかりやすく図解解説している本は世界中探しても無いと思います。特に強くおすすめしたい内容は、なぜこのような技術が存在するのか、現在の仕様に至った経緯が完結明瞭に書かれていることです。このような背景と共に内容を理解することで、基本的な理解の上に応用力が付きます。


徹底攻略 応用情報技術者教科書
 全文PDFでダウンロード提供されます。午前試験対策で活用しました。良く出るテーマごとにまとめられており、そのテーマの過去問題が記載されております。テーマごとに過去問題を集中的に繰り返し解くことで、過去問の傾向と解き方を理解できます。これを活用して、注釈に記載されている過去問含めて全問題を1回解き切り、理解を深めました。


応用情報技術者 午後問題の重点対策
 解説がとても丁寧であり、午後問題で出題される傾向や受験者が引っ掛かりやすいポイントやモヤモヤポイントを丁寧に記載されています。午後対策は、本格的な演習に入る前に、これを3回繰り返しました。


利用したサイト


応用情報技術者試験.com
 受験者の9割以上が利用しているのでは無いでしょうか。有名なサイトです。スマホからも気軽に利用できるため、通勤時間や隙間時間に繰り返し解きました。過去問道場では、分野別に過去問を解け、過去間違えた問題などを再出題させることができるなど、記憶の定着に役立つ機能が満載です。さらに、最近午後問題にも対応しており、もはや、キタミ式以外はいらないのでは?と思ってしまうくらい充実した内容となっております。
(※午後対策としての解説としては、「応用情報技術者 午後問題の重点対策」がまだまだ充実しています)


まさるの勉強部屋(Youtube)
 強くおすすめしたいチャンネルです。まさるさんがわかりやすく簡潔に解説してくれます。夜の疲れ切った時間に、アウトプットするのが辛い時に良く活用させていただきました。BGMと話し方が落ち着いており、個人的には深夜に聞く大人のFM感覚で聞いていました。聞いていると、なんとなくやる気も出てくるのが不思議です。発信者である「まさるさん」が本気で理解しやすいように解説を考えてくれているからだと思います。正直、このチャンネルがなかったら、やりきるモチベーションが続かなかったと思います。


勉強時間

私が実際に勉強した順番と時間です

キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 40時間(2周)
 ↓
徹底攻略 応用情報技術者教科書 40時間(1周 ※注釈にある過去問全部解く)
 ↓
応用情報技術者 午後問題の重点対策 100時間 3週
 →初回は選択する分野を選ぶため、全部解きました。
 ↓
残り時間は「応用情報技術者試験.com」やその他サイトやYoutubeなど

総合280時間
 午前対策時間:140時間
 午後対策時間:140時間

 試験1か月前からは、毎日午前問題40問と午後問題のセキュリティと他1分野を解くようにして、1日3時間くらい勉強していました。1か月前までには基礎を十分に行い内容理解に努め、追い込みで演習問題をひたすら回しました。土日は7~8時間は勉強していたと思います。家族の協力もあり、比較的集中できる環境で勉強することができました。図書館にはかなりお世話になりました。

 勉強開始は8月中旬に徐々に勉強を始め、9月から本格的に勉強のペースを上げていき、ラスト1か月で追い込んでいきました。

 平日は朝に計算問題と午後問題を中心に行い、夜に午前問題の暗記や読み物を中心に勉強を進めました。朝にスッキリした状態で頭を使う勉強をし、脳が疲れた夜は暗記系を行うことで、効率的な勉強を行いました。記憶を定着さえるために、手を動かして進めることも大切です。

 また、私が一番意識したのは、非認知能力と呼ばれる人間の能力を体系化したもので、「やり抜く力」「自分を信じる力」「自己肯定感」「モチベーションの維持」「集中力」「忍耐力」「セルフコントロール」などと呼ばれる部分を大切にして、継続的に効率よく勉強する工夫をしました。継続できるモチベーションを保ちながらやり抜くことが一番重要です。これが出来なければ合格はできません。

 実際に私が行ったことを記事にしました。この行動で実際に私が合格できましたので、試してみる価値はあると思います。


試験前日と当日

 試験前日に良く眠れるように、3日前から睡眠時間を調整します。前日夜11時に就寝し、8時間の睡眠を確保できるように生活リズムを整えましょう。長時間にわたる試験の集中力は睡眠時間が重要なポイントです。

 試験当日は、少し早めに到着し、余裕を持って試験に挑めるように心に余裕を持っていきます。また、午前試験が早めに終わったので、途中退出後、すぐに軽めの昼食を食べ、仮眠を取ります。午後試験40分前に起きて、リポビ〇ンDを飲んで午後試験に挑みました。

 午後試験は1分野30分で解いていく時間が配分になりますので、かなり集中力がいります。栄養ドリンクを飲んで頭を体をスッキリさせて挑めば、なんとかなるはずです。

試験後

 午前問題はすぐに速報が出るので自己採点が可能ですが、午後問題はなかなか回答が出ず、世間で公表されるものもバラバラであり、自己採点がなかなか難しいと思います。

 午後試験の私の当時の自己採点では、かなり厳しい採点で50点、あまあま採点で65点でしたが、実際の得点は76点でした。おそらく、方向性やこういった解釈もできるよね、というスジが通った回答が出来ていれば、IPAが公表する回答にあっていなくても部分点や別解で点数が稼げます。午後試験は、最後まであきらめずに全部埋めることを意識していくと良いと思います。

次のステップ

 応用情報技術者試験に合格すると、2年間、高度情報処理技術者試験の午前Iの試験が免除となります。筆者はこの試験の後、勢いで春試験であるITストラテジスト試験を受けて合格できました。

(応用情報技術者試験に合格した勢いと、業務で近いことを行っていたことと、論文対策で良い教材に出会えたことがズバリはまりました。)

ITストラテジスト試験に合格した方法も記事にしましたのご興味がある方はぜひ。

 これから応用情報技術者試験を受験される方に本記事が有用な情報となれば幸いです。

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