【Bs投手分析】中継ぎ編:首脳陣の交代が大きな芽吹きに
今回も投手分析note、中継ぎ編の続きです🥺
引き続き、多角的な視点とデータ分析で、中日新聞にて記事を執筆するなど、中日界隈を牽引するロバートさん(@robertsan_CD)が、2019年度オフに作成した【ロバートさん式中継ぎマッピング】。
中継ぎ版では、登板数とHP+Sの合算値から、そのチームの中継ぎ投手層を分析するというものなのですが、やっぱりこれが本当に分かりやすいんです(笑)
今回は、2020年の答え合わせと、2021年の陣容を分析した、中継ぎ陣noteになります。
↑2020年度版はこちらです↑
①2020年の答え合わせ
救援防御率がパ・リーグワーストの4.23と完全崩壊した2019年シーズンに引き続き、2020年もパ・リーグワーストの寂しい結果に。
とはいえ、(ワーストなのに変わりはないのですが)5位西武の3.88・6位オリ4.23と大きく突き放された2019年とは違って、2020年は5位楽天の4.04・6位オリの4.07と、少しずつ他球団との差は埋まりつつあります。
その一方で、aozoraさん(@aozora__nico2)のデータを参照させていただくのですが、 2019年は7回裏終了リード試合での勝率が、12球団ワーストの.875と大きく落ち込み、改善を期して臨んだ2020年も同ワーストの.882と、やはり他球団と比較して終盤に中継ぎ陣が粘れず逆転負け・引き分けになるケースも少なくありません。
そもそもの勝ち試合が少ないため、1つの試合で率が大きく動くのも原因なのですが、やはり2020年も引き続き中継ぎ陣は弱みだったと言わざるを得ないでしょう。
2020年7回裏終了リード試合の勝率
西武 .972 巨人 .982
千葉 .957 中日 .977
福岡 .945 阪神 .976
ハム .932 ヤク .943
楽天 .896 広島 .895
オリ .882 横浜 .894
(2020年度版)
全体的な中継ぎ陣の浮き沈みとしては、まずは新外国籍投手として獲得した、タイラー・ヒギンス(29)が、角度を十分に付けたAve150km/h中盤のストレートと、大きく高速で変化する魔球チェンジアップを武器に、41登板で3勝3敗22HP、防御率2.40と大活躍!
既に2021年度の契約継続が決まっており、安定したピッチングで勝ちパターンを担うことが期待されます。
また、シーズン序盤から乱雑な扱われ方を受けて数字を落としたものの、山田修義(29)もチーム最多の48登板で4勝5敗22HP、防御率3.89とまずまずの活躍。
この数値だけでは貢献度は測りにくいですが、ボールを持ち替えるような特異なメカニクスからのストレート+スライダー+チェンジアップの纏まったスタイルで、奪三振率10.07と高い支配力を計測。
投手運用が西村前監督・平井投手コーチ(現二軍投手育成コーチ)から、中嶋監督・髙山投手コーチと頭から変わる中で、計画的な運用によって見栄えの良い成績を出すと考えられます。
その他では、苦しいチーム事情の中で出番を与えられた、漆原大晟(24)・齋藤綱記(24)・吉田凌(23)・富山凌雅(23)ら、25歳以下のフレッシュな中継ぎ投手が、それぞれに自分の武器を活かして大器の片鱗を見せつけ、2021年シーズンに大きな弾みを付けました。
また、先発から鈴木優(24)・村西良太(23)の中継ぎコンバートも決定的。
中継ぎにも若い風が吹く中で、首脳陣がどのように舵をとり花を開かせるか、飛躍の1年になってきます。
一方で、2019年までNPBトップクラスの球威のあるストレートで中継ぎを牽引してきた近藤大亮(29)が、トミージョン手術を受けて2020年・21年を全休することが確定。2021年度は育成選手(事実上のDL入り)として1年を過ごすことになります。
また、海田智行(33)・吉田一将(31)・澤田圭佑(26)と、オリックスでも実績のある中継ぎ投手が、今シーズンはことごとく不振や故障離脱に陥り、開幕から勝ちパターンを確立できなかったことも、2020年を占う上で大きな痛手になってしまいました。
特に吉田一将は、スラッター+フォークボールで活路を見出し、2019年の後半に限ると、19登板で防御率0.81と人間離れした驚異的な成績を残していただけに、今シーズンこそは7回or8回に定着を!と注目していたのですが、ストレートの球速が最後まで上がってこず、不安定なパフォーマンスに終わるなど期待を裏切る1年になりました。
吉田一将投手について知りたい方は以下のnoteをご覧ください(丸投げ)
https://twitter.com/__gx___/status/1331962302808039424?s=21
また、これまで抑えを務めてきた、B.ディクソン(36)、増井浩俊(36)が、2021年より相次いで先発転向をすることが決定的に。
ディクソンは、東京オリンピックの中断期間を利用して、前半戦は先発、後半戦は中継ぎといったフレキシブルな起用等も予想されますが、ひとまず開幕は先発として迎えそうです。
抑えとして4敗・防御率3.28と不安定な場面も散見されましたが、それでも1年間を通して試合を締める役割を全うした選手の穴は大きく、中継ぎ陣にとって少なからず痛手になることが予想されます。
ここから新外国籍投手の獲得や、MLBから平野佳寿が復帰するなどの可能性はありますが、8回ヒギンス・9回ディクソンの方程式を崩して開幕を迎えることになりそうで、ここの穴を誰が埋めるのかも大きな争点になって来そう。
ヒギンスが抑えを務める場合は、今度は8回を誰が担うのかが問題になります。
パ・リーグ最底辺レベルの中継ぎ陣は、将来が楽しみなポテンシャルの高い若手投手は多いものの、(現時点では)今季以上に不安な材料が多く、今季以上に星を落とす試合も覚悟せざるを得ないかと思っています。
ここからまた変わる可能性はありますが、現時点では目立った投手補強はないため、プラス材料は首脳陣の入れ替えのみ、ここからどれだけ若手投手が伸びてくるかに賭かってきます。
②2021年の中継ぎ投手分析
まずは2021年の中継ぎスタッフをおさらい。
阪神タイガースより能見篤史(41)投手が、選手兼投手コーチとして移籍。
2020年は、新型コロナウィルスによる調整遅れもあり、開幕から調子が上がらず打ち込まれるシーンもありましたが、最終的には34登板で防御率4.74と一定の成績を残しました。
ストレートの空振り率が3.2%まで落ち込むなど、加齢による経年劣化の印象は否めませんが、それでも彼が持つ熟練の経験は大きな武器であり、オリックスでは選手としてはロングリリーフの役割が主に期待されます。
また、育成選手から若手中継ぎ有望株の山﨑颯一郎、2017年・18年とセットアッパーとして活躍した黒木優太の2人が、トミージョン手術の療養を経て支配下選手に復帰。
颯一郎は、190cmの長身から角度のある投球が魅力の快速リリーフ。10月に復帰した登板でいきなり自己最速の151km/hを連発するなど大きく進化して帰ってきました。
変化球を交えた投球や連投耐性などまだ超えるべき壁はありますが、ひとまず朗報です🥰
同時期に黒木優太も支配下選手に復帰。
こちらもフェニックスリーグで154km/hを計測するなどかなり順調な仕上がりを見せます。
ボールごとの球速のムラが多かったりと本調子でないものの、こちらもかなりの朗報と言えるでしょう。
一軍復帰を経て、初めは『連投禁止』『週に2.3登板まで』『ビハインドや大差時の試合に影響が出にくい展開』といった制限を設けじっくりと登板を重ね、頃合いを見てこれらの制限を少しずつ解除していく。最終的にはシーズン中の7.8回復帰にまで到達すれば、健全な中継ぎ運用とともにリリーフ陣の選手層の強化にも繋がると考えています。
ドラフトでは2枚の即戦力投手を獲得。
立教大出身の中川颯は、184cmの長身アンダースロー。
現時点でもストレートはNPBでも十分に通用しうる球筋をしており、常時130km/h〜の球速はアンダースローでは十分速球派といえる部類に入ります。
フォームでタイミングをズラせる技術も巧で、実力者の集う東京六大学でも、対左を苦にする場面はほぼ見られませんでした。
課題としては、変化球でストライクボールがハッキリしていることが挙げられ、これをどれだけ減らせるかに賭かっていると見ています。
上手投げの投手と比較して肩肘への負荷がかかりにくく、1年〜4年まで一度も大きな怪我なく投げ続けてきたスタミナ面も大きな魅力。
連投耐性も高く、既存の中継ぎ投手の差別化が測れるため、様々な場面で重宝されるリリーフになるでしょう。
彼の持つ大きなポテンシャルを考えると、1年目から50試合前後投げていても何ら不思議ではない選手です。
阿部翔太は谷間先発・ロングリリーフの両睨み。チームの投手事情によって左右すると見られますが、現時点では先発待機が濃厚です。
その他では、昨年先発だった鈴木優・村西良太の2人の中継ぎ転向が決定的。他にも張奕、K-鈴木を追加で中継ぎ転向させる案もあり、ひとまず中継ぎの駒は多くなりました。
2人とも150km/h以上のストレートに加えて、縦に鋭く変化するボール(村西はフォーク、鈴木優はスプリット+ツーシーム)があり、共に奪三振能力にも優れているため、この配置転換は大いに評価できます。
現状ではまだまだ『ポテンシャルリリーフ』止まりですが、彼らが大きく化けた時のリターンは大きく、何とか中継ぎ定着まで辿り着いて欲しいところ。
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2021年度中継ぎスタッフ(推定)
#26能見篤史(ロングリリーフ・敗戦処理)
#37中川颯(ロングリリーフ・火消し)
#35比嘉幹貴(右の火消し)
#48齋藤綱記(左の火消し)
#49澤田圭佑(接戦でのリリーフ)
#66吉田凌(接戦でのリリーフ)
#57山田修義(セットアッパー)
#52ヒギンス(セットアッパー)
#65漆原大晟(抑え)
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さて、こうしてnoteを書いていて度々思うのですが、オリックスの中継ぎ陣の特徴として、ポテンシャルの高い選手が多い一方で、ある程度の成績を計算できる中堅・ベテランの投手が殆ど居ないことに目がいってしまいます。
苦しい中継ぎ事情の中で、西村前政権・中嶋政権でチャンスを得て登板機会を積んだ選手は多く居ますが、全員が(現時点では)『投げているボールは抜群に良いが、投げてみないとその日の善し悪しが見えない』不安定な形。
特に重点的に経験を積んだ、漆原・齋藤・富山・吉田凌の4人は、全員がドラフト4位以下の素材状態から伸し上げた逸材。
今後のオリックスの投手育成への道標を示すためにも、彼らには大きな期待がかかりますし、なんとか化けて欲しいところです。
最下位からの巻き返しへ、野手陣とともに大きな課題として【中継ぎ陣の建て直し】が挙げられますが、若く大きな芽がチームには多く、また数年前とは違ってかなり激しい競争意識へと変わってきました。
必ず建て直せると信じています。
実績のある選手が少なく、少なからず他球団と比較するとリスキーで見劣りするメンツではありますが、大外刈りへ突き進める力のあるチームなので、今シーズンも楽しみに見守っています🥰
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