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29-焼き鳥の匂いに誘われた好花
ある日、好花は学校の図書室に来ていた。
好:空いてる席は……
好花は端に空いている席を見つけ座る。鞄から参考書とノートを取り出し、机の上に並べる。
好:よしっ、やりますか
髪を後ろに結び、シャーペン片手に問題を解く。
※:い〜っち、に〜、いっちに〜、そ〜れ!!
換気のために開けている窓の外から運動部の掛け声が聞こえる。
好:……青春やな〜
それから約3時間、好花は集中して受験勉強に勤しんでいた。
(コンコンッ)
※:あの〜……、そろそろ図書室閉めるんですけど
好:あ、すみません
図書委員の生徒に声を掛けられ、慌てて片付けをして図書室を後にした。
好:ふぅ〜……、危なかった〜
好花はそのまま家路に着くことにした。すると、どこからかいい匂いが漂ってきた。
好:……なんかいい匂いすんなぁ〜
匂いの元をたどると、1軒の焼き鳥屋さんにたどり着いた。
大将:へいらっしゃい!
好:どうも〜(笑)
大将:嬢ちゃん、学校帰りか?
好:はい、学校の図書室で受験勉強してました…
大将:嬢ちゃん受験生か!ならサービスしてやるよ!
好:本当ですか⁉
大将:おうよ
好:じゃあ……、鳥皮とねぎまとつくねをたれで五本ずつ
大将:はいよ
そう言って、大将はそれぞれの串をプラス一本おまけして渡してくれた。
大将:十五本にプラスでお会計が1050円
好:ちょうどです
大将:あいよ、毎度あり!
好:また来ますね
焼き鳥の袋を片手に好花は家に帰った。
好:ただいま~
松母:おかえり、…それどうしたん?
好:あぁ…、匂いにつられて気付いたら買ってた(笑)
松母:もう……(笑)
芽:どうするん?それ
好:今日の夕飯何?
松母:唐揚げよ
好:…なら夜食に食べる
好花は自分の部屋に焼き鳥を置いて、ダイニングに戻った。
好:いただきます
少し冷えた唐揚げをレンジでチンして食べる。
好:ん~、美味しい
松母:そりゃあ、鶏肉の下処理から作っとるもん
好:今日休みやったん?
松母:うん、また明日から忙しくなんねんけど
好:がんば~
ご飯を食べ終え、シャワーを浴びたら部屋に戻って机に向かう。
好:……。
一時間ほどやったところで眠気が襲ってきた。
好:…ちょっとだけ仮眠とろうかな~
部屋の電気をつけた状態でベッドに乗り、目を閉じる。そして翌朝、
好:💤💤
(コンコン)
芽:お姉ちゃん、学校~
好:ん~……
枕に顔をうずめたままスマホを探るが見つからない。
芽:お姉ちゃん、スマホ机に置きっぱなし
好:……そのまま寝てたんか…
ようやく状況を飲み込み壁の時計を見ると、
好:待って⁉もうこんな時間⁉
時計はいつも家を出る時間の15分前を指していた。
好:やっば!!
芽:もう……
朝からドタバタの松田家です。