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75-オーディションの最終審査に進んだひより

久:…準備出来た?

ひより:うん

久:忘れ物ない?

ひより:たぶん…

久:じゃあ行こっか

ひより:うん

ついに迎えたKSU48の最終審査。ひよりと保護者の久美は福岡市内のホテルに前泊していた。

久:…緊張する?

ひより:うん……

緊張からか、極度に口数の減っているひより。

15分ほど歩いたところで、最終審査が行われる会場に到着した。

久:じゃあいってらっしゃい

ひより:行ってきます…!

ひよりは久美に見送られながら受付へと入っていく。

スタッフ:おはようございます

ひより:おはようございます…!

スタッフ:エントリーナンバーとお名前をお願いします

ひより:エントリーナンバー24番の佐々木ひよりです

スタッフ:24番佐々木ひよりさん…、確認しました、こちらのシールを左胸に貼ってあちらにお進み下さい。

ひより:はい

24番のシールを左胸に貼り、別のスタッフさんについて行く。

スタッフ:…どう?緊張する?

ひより:はい…

スタッフ:そりゃそうだよね(笑)緊張しないわけ無いよね(笑)

そんなことを話しながら、控え室の前に到着する。

スタッフ:じゃあこの部屋で待っててもらっていい?

ひより:はい

中に入ると、候補者が1人だけいた。

※:あっ、おはようございます

ひより:おはようございます、…席順とかってあります?

※:ん〜、ないんじゃないですかね?

ひより:じゃあお隣失礼します

※:(笑)どうぞ

そして、徐々に候補者も集まってきた。

ひより:……。

審査の時間が近づくにつれ、部屋の空気が重くなっていく。

ひより:……。

(コンコンッ)

すると、部屋のドアがノックされた。

スタッフ:失礼するよ〜

候補者:おはようございます

スタッフ:おはよう、みんな揃ってるか確認するね

スタッフさんが一人一人胸の番号札を確認していく。

スタッフ:24番、佐々木ひよりさん…

ひより:はい

そして全員の番号を確認し終わる。

スタッフ:よしっ、この部屋は全員いるね

スタッフ:じゃあ時間になったら呼びに来るので、それまで自由に過ごしてて?

候補者:はい

スタッフさんが出ていったあと、思い思いに過ごす。

※:ふぅ〜…

ひより:…緊張します?

※:えぇ(笑)オーディションで最終審査まで進んだの初めてなので…

ひより:そうなんですね、私このオーディションが初めてなので…

※:そうなんですか?でも可愛いですからね(笑)

ひより:ありがとうございます(笑)

そしてスタッフさんがやってきて、審査会場に移動することに。

スタッフ:みなさん、移動お願いします

候補者:はい

控え室にいた全員がステージ上で一列に並ぶ。

審査員:それでは、最終審査を始めます



そして最終審査が行われ、候補者は一度控え室に戻された。

※:うぅ〜…

ひより:大丈夫?

※:…今回も無理かもしれない

ひより:諦めるの早いよ(笑)

※:はぁ……

お昼ご飯を食べて、合格発表に備える。

ひより:…長いね

※:……いつもこんなもんだよ…

ひより:……。

そしてついにその時が。

スタッフ:みなさん、移動お願いします

候補者:はい

そして、他の控え室の候補者も含めた全員が審査会場に整列する。

司会:それでは、KSU48四期生募集オーディションの合格者を発表していきます。

司会:エントリーナンバー2番、〜〜〜〜

司会:エントリーナンバー3番、〜〜〜〜

司会:エントリーナンバー7番、〜〜〜〜

次々に候補者の名前が呼ばれていく。

そして、

司会:エントリーナンバー18番、〜〜〜〜

司会:エントリーナンバー21番、〜〜〜〜

司会:エントリーナンバー25番、〜〜〜〜

ひよりの名前は呼ばれなかった。

ひより:……。

司会:…以上の13名となります

合格発表が終わり、落選者は控え室に帰された。

ひより:…ふぅ〜……

周りを見渡すと、

※:ゔぅ……(涙)

※:……。

※:はぁ……

リアクションは様々だった。

ふと横を見ると、

※:っ……(涙)

ひより:……。

涙を流す※※の姿があった。

ひより:…お疲れ様……

ひよりはそっと※※の背中をさする。

ひより:……。

そんなひよりの目からも雫が流れ落ちる。

ひより:……うっ…ゔぅ……(涙)

※:…ひよりちゃん……(涙)

今まで挫折を味わってこなかったひよりにとって、このオーディションの落選は大きな挫折だった。

スタッフ:……みなさんお疲れ様でした、…帰りの準備が出来次第、帰っていただいて大丈夫です……

ひよりが会場の外に出ると、久美と大学終わりの菜緒とひなのが待っていた。

ひなの:あっ、出てきた…

久:……ひより…

泣きながら出てきたひよりに、落選したことを察した3人。

菜:ひより……

ひより:……ゔっ…ゔぅ……(涙)

ひなの:…お疲れ様……

顔を押さえて号泣するひよりを3人が抱きしめる。

菜:……悔しいのは精一杯やりきった証拠だよ…!

久:頑張った頑張った…!

3人でひよりの肩を支えながら長崎へ帰る。

久:ただいま~

史:おかえり、…ひより、頑張ったね

ひより:……(コクッ)

玄関を開けると、史帆が出迎えた。

ひなの:もうお夕飯出来てる?

史:うん、ポトフと鮭のホイル焼き作ったけど…、ひよりは食べれる?

ひより:……食べる…

史:分かった、じゃあ温め直すから

久:私も手伝う

すると、二階から陽菜と芽依が降りてきた。

陽:ひよたん……

芽:お疲れ様…

ひより:…ゔん……(涙)

ひよりは三つ子の腕の中でまた涙を流した。

菜:…三人とも、ご飯食べるよ

芽:分かった…

全員が席に着き手を合わせる。

久:じゃあ手を合わせて

全:いただきます

悔し涙を流すほどオーディションへの強い思いを持っていたひよりです。

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