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51-果歩の帰省

果:ん〜!やっと着いた…!

関空から電車を乗り継ぎ、地元の芦屋まで帰ってきた。駅のロータリーで母親を探す。

果:ただいま

藤母:おかえり、疲れた?

果:ううん、大丈夫

藤母:そっか…

母親の車に乗り込み、実家に向かう。

果:ただいま〜

?:おかえり、お姉ちゃん

果:ただいま、陽子

果歩は荷物を自分の部屋に置き、リビングのソファに腰掛ける。

陽子:いつまでいられるん?

果:しばらくはいる予定…

陽子:ふ〜ん……

果:なんやねん!(笑)自分から聞いたくせに(笑)

外では蝉時雨が鳴いている。

藤母:そういえばお昼食べたん?

果:来しなに駅で買って食べた

藤母:カレーあるけどいる?

果:いや、いい

すると、陽子がおもむろにテレビの電源を入れる。

陽子:お姉ちゃん、パス

そう言って陽子が果歩に投げたのはゲーム機のコントローラーだった。

陽子:勝ち逃げは許さんで?

果:…ほう、ってことは勝てる自信があるんやな?

陽子:もちろん!今回こそはシバキ回したる…!

果:よっしゃ、その自信ごとへし折ったるわ!(笑)

陽子が電源を入れたゲームは大乱闘スマッシュブラザーズだ。

果:こちとら一人暮らし始めてからもやってんねんからな

陽子:ウチだって負けとらんし

お互いキャラクターを選択し、いざ勝負に。

果:よっしゃ、パーフェクトゲームにしたるわ

陽子:ウチが勝利のパーフェクトゲームやな?(笑)

果:……シバく

お互い1歩も譲らぬ攻防戦が続いている。

果:…やるやん(笑)

陽子:伊達に練習してへんからな

しかし、戦況が傾き始める。

果:おっ?おっ?(笑)

陽子:うるさい

果:ヤバいんちゃう?(笑)

陽子:あっ……

(Game Set!!)

陽子の操作キャラがステージから弾き飛ばされ、負けてしまった。

果:残念やったな〜(笑)

果歩がここぞとばかりに煽る。

陽子:…もう一戦!

果:まぁ、次も負けるやろうけどなぁ(笑)

その後も五十戦ほど繰り返すが、陽子の勝率は3割にも満たない。

果:全然勝てないなぁ?(笑)

陽子:はぁ……

陽子はそのままソファに沈み込む。

藤母:夜ご飯どうする?

果:…お父さんは?

藤母:もうすぐ帰ってくるんちゃう?

果:じゃあカレーの残りでいいんちゃう?

藤母:ならテーブルの上にあるもん直しといて?

果:分かった

しばらくして父親が帰ってきた。

藤父:ただいま〜

果:おかえり

藤父:おぉ…!久しぶり!

果:うん(笑)

全員でテーブルに着き、夕食を食べる。

果:ふぅ〜、…もうお酒飲んどるん?

藤父:まぁ果歩もそっち座れ

夕食を食べ終え、果歩がお風呂から出ると父親がリビングでお酒を飲んでいた。

果:ウチまだ19やけど

藤父:まぁまぁ、練習やと思って…

父親がビールを注いだグラスを差し出す。

果:え〜……

果:(……グビッ)…うへぇ……

藤父:苦いか(笑)まだお子ちゃまやな(笑)

果:うるさい…

藤父:あんまり無理して飲むな?

果:分かっとるって

少しずつグラスを傾けていく。

果:ん〜……

徐々に果歩の瞼が重くなっていく。

藤父:そろそろ終わりにするか

果:💤💤

藤父:はぁ…(苦笑)

父親が果歩をお姫様抱っこでベッドまで連れていく。

藤父:…大きくなったな……

ベッドに寝かせ、布団をかける。

果:💤💤

果父:…悪い男に引っかからんといてや?

そう言ってドアを静かに閉めた。

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