第三話
正源司さんがテーブルの上にデカデカと地図を広げる。
陽子:じゃあみんなどこ行く?
帆夏:定番スポット回りたい、清水寺とか金閣寺とか
莉奈:私浴衣着たい
すみれ:私は〜、美味しいものいっぱい食べた〜い
陽子:そっか〜、〇〇さんは?
〇〇:私?…私はみんなが行きたいところでいいよ(笑)
私はそう言い残して、□□をお風呂に入れに席を立った。
◇
〇〇:(トントントントン……)
□□を寝かしつけながら居間に戻ってくると、四人が頭を抱えていた。
〇〇:…どうしたの?
陽子:行き先が一つも決まらない……
〇〇:なんでよ…(笑)
帆夏:全員のやりたいことが違うから…(苦笑)
〇〇:……もう全部やっちゃえば?
莉奈:えっ?
〇〇:全員がやりたいこと全部やったらいいんだよ、せっかくの京都なんだし…、
陽子:それだ〜!
帆夏:それだ〜!じゃないのよ、そんなの無理でしょ
陽子:いや、イける…!!
陽子:私がスケジュール作っておくから、みんな楽しみにしといて!!
すみれ:ほんとにそんなこと出来るの?
帆夏:絶対無理だと思う…
莉奈:無理だったらちゃんと言ってよ?
陽子:オッケー!じゃあ解散!
正源司さんが立ち上がって玄関に向かう。
〇〇:(笑)外まで送ってくよ
帆夏:じゃあお邪魔しました〜
祖母:は〜い、またいつでも来てね
莉奈:お邪魔しました
◇
不安を抱えたまま、修学旅行当日
〇〇:おはよぉ……
帆夏:眠そうだね…(笑)
集合場所の東京駅にやってくる。
陽子:佐々木先生!うちの班全員揃いました!
久美:は〜い、2班全員集合、っと…、
陽子:あ、そうだ、みんなに二日目の日程表渡しとかないと……!
すみれ:そうだ、まだもらってなかった〜
〇〇:…へぇ〜、いっぱい回るんだね
陽子:全部を回りたいからね…!
日程表を受け取った私たちは班ごとに新幹線に乗り込み、京都を目指す。
〇〇:……。
私は席に着いて早々、文庫本を開いて読書に浸る。
陽子:みんな〜、トランプやろ〜
莉奈:私眠いからパス
すみれ:私も寝た〜い…、
帆夏:みんな早起きで来たからしょうがないよ…(苦笑)
陽子:え〜……、
私と正源司さん以外の三人は目を瞑って眠ってしまった。
陽子:…このために昨日早く寝たのに……、
〇〇:……。
私は読んでいた文庫本を閉じて、正源司さんからトランプを受け取る。
陽子:えっ?
〇〇:ゲームのルールは簡単、交互にカードを引いていって2回連続で同じマークのカードを出したら自分の手札になる、最終的に手札の枚数が少ない方が勝ち
陽子:…〇〇さんがハート出した後に私がハート出したら私が持ってなきゃいけないってこと?
〇〇:そういうこと
私はトランプの束をシャッフルして一枚出す
〇〇:ダイヤの6
陽子:じゃあ次私…、
陽子:ハートの2
〇〇:…スペードのジャック
陽子:…あ、スペードの1
〇〇:(笑)はい、正源司さんの手札ね
豚のしっぽの簡易版を延々と続けていた私たち。
陽子:絶対シャッフルで細工してるでしょ〜(笑)
〇〇:してないよ(笑)じゃあ次正源司さんが山札持ってていいよ?(笑)
陽子:よ〜く混ぜて…
〇〇:……(笑)
陽子:…ねぇおかしいって…!(笑)
〇〇:(爆笑)
陽子:なんでシャッフルしたのに同じマークが出てくるの〜?(笑)
正源司さんの運の無さに爆笑しているうちに、新幹線は京都駅に到着した。
〜続〜