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第三話

正源司さんがテーブルの上にデカデカと地図を広げる。

陽子:じゃあみんなどこ行く?

帆夏:定番スポット回りたい、清水寺とか金閣寺とか

莉奈:私浴衣着たい

すみれ:私は〜、美味しいものいっぱい食べた〜い

陽子:そっか〜、〇〇さんは?

〇〇:私?…私はみんなが行きたいところでいいよ(笑)

私はそう言い残して、□□をお風呂に入れに席を立った。



〇〇:(トントントントン……)

□□を寝かしつけながら居間に戻ってくると、四人が頭を抱えていた。

〇〇:…どうしたの?

陽子:行き先が一つも決まらない……

〇〇:なんでよ…(笑)

帆夏:全員のやりたいことが違うから…(苦笑)

〇〇:……もう全部やっちゃえば?

莉奈:えっ?

〇〇:全員がやりたいこと全部やったらいいんだよ、せっかくの京都なんだし…、

陽子:それだ〜!

帆夏:それだ〜!じゃないのよ、そんなの無理でしょ

陽子:いや、イける…!!

陽子:私がスケジュール作っておくから、みんな楽しみにしといて!!

すみれ:ほんとにそんなこと出来るの?

帆夏:絶対無理だと思う…

莉奈:無理だったらちゃんと言ってよ?

陽子:オッケー!じゃあ解散!

正源司さんが立ち上がって玄関に向かう。

〇〇:(笑)外まで送ってくよ

帆夏:じゃあお邪魔しました〜

祖母:は〜い、またいつでも来てね

莉奈:お邪魔しました



不安を抱えたまま、修学旅行当日

〇〇:おはよぉ……

帆夏:眠そうだね…(笑)

集合場所の東京駅にやってくる。

陽子:佐々木先生!うちの班全員揃いました!

久美:は〜い、2班全員集合、っと…、

陽子:あ、そうだ、みんなに二日目の日程表渡しとかないと……!

すみれ:そうだ、まだもらってなかった〜

〇〇:…へぇ〜、いっぱい回るんだね

陽子:全部を回りたいからね…!

日程表を受け取った私たちは班ごとに新幹線に乗り込み、京都を目指す。

〇〇:……。

私は席に着いて早々、文庫本を開いて読書に浸る。

陽子:みんな〜、トランプやろ〜

莉奈:私眠いからパス

すみれ:私も寝た〜い…、

帆夏:みんな早起きで来たからしょうがないよ…(苦笑)

陽子:え〜……、

私と正源司さん以外の三人は目を瞑って眠ってしまった。

陽子:…このために昨日早く寝たのに……、

〇〇:……。

私は読んでいた文庫本を閉じて、正源司さんからトランプを受け取る。

陽子:えっ?

〇〇:ゲームのルールは簡単、交互にカードを引いていって2回連続で同じマークのカードを出したら自分の手札になる、最終的に手札の枚数が少ない方が勝ち

陽子:…〇〇さんがハート出した後に私がハート出したら私が持ってなきゃいけないってこと?

〇〇:そういうこと

私はトランプの束をシャッフルして一枚出す

〇〇:ダイヤの6

陽子:じゃあ次私…、

陽子:ハートの2

〇〇:…スペードのジャック

陽子:…あ、スペードの1

〇〇:(笑)はい、正源司さんの手札ね

豚のしっぽの簡易版を延々と続けていた私たち。

陽子:絶対シャッフルで細工してるでしょ〜(笑)

〇〇:してないよ(笑)じゃあ次正源司さんが山札持ってていいよ?(笑)

陽子:よ〜く混ぜて…

〇〇:……(笑)

陽子:…ねぇおかしいって…!(笑)

〇〇:(爆笑)

陽子:なんでシャッフルしたのに同じマークが出てくるの〜?(笑)

正源司さんの運の無さに爆笑しているうちに、新幹線は京都駅に到着した。


〜続〜

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