
43-デートに行く久美
久:はぁ〜……
ひなの:…どうしたの?
久:ううん、何でもない
ひなの:ならいいけど…
ある日、ひなのがリビングでゲームをしていると、久美が横でため息を吐いた。
ひなの:…なんか悩みごと?
久:悩みって言うほどのあれじゃないんだけど…、ひなのはこの人のことどう思う?
ひなの:えっ?
そう言って久美が見せたのは1人の男性の写真だった
ひなの:……お姉ちゃんの知り合い?
久:うん、まぁ、ゼミで知り合って何回か一緒に遊びに行ってる…
その瞬間、コントローラーを動かすひなのの手が止まった。
ひなの:…それで?
久:このままの関係性でいいのかなぁ〜、なんて考えてたり……
ひなの:お姉ちゃんはその人のことはどう思ってるの?
久:……分かんない
すると、ひよりが陽菜をおぶりながらリビングに降りてきた。
ひより:喉乾いた〜
久:冷蔵庫に麦茶作ってあるよ
陽:飲む〜
喉を潤した2人はソファに腰掛ける。
ひより:2人は何してんの?
ひなの:久美お姉ちゃんの恋愛相談
久:ばっ…、何言ってんの!?
陽:久美お姉ちゃんに彼氏〜!?
久:違うから!
騒ぎを聞きつけた他の家族もリビングに集まる。
美:何?どうしたの?
史:今、彼氏って聞こえたけど
菜:……まさか…(笑)
ひなの:久美お姉ちゃん?(笑)
ひなのがニヤつきながら久美にアイコンタクトを送る。
久:……全然そういうのじゃないから…//
史:何〜?(笑)双子に隠し事するの〜?(笑)
久:……//
ひなの:ちゃんと言いなよ〜(笑)
愛:どういうあれなの?ひなの
ひなの:大学のゼミで知り合った男の子と何回かデートしたんだけど、このままでいいのかな?ってことらしい(笑)
久:もう…//
史:何恥ずかしがってんのよ(笑)
美:…久美お姉ちゃんが恋か〜(笑)
ひより:久美お姉ちゃん、ファイト!
久:もうみんな話が飛躍しすぎ…(笑)まだその段階になってないから(笑)
そして次のデートの日、久美はおめかしして駅前のロータリーにいた。すると、1台の乗用車がロータリーに入ってくる。
(キキーッ)
□:お待たせしました
中から1人の好青年が出てくる。久美の1つ下の後輩、若林□□だ。
久:ううん、大丈夫、じゃ行こっか
助手席のドアを開け、車に乗り込む。
久:…今日はどこ行くの?
□:海です
そのまま□□は車を発進させる。
数十分後、車窓から海が見え始める。
久:わぁ〜、潮の香り〜
□:(笑)あまり顔を出すと危ないですよ
久:は〜い
白浜海岸近くの駐車場に車を停め、車から降りる。
久:暑っついね〜
□:飲み物買ってきます?
久:いいの?お願いね
□:行ってきます
その間に、久美は日傘を差して一足先に砂浜に降り立つ。
久:🎶〜🎶〜
足で砂を蹴りながら遊んでいると、□□が戻ってくる。
□:久美さん、お待たせしました
久:あっ、ありがとう
□□から缶ジュースを受け取り、プルタブを起こす。
久:あ〜、美味し
□:ふふっ(笑)
久:何?(笑)
□:いや、可愛いなぁ、っと(笑)
久:何言ってんの?…//(笑)
久美はサンダルを脱ぎ、海の方へ歩いていく。
久:□□くんもおいで?
□:私スニーカーですよ?
久:いいから
無理やり□□の靴を脱がせ、波打ち際まで引っ張り込む。
□:気持ちいい〜
久:でしょ?(笑)
しばらく波打ち際で遊んだ後、九十九島海鮮市場にお昼を食べに向かった。
□:久美さん、何食べます?
久:え〜、あの海鮮丼のお店とかどう?
□:いいですね、行きましょうか
ひとつのお店に入り、海鮮丼を注文する。
久:やっぱ室内は涼しいね~
□:ですね~
大将:季節の海鮮丼、お待ちどう
久□:ありがとうございます
割り箸を取り出し、手を合わせる。
久:いただきま~す
□:いただきます
久:ん~、美味しい
□:でも変わった味の醤油ですよね
大将:兄ちゃん、いいところに目つけたな!それ醤油じゃなくてウチ特製のたれなんだよ
久:へぇ~、でも確かにちょっと甘みがあるよね
□:このたれって販売とかしてないんですか?
大将:別に売るほどのもんでもないしな~(笑)
2人はご飯を食べ終え、お店を後にした。
久□:ごちそうさまでした
大将:あいよ
午後は近くの水族館へ。
□:すいません、大人二枚お願いします
受付:かしこまりました
チケットを受け取り、館内へ入る。入ってすぐのところにはイワシの水槽が。
久:うわ〜、綺麗〜
□:これイワシの群れですかね?
久:じゃない?そこに書いてあるよ?
□:…食べたいって思います?(笑)
久:私そんなに食いしん坊に見える?(笑)
少し進むと、水族館近辺の魚が展示されている水槽があった。
□:五島の魚ですって
久:行ったことある?
□:いや、ないです
久:そうなんだ
お食事かんさつ水槽を通り、大水槽へ向かう。
久:でっか〜!
□:(笑)何匹くらいいるんでしょうね?
久:□□くん、数えてみて?
□:日、暮れますよ(笑)
続いて2階へ。
久:2階からも大水槽が見えるんだね
□:あっ、久美さん、そろそろイルカショー始まりますよ
大水槽の隣にはイルカプールが置かれていた。
久:ホント?じゃあ行こ?
それほど混んでいなかったので、座席の中ほどに2人で腰掛ける。そしてイルカショーが始まった。
久:おぉ〜!すご〜い!
□:息ぴったりですね!
久:ね!
イルカショーが終わり、2人はクラゲシンフォニードームへ向かった。
久:綺麗〜
□:神秘的…
久:ずっと見てられる…
そのまま地下1階までさまざまなクラゲを観賞しながら降りていく。
久:もう終わりか〜
□:でも向こうにクラゲ研究室なるものがありますよ?
久:ほんとだ
クラゲ研究室には他のクラゲの展示はもちろん、クラゲに関するいろいろな解説文が置かれていた。
久:へぇ〜、こうしてみるとクラゲって不思議だね〜
□:(笑)すっかりクラゲにハマっちゃってますね(笑)
久:だってスゴくない!?
□:まぁ、綺麗でしたけど(笑)
1階に上がると、ヒトデなどに触れられるコーナーがあった。
久:□□くん、触ってみて?
□:(ツンツン)…結構大人しいですね
久:あら、なんでだろう
そして、出口へ。
久:あぁ〜、楽しかった
□:楽しんでもらえたようで何よりです
久:この後は?もう帰るの?
□:近くにお店を予約してます
久:じゃあ、レッツゴー!
車に乗り込み、お店に向かう。
久:おぉ、ずいぶんお高そうなお店じゃない?
□:意外にリーズナブルですよ?
店内に入ると、最奥のバルコニー席に案内される。
久:…お昼は暑かったけど涼しくなってきたね
□:そうですね〜……
久:……。
久美が□□の顔をじっと見つめる。
□:?どうしたんですか?
久:…なんか緊張してない?堅いよ?
□:気のせいじゃないですか?(笑)
それぞれ料理を注文し、到着を待つ。
店員:お待たせ致しました
久□:ありがとうございます
料理が到着し、2人ともいただく。
久□:いただきます
久:ん〜、美味しいね
□:えぇ、そうですね
久:(笑)□□くん、さっきから『そうですね』しか言わないじゃん(笑)
□:いや、まぁ、はい(笑)
料理を食べ終え、デザートを食べる。
久:…今日はありがとね
□:いえ、こちらこそありがとうございました
久:……早くしないの?
□:えっ?あっ、……バレてました?
久:バレバレ(笑)
□□が立ち上がり、それに続いて久美も立ち上がる。
□:久美さん
久:はい
□:…私と付き合ってください!
久:……。
2人の間に沈黙が流れる。
久:……よろしくお願いします
□:…ありがとうございます!
久美は□□からの告白を受け入れ、2人は付き合うことに。
久:ふふっ(笑)じゃあ帰ろっか
□:はい…(笑)
佐々木家の最寄り駅に到着し、久美は車を降りる。
久:またね、□□くん
□:はい、また今度
久:□□くん、敬語(笑)
□:気を…つける(笑)
家に到着し、リビングのドアを開ける。
久:ただいま〜
ひなの:おかえり
久:疲れた〜
菜:どこ行ってたの?
久:□□くんと遊んできた
陽:…この前言ってた人?(笑)
久:…そう(笑)
史:その顔は、さては告白されたな?
久:うん、まぁ…//
全員が顔を見合わせる。
芽:おめでとう!
愛:やったじゃん!
美:よかった〜!
ひより:すご〜い!
祝福ムードの佐々木家です。