プレゼンテーションの教科書 #5 提案に命を吹き込むプレゼンテーションの心構え
プレゼンテーションの心構え
(1)大きな声で
昔から、「声が大きい奴が出世する」とか、組織内で「声が大きい奴が勝つ」などと言われています。小声でポソボソ話していては、聞き取りにくく、説得力もなくなります。声の大きさは、プレゼンテーターの人格や提案内容への自信の有無にも影響を及しますので、声を大きく出す訓練を常日頃から実施することが大切です。
(2)情熱と熱意を示す
提案書に命を吹き込み、共感を得るのがプレゼンテーションの役割です。その命を吹き込むのが、プレゼンテーターの提案書を説明する情熱と熱意であります。スキルを学ぴ、事前準備を整え、プレゼンテーションの場に臨んだとしても、
顔に生気がない
視線が不安定
うつむきかげんの姿勢
一本調子の声で、台本通りの読み上げ
説明口調でポイントがない
以上のような状況では、単に情報を流しているに過ぎず、共感を得るプレゼンテーションにはなりません。それよりも、
顔に精気があり、目に輝きがある
前をきちんと見て、時折ジェスチャーも加わる
何を話したいか、訴えたいかというポイントを押さえている
説明口調でなく、自分の言葉で語りかけてくる
以上の状況になってこそ、共感を得るプレゼンテーションの原点を押さえたと言えます。そうなるには顧客(相手)に対する提案書の内容が自分のものになつているという自信を持つことが必要です。
自分がよく理解・納得していないと、顧客(相手)から共感を得ることなどありえません。熱意や情熱は、声の大きさや顔の表情のスキルからでなく、提案書に対する自分自身の理解という内面から出てくるものです。このことさえしつかりしていれば、おのずと表現方法や説得力がついてきます。
(3)適度にあがる
「人前に出ると、どうもあがっちゃって、思ったことの半分も言えなかつた」といぅ声をよく耳にします。また、人前で話すの闇ま結構慣れている人でも、時や場合、場所等によってあがることも多いようです。
話を忘れないため、メモを作って持つていく
視線を遠くに合わせる
ビジュアルを多く使い、なるべく話さないようにする
様々なおまじないをする
これはあがらないための様々な工夫例です。しかし、逆にあがることでのメリットもあります。
事前準備を詰めるようにする
適度な緊張感が生まれ、次の行動に移る準備を促進する
あがっていない場合、わりと淡々とした話に終わってしまい熱意が示せない
大切なのは、「何を訴えたいかのポイントを明確にし、提案書が自分のものになっている限りは必ずうまくいくものだ」という自信を持つことです。
プレゼンテーションの準備
何も用意をせず、「ぶっつけ本番」でプレゼンテーションを行っても、望ましい効果は望めません。やはり、準備段階において工夫することが大切です。
(1)形のないプレゼンテーション
カメラはシャッターを押せば、ほぼま狙い通り被写体を写してくれます。ビデオもスイッチを押せば、事前に用意した映像を再現してくれます。しかし事前に明確な形がなく、顧客とのやり取りの中で変化していく可能性のあるプレゼンテーションのようなソフトのコミュニケーション手段は、実際には、準備していた通りにうまく進むことなどほとんどありません。途中で顧客が反応すれば、その部分に時間が割かれてしまい、何の反応も示さなければ、その部分を飛ばしてしまうこともあります。終了後に、「あの部分はもっと話しておけば良かった」「この部分は事例を活用すれば理解が得られた」と反省することになります。ましてや、準備をしなかった場合は、狙い通りのプレゼンテーションは全く期待できず、反省の連続になります。
サービスと同じで、形が不明確で(無形性)、相手次第で(変動性)、その場で考えなけれぱ必ず(同時性)、時間に制約があり(制約性)、やり直しがきかない(一限性)プレゼンテーションには、相当な準備が必須条件となります。
(2)準備の効果
プレゼンテーションは説得の手段ですから、内容が相手に理解されなくてはなりません。それには、まず起承転結といった全体の構成が顧客に理解されることが必要です。
どこまでが序論で、どこからが本論で、結論がどこにあるのかが分からないようでは、プレゼンテーションの内容を顧客が理解することはありません。
プレゼンテーションには、時間の制約、場所の制約、設備の制約といった制約がありますから、事前の準備をしていかないと、これらの制約に縛られ、プレゼンテーションが成立しなくなります。
特に、時間は重要な要素となります。必要な情報の伝達も大切ですが、プレゼンテーションでは時間をまず優先させて考える必要があります。限られた時間の中で必要な主張点を盛り込み、最も効果的な内容にしなけれぱなりません。
さらに、場所も重要な要素です。対象人数に対して広すぎたり、狭すぎたりして、なかなか思うようにいかず、構造上、見えにくい場所や、演出を考えようにも必要な機材の準備がない場合さえもあります。事前に確認して、できるだけ環境にあった演出方法や構成を考えましょう。
準備の効果としては、下記のものがあります。
目的にあった全体の構成が明確になる
限られた時間での主張点が明確になる
言い落としが防げる
ツールを使うタイミングを考える
演出を考える
プレゼンテーションにおける関係づくり
「見ず知らずの相手に対して言ってはいけない」というのが、プレゼンテーションの鉄則であり、プレゼンテーションを成功させるためには、まずそれにふさわしい関係を築いてく必要があります。つまり、「プレゼンテーションをする前には、必ず相手との信頼関係を成立させる」ことを重視します。
その戦略的な方法をプロセスとして設定したのが、PRAM理論です。自分と相手との関係づくりをする場合には、PRAMのプロセスを踏んで行動するのが効果的です。
P-Planning…(プランニング)計画
R-Relation…(リレーション)関係作り
A-Agreement…(アグリーメント)合意
M-Maintenance…(メンテナンス)関係の雛持
(1)計画の推進(プランニング)
自分サイドの目標を確認する
相手サイドの目標について予測する
合意が得られそうな領域を見定めておく
不一致領域を調和させる解決策を検討する
(2)関係を築く(リレーシヨン)
個人的関係を伸ばすような活動計画を立てる
相互信頼感を育てる
個人的関係を充分発展させる
(3)合意を形成する(アグリーメント)
相手側の目標を確認する
合意している一致点を明らかにして確認する
不一致領域調整のための解決策を提案する
相違点を共同で解決する
(4)関係を維持する(メンテナンス)
約束の維持を行う
関係の維持を行う
アフターサービスを心掛ける
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