「見えない僕を見つけた君との5日間」 第1話
0日目の夜
「はぁ……今日も疲れた」
優人はそう言いながらベッドに横たわっていた。この疲れは、身体的なものではなく精神的なものだ。優人は人間関係に疲れを感じてしまい、今は引きこもり状態になっている。だから、SNSの通知はオフにしている。それでも、通知の数が嫌でも目に入ってくる。それさえも、優人にとっては無視しているという事実に対して、申し訳なさと苦しさがストレスに感じてしまう。
そんな優人だが、1日の中で唯一、人と顔を合わせる場面があった。それは夕食時だ。夕食時は、両親と3人で食事をしていた。だが、食卓には両親との会話はなく、優人にとって、酸素が薄くなったように感じて息苦しくなる、そんな空間だった。そんな風に感じて以来、自室で食事をするようになった。食事は、母が自室の前に置いていく。最初の方は「置いとくね」と一声あったが、今となって何も言わずに置いていくため、カタッという寂しい音だけが食事の合図だった。
両親とも顔を合わせない。次第に無関心になっているのではないか。そんなことを考えているうちに優人は徐々に1つの答えに辿り着いた。
自分は見えていても見えていなくても変わらない、きっと家族や友人には何の影響もない。それなら、誰からも視認されなくなればいいのに……。
そう思うようになった。
色々なことを考えているうちに夜が更けていった。ウトウトし始めた優人は、スマホを充電し、扇風機を回して、いつものように睡眠用BGMをワイヤレスイヤホンで聞きながら眠りについた。翌日、自身の思いが現実となることも知らずに。
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