2011-2015

「優勝は、田中先生!!」

2011年8月10日、「第5回Mini-1グランプリ」決勝戦だった。

たった15分間での、”大人”相手に自身の授業力を、模擬授業で競う大会だ。構成を含めた授業力が問われる大会の決勝戦の地、北九州に俺はいた。最後の模擬授業大会と言われるだけあって、決勝戦は今までの大会とは全く違う方式で戦っていた。



司会者が読み上げた優勝者は、「田中先生」だった。



優勝することが出来ず、俺は会場で優勝コメントを見ている教員たちを横目に、会場を後にした。

夏の北九州は東京都は比べ物にならないほどとても暑かった。

考えてみれば、2007年に始まったこの大会は授業力を認められ、その後講座などに登壇することが出来たり、授業や学級経営について本を執筆出来たりすることが”約束”されている。


第1回大会優勝の先生も、第2回大会優勝の先生も、第4回まで優勝した先生には、それなりの未来が待っている。きっと第5回だってそうに決まってる。



第5回のこの大会が終わり、東京にある自宅に戻った。

録画していたそれを観ると、教員としての俺を全て否定した。

俺はこの日に辞めるべきだった。教員を辞めるべきだった。

しかし、現実はその後4年間活動を続ける。


俺はこの時に出口の見えない道に迷ってしまった。


気がつけば迷子になっていた。

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