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第一話

青春って何なんだろう…?

友達と学校の帰りにラーメンを食べたり、テストの点数で競い合ったり、夜遅くまで文化祭の準備をしたり…。そんなものをみな青春と呼ぶのだろう。

でも、私にとっての青春はきっと……、



久美:はいみんな静かに~

久美:夏休み明けの修学旅行に向けて、話し合いをしていきます

久美:まずは自由行動の班を決めていくんですが…、

久美:もう自分たちで勝手に決められるでしょ?

生徒:いぇ~い!

梅雨が明けセミが外でけたたましく鳴き叫び始めた頃、私たちは京都への修学旅行の準備を始める。

〇〇:……。

陽子:ねぇね、〇〇さん

〇〇:…どうしたの?

陽子:修学旅行の自由行動、一緒に回らない?

そう話しかけてきたのは、前の席に座る正源司さん。教室の端で一日中本を読んでいるような私から見ると、コミュ力の鬼のような彼女は出会った当初から住んでいる世界が違った。

〇〇:…正源司さんなら一緒に回りたい人がいっぱいいるんじゃない?

正源司さんの後ろに目をやると、他のクラスメイトが私たちの会話が終わるのを今かと待っていた。

陽子:ううん、もう5人のうち4人は決まってるの

陽子:莉奈~!宮地〜!ひらほ〜!

正源司さんの声でやってきたのは、いつも正源司さんと一緒にいるいわゆる一軍の女の子たちだった。

莉奈:どうも、陽子がご迷惑をおかけしてます…(苦笑)

すみれ:何の脈絡も無く人のこと誘わないの〜(苦笑)

帆夏:ほんと陽子は自由人だよね…(苦笑)

陽子:…で、どう?一緒に回らない?

〇〇:……。

〇〇:…いいよ、どうせ余り物になるから

陽子:やった〜!

かくして、学校一の陰キャは一軍女子と修学旅行を回ることになった。



〇〇:……。

そしてその日の放課後、私は荷物をまとめて帰る支度をしていた。

陽子:〇〇さん、この後4人でファミレス行くんだけど〇〇さんもどう…?

〇〇:…ごめん、行かなきゃいけない所あるから…、

陽子:そっか〜、また明日ね?

〇〇:うん、バイバイ

陽子:バイバ〜イ!

正源司さんからの誘いを断り、私は学校を出てある場所に向かう。



〇〇:すみません、お迎えに来ました

保育士:あっ、□□ちゃんのお姉さん、おかえりなさい

□□:ねぇね〜!

〇〇:□□お待たせ、お家帰ろっか

□□:あいっ!

〇〇:それじゃあ、おやすみなさい

保育士:おやすみなさい

保育園に妹を迎えに行き、家に向かって歩く。

□□:ぶぅぶ…!

〇〇:ぶぅぶがいっぱいだね〜

妹を抱っこしながら歩道を歩いていると、

陽子:…およっ?〇〇さんじゃ〜ん!

名前を呼ばれて後ろを振り向くと、こちらに走ってくる正源司さんがいた。

陽子:あっ!妹さんのお迎え?

〇〇:うん、うち両親交通事故で亡くして祖母と一緒に暮らしてるから、私がお迎え行かないといけなくて…、

陽子:え、ご両親いないの…?知らなかった……、

陽子:だから学期の途中で転校してきたのか…、

莉奈:陽子速いから…!(笑)

すみれ:…妹ちゃん?こんにちは〜

□□:っ…!

〇〇:(苦笑)ごめんね、この子人見知りで…

すみれ:ううん、この後はお家帰るの?

〇〇:うん、この子にご飯食べさせてお風呂入れないといけないから…、

陽子:…もしあれだったらさ、〇〇さん家でご飯食べてもいい?

〇〇:えっ?

帆夏:陽子、迷惑だから止めな?

莉奈:ごめんね?この子連れて帰るから…(苦笑)

〇〇:…今祖母に確認取るよ

私は祖母に電話をかける。

〇〇:……うち来てもいいってさ

陽子:やった〜!

帆夏:もう〜、ほんとにごめんね〜?

〇〇:ううん、大丈夫(笑)

〇〇:食材の買い物行くから手伝ってもらえる?

陽子:もっちろん!


~続~

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