見出し画像

プレゼンテーションの教科書 #2 相手の心をひきつけて動かすのがプレゼンテーション


プレゼンテーションの意味

 プレゼンテーション(Presentation)という言葉を日本語に訳すと、

  1. 贈呈・贈り物

  2. 紹介・披露

  3. 提示・表現・説明

  4. 公開・上演

 といった意味になります。営業の世界では、「相手を説得すること」、「企画を相手に出すこと」を指します。プレゼンテーション=説得、企画提出と考えている人が多いようです。しかし、プレゼンテーションは企画とは違うし、説得とも違います。相手の心を読み、相手に自分の心を伝えて自分の心を理解してもらうこと、つまり、一言で言うなら、「感動」と「共感」がプレゼンテーションの本来の意味なのです。「感動」とは、相手の心を自分のほうに引きつけること、「共感」とは、自分の意向どおりに相手を動かすことです。

 『相手の心をひきつけて動かす』これがプレゼンテーションです。

 日本でこの考え方を初めて導入したのは広告会社でした。マーケティングという言葉と共に米国から入ってきました。

 広告会社がクライアント企業向けへの提案を行う場合には、必ず競合相手が存在し、さらにその競合相手も独自の提案を行うので、クライアント企業は、その中から一社の案だけを選びます。複数の広告会社の中で、広告等を取り扱うことができる広告会社はたった一社です。広告会社は、常に、いかにコンペ(コンペティション、つまり競争)に勝つかを考えなければなりません。このプレゼンテーション競争に勝ってこそ初めて利益につながることになります。負ければゼロです。広告会社では、競合相手とのコンペの中でクライアント企業に提案を行うことを、"プレゼンテーション"と呼んできました。

プレゼンテーションの形式と段階


 プレゼンテーションには、面談形式・会議形式・コンペ形式・公演発表形式・シンポジウム形式・パネルディスカッション形式・フォーラム・ディペートなどの形式があります。

プレゼンテーションの段階としては、

  1. 第1段階…相手にわかりやすく、正確に情報を伝える

  1. 第2段階…相手に理解してもらい納得してもらう               .

  2. 第3段階…相手の印象をよくし、信頼感を深める

  3. 第4段階…結果としてこちらの提案を受け入れたり、何らかの行動を起こさせる

企業のプレゼンテーション活用の背景


 広告会社で使われていたプレゼンテーションは、やがてあらゆるビジネス場面で活用されるようになりました。今では、「プレゼンテーションの時代」とさえ言われるようになったわけですが、何故、今、プレゼンテーションなのでしょうか。企業がプレゼンテーションを活用しようとする背景には、次のようなことが挙げられます。

(1)競争社会で生き残る


 企業間競争の激化の中で、生き残るための新たな戦略が必要になってきました。自社商品が他よりいかに優れているかを示し、いかにお客様のお役に立てるのかをアピールしなければなりません。

(2)コミュニケーション・ギャップを解消する


 企業組織の中で、世代間のコミュニケーション・ギャップが大きな問題となっています。「あ・うんの呼吸」が、価値観の多様化によって、通用しなくなってきています。自分の主張や意見を、きちんと相手に理解されるような形で伝えていくことが重要となってきています。

(3)部門間のコミュニケーションを円滑にする


 企業においては部門間のコミュニケーションの欠如という問題が起こりがちです。これは、組織における業務の細分化によって生じる場合が多いです。個人は、仕事のある部分には精通していても、全体を見ることができないという問題点があります。そこで、部門間でプレゼンテーションをする必要性が出てきたのです。

(4)グローバルな時代に対応する


 日本人が外国人相手にビジネスをする場合、その国の人達に自分達の主旨をアピールし、理解してもらうことが必要です。それにはまず、相手国の文化、習慣などを理解することが必要で、更に、相手に理解される表現をすることが求められます。

説明と説得


(1)説明


 一般的には、「よくわかるように述べること、また解き明かして考えること」を「説明」と言います。相手に内容を伝えることができれば、一応の目的は達成されたことになります。日本人は"タテマエで行動し、ホンネを他人に隠す"と言いますが、特に商談においては相手の本音を開き出すためには、質問を投げかけるなどして、相手の興味や感心事を掘り出すのも一つの方法です。

(2)説得


 プレゼンテーションを成功させるのに最も重要なものが説得です。説得とは、相手に説明をして、自分が望む方向に話の流れを向けさせ、行動や態度に変化をもたらすことを指します。説得の3要素として、信頼性、論理性(内容の信頼性)、情動性があります。しかし、限られた時間の中で情報を伝達し、相手から同意を得ようという目的は、単なる説明だけで達成できるものではありません。相手に強烈な印象を与え、自分の説明を正確に理解してもらうような強い意志を持った説得が必要なのである。いかにスキのない論議を展開しても、相手に具体的なイメージが沸いてこなければ、説得とは言えません。一般的な技術としては、

  1. 相手を価値ある個人として認める

  2. 目標を明確にし、見失わない

  3. 相手の自己洞察に目を向ける

  4. 相手の立場を尊重し、考え方を受け入れる

  5. 相手の発言に敏感で、核心をつかむ

  6. 時間も効果的に活用する

  7. 情熱をもって話す(情動的)

  8. 相手の不安を除去する

  9. 一面的提示より、二面的提示を多用する

  10. ユーモアを効果的に活用する

  11. 推測で意見をいわない


プレゼンテーションの教科書シリーズの他ページのリンクは以下


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?