
18-○○たちの卒業式
(ジリリリ…)
〇:ん~…眠い…
卒業式の朝、〇〇は珍しく布団にくるまっていた。
(ガチャッ)
ひより:お兄ちゃ~ん、起きて~
すると、ひよりが部屋に入ってきて〇〇の上に乗っかった。
〇:分かった、起きるから
ひより:先に下に行ってるね
〇〇が1階に降りると、
久:おはよう、珍しいんじゃない?目覚ましで起きないなんて
〇:おはよう、何か起きるのが面倒くさかった(笑)
愛:はぁ…、一生に一度の晴れ舞台でしょ?
陽:彩花さんや好花さんと離れ離れになるんだからね?
〇:大丈夫、いつでも連絡取れるから
美:いいから早くご飯食べちゃいなさい
朝ご飯を食べ終え、スーツに袖を通す。
(コンコン)
久:〇〇、準備できた?
〇:準備OK
菜:それじゃ、そろそろ行きますか
久:ひなのたちは留守番よろしくね
ひなの:了解
愛:〇〇の晴れ姿、見たかったなぁ
久:人数制限あるからしょうがないよ
菜:あとで写真と動画送るから
混雑対策で会場には保護者2名までしか入れないため、既に卒業式を終えているひなのと今日授業のない愛萌は家でお留守番となる。
〇:行ってきます
愛ひなの:行ってらっしゃい
――――――――――――――――――――――――――
菜:うわ~、すごい渋滞
〇:卒業生だけで1000人以上いるからね
久:でもまぁ、待ってれば入れるでしょ
何とか駐車場に車を停め、会場に入る。
彩:〇〇君、こっちこっち
エントランスにいると、彩花が手招きをしながらやってきた。
〇:高本、卒業おめでとう
彩:(笑)〇〇君も卒業おめでとう、結局ずっと「高本」呼びだったね
久:彩ちゃん卒業おめでとう
彩:久美さん、菜緒さん、ありがとうございます
菜:彩ちゃんのご両親はどこにいるの?
彩:連れてきます
しばらくして彩花が両親を連れて〇〇たちのもとへやってきた。
彩父:初めまして、彩花の父です
彩母:彩花の母です
久:初めまして〇〇の姉の久美です
菜:同じく姉の菜緒です
彩父:〇〇君も卒業おめでとう
〇:ありがとうございます
彩:〇〇君、そろそろ式場の中に入ろ?
〇:うん、姉ちゃんたち、またあとでね
久菜:行ってらっしゃい
――――――――――――――――――――――――――
式も終わり、各々に記念撮影などをしている。
〇:フゥ~、終わりか…
先:佐々木
名前を呼ばれ振り返ると、クラス担任が立っていた。
〇:先生、3年間お世話になりました。
先:あぁ…、お前の卒業を見送ることが出来て良かったよ…
〇:…先生は精一杯のことをしてくださいましたよ
先:…そういってもらえると教師冥利に尽きるよ
〇:それじゃ
先:あぁ、大学に行っても頑張れよ
記念写真を撮った後、先生と別れ、スマホを開くとL〇NEに?1と?2からメッセージが来ていた。
?1[〇〇、今どこにいる?]
?2[会場の壇上前に来てもらえる?]
メッセージ通り会場に戻ると、かつてのバスケ部のチームメイトとマネージャーが集まっていた。
〇:どうしたんだ?正恭
若:あぁ、せっかくだから最後にみんなで集合写真を撮ろうと思って
〇:はぁ…(笑)絶対提案したの美穂だろ
美穂:大正解~!
正恭と美穂は〇〇の小等部からの同級生で高等部男女バスケ部のキャプテンだ。
若:全員集合!
美穂:女バスも集まって!
若:女バスは前列、男バスは後列で整列!
〇:さすが両キャプテン…
そうして記念撮影を終えると、
美穂:ゔ~(涙)やだ…帰りだぐない…
若:(笑)出た、美穂の高校球児モード
〇:美穂~、泣くなよ(笑)
(ガチャッ)
彩:〇〇君~
すると、彩花が〇〇を呼びにやってきた。
若:おいモテ男、呼ばれてるぞ
〇:うるせぇ(笑)
彩:バスケ部の集まり?若林君も美穂ちゃんも卒業おめでとう
若:サンキュー、高本さんもおめでとう
美穂:ありがど~
彩:(苦笑)じゃあ、〇〇君借りるね
若:うん、いいよ
美穂:〇〇、卒業じでも絶対に会おうね
〇:うん、約束ね
そして、会場を出て隣の公園に向かう。
彩:…私たちも卒業だね
〇:…うん
2人はベンチに座って話し始める。
彩:…中等部の入学式覚えてる?
〇:あぁ…、俺と高本が初めて会った場所だからな
彩:出会ってから6年も経ったんだね…
〇:お互い大きくなったよな
彩:……〇〇君と離れ離れになるんだね
彩花の目から涙が一粒流れ、膝に置いている卒業証書に落ちる。
〇:…俺たちの仲だろ
彩:え…?
〇:これまでみたいに毎日のように会うのは難しいけど、2度と会えなくなるわけじゃない、会いたくなったら好きなだけ電話をかければいい、「彩花」の愚痴をいくらでも聞いてやるよ
彩:…「〇〇」……
彩花の目からとめどなく涙が溢れて止まらない。そんな彩花を〇〇は何も言わずそっと抱きしめた。