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73-芽実の誕生日

ひなの:はぁ~……

ある日のバイト終わり、ひなのが息を吐くと白い煙が暗い空へと消えていく。

ひなの:…早く帰ろ……

駅に向かい、コンコース内を早歩きで移動する。

ひなの:出発まであと6分…、……あれ?

ふと、通りのケーキ屋さんの方を見ると、見知った人が立っていた。

?:どうしよっかな~……

ひなの:…どうしたの?

?:(ビクッ!)…ひなのさん、お久しぶりです

ひなの:久しぶり、好花ちゃん(笑)

それは、入り口のショーケースを眺めていた好花だった。

ひなの:ケーキ買うの?

好:…今日、芽実の誕生日なんですよね(笑)

ひなの:へぇ~!おめでとう~!

好:今日の夜母親がいないのでケーキ買っていってあげようかな、って思ったんですけど、私自身お金にそんなに余裕がなくて……

そう言って好花が悲しそうな表情を浮かべる。

ひなの:なるほどね~、…じゃあ2人でうち来る?

好:えっ?

ひなの:ちょっと待ってて

ひなのが久美に電話をかける。

久📞:もしもし?

ひなの📞:もしもし、実はかくかくしかじかで……

久📞:へぇ~、いいんじゃない?連れてきちゃえば?(笑)

ひなの📞:了解(笑)

ひなの:…じゃあケーキ買うか!

好:すみません…!

ひなの:遠慮なんかしないの(笑)芽実ちゃんに連絡しちゃって?

そう言ってひなのと好花はケーキ屋の中に入った。

店員:いらっしゃいませ

ひなの:…何人だっけ…?(笑)

好:え〜っと…(笑)11人ですね(笑)

ひなの:すみません、11人前ってどのくらいの大きさになりますか?

店員:そうですね、11人ですと7〜8号のケーキがよろしいかと…

ひなの:…芽実ちゃんが好きなケーキって何?

好:芽実…、ショートケーキですかね?

ひなの:なるほど…、注文いいですか?

店員:承ります

ひなの:苺のホールケーキの7号をひとつ

店員:かしこまりました、以上でよろしいですか?

ひなの:はい…、あっ、ロウソク

ひなの:芽実ちゃん何歳?

好:15です

ひなの:じゃあ、この1と5のロウソクもお願いします

店員:ありがとうございます、お持ち帰りのお時間どのくらいでしょうか?

ひなの:…50分くらいですね

店員:かしこまりました、ではお会計が5180円になります

ひなの:Suicaで

店員:こちらにタッチお願いします

(🎶〜)

店員:ありがとうございます、では箱にお詰めいたしますので少々お待ちください

数分後、店員さんからケーキの入った箱を受け取りお店を出る。

好:ひなのさん、お金お支払いします…!

ひなの:いいよ別に(笑)家族全員分も買ってるんだから(笑)

すると、

芽実:お姉ちゃん

好:芽実、ただいま

芽実が合流した。

ひなの:じゃあ電車乗ろっか

改札を通り、ホームに降りる。

電車で佐々木家の最寄りに到着し、ひなのが久美に電話をかける。

ひなの📞:もしもし、駅着いたよ

久📞:了解、今ロータリーにいるから

電話を切りロータリーに向かうと、車の中に菜緒と久美がいた。

ひなの:ただいま

久:おかえり、寒かったでしょ(笑)

ひなの:めっちゃ寒い…(笑)

好:失礼します…

芽実:失礼します…

菜:どうぞ(笑)…じゃあ出発しま~す

全員が車に乗り込み、出発する。

菜:よしっ、着いた

好:ありがとうございます

久:ごめん、ひなの起こしてもらっていい?(笑)

芽実:ひなのさん、着きましたよ

ひなの:んっ…、ありがと……

車から降り、家の中に入る。

久:ただいま~

ひなの:暖か~

好芽実:お邪魔しま~す

菜緒がリビングのドアを開け、好花と芽実が続いてリビングに入ると、

(パンッ)

全:HAPPY BIRTHDAY!!

リビングで待機していた人たちがクラッカーを鳴らし、芽実の誕生日をお祝いした。

芽実:ありがとうございます…!

愛:ささっ、お誕生日席へ…!

愛萌がリビングの一番上座の席に芽実を誘導し、座らせる。

美:お鍋出来たよ~

陽:いぇ~い!

菜:ご飯盛っちゃって?

芽依:ん~

テーブルの上にカセットコンロを置き、その上に美玖がお鍋を乗せる。菜緒たちはみんなのご飯を盛っていた。

久:急なあれだったからお鍋なんだけどいい?

芽実:大丈夫です…!むしろありがとうございます!

ひより:…着火していい?

美:いいよ(笑)

(カチッ……ボッ…)

早くご飯が食べたいひよりがカセットコンロのつまみを回し着火する

史:ねぇ誰~?自分の部屋にコップ持ってって洗ってないの…

台所ではコップが足らずに史帆が騒いでいた。

美:…私の部屋に二つぐらいある気がする…///

ひより:ひよたんもさっき飲んでたからあるよ

久:ひより自分のコップ持ってくれば?美玖はさっさと洗いなさい

美:はい…///

ひより:いってきま~す

ひよりがコップを取りに自分の部屋に向かった。

好:(笑)美玖さんってそういう感じの方やったんですね、もっとしっかりした方やと思ってました

美:ん~、でも菜緒よりマシだと思うよ?

菜:あ?(笑)

ひなの:二人とも喧嘩しないの(笑)

史:お待たせ~

史帆が飲み物を持ってきて、ちょうどひよりも降りてきた。

久:じゃあ好花ちゃん、乾杯の音頭を…

好:はい…、芽実の15歳の誕生日を祝して乾杯!

全:乾杯!

コップのお茶を飲み干し、みんなが思い思いに鍋をつつく。

陽:お肉~

久:ちゃんと野菜も食べなさいよ?

菜:芽実ちゃん何食べる?

芽実:自分で取りますよ?

ひより:ちゃんとお肉に火通しなよ…

史:鶏じゃなくて豚だからワンチャンいける(笑)

好:…絶対マネしちゃダメやからな?

芽依:マネしないのでご心配なく(笑)

ひなの:…ついに芽依たちにも呆れられ始めてるじゃん…(苦笑)

美:…なんかニラの減りが早くない?

愛:私食べてるよ?(笑)

お鍋の具材がなくなってきたところで、

史:ラーメン食べる人~

陽芽依:食べる~

好:私ももらいます

菜:菜緒も食べよっかな~

ひなの:私も

久:…ひより食べないの?

ひより:いや…、太る…(笑)

オーディションに向けてダイエット継続中のひより。

芽実:ダイエットするほどお肉ないやろ…?

ひより:運動しないですもん…

好:芽実と一緒やな

芽実:私は毎日ストレッチしてます~

そしてラーメンが完成する。

菜:いただきま~す

史:ん~、美味しい~

好:…お茶のおかわりもらってもいいですか?

久:いいよ、ちょっと待ってて

そしてお鍋が空っぽになり、いよいよケーキの登場に。

ひなの:ひより、ライター取って?

ひより:ほい

ひなの:サンキュ

ケーキにロウソクを突き刺し、ライターで火を点ける。

ひなの:…コクッ

菜:コクッ

(パチッ)

ひなのの合図で菜緒が部屋の電気を消す。

ハッピーバースデートゥーユー🎶

ハッピーバースデートゥーユー🎶

ハッピーバースデーディア、芽実(ちゃん)(さん)🎶

ハッピーバースデートゥーユー🎶

全:おめでと~

芽実:ふぅ~!!…ありがとうございます(笑)

芽実が思い切りロウソクの火を吹き消すと、部屋の電気が点いた。

久:じゃあはい(笑)切り分けるの面倒だから直接掬っていく方式で(笑)

久美が人数分のスプーンをテーブルの上に出す。

陽:芽実さん、先行ってください

芽実:いただきま~す

大きめに掬い上げ、口に運ぶ。

芽実:ん~!おいひい~!

芽依:じゃあ芽依たちも…

陽:いただきま~す!

史:んっ、美味しい!

愛:ん~、甘すぎずいい甘さ~

ひなの:このケーキ買って正解だったね(笑)

好:ですね(笑)

菜:…ケーキはがっつり食うのね(笑)

ひより:ケーキのためにラーメン食べなかったんだもん

菜:そうなんだ(笑)

そしてケーキを完食する頃には時計は22時を回っていた。

久:…二人ともそろそろ帰らなくて大丈夫?

好:そうですね…、そろそろ帰ります

菜:じゃあ夜も遅いし送ってくよ

芽実:いいんですか?ありがとうございます…!

美:私も行く

久:じゃあ好花ちゃんも芽実ちゃんも、寒いから体調崩さないように、二人とも受験も近いし…

好:お気遣いありがとうございます

ひなの:じゃあおやすみ〜

好芽実:おやすみなさい

好花と芽実は菜緒の運転する車に乗り、家に帰った。

芽実の誕生日を祝う佐々木家と好花です。

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