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【オリックス】安達にできて大城にできてないこと

球際の強さと身体能力を活かしたダイナミックな守備で魅了する大城滉二(27)選手。
ファインプレーをファインプレーに魅せないプロの業を魅せる安達了一(32)選手。
一方で、今シーズンの2人の打撃面に目を向けると、安達が3割近い数字を維持する一方、大城は2割に中々打率を乗せられないなど決定的な差が見られます。
何度か他の方も言及されているのも見ましたが、今回は彼らの打撃に焦点を当ててみようと思います。


まずは、今シーズン、開幕から25打席ノーヒットと苦しみ、未だ打撃の調子が上がってこない大城滉二選手です。
彼の場合、良くない点としては、コンタクトの際にハムストリング(太腿)に体重が乗り切っておらず、重心が身体の後ろ側に残ったままであることが分かります。

(緑の部分に主に体重が乗っている)

この体勢だと腰が回旋しきらないため、ヘッドが遠回りしやすくなります。
すると、ボールとの衝突が最も遅くなる外角に対しての反応が遅れがちに(主に一塁側ファールゾーンに打球が飛ぶ)、内角は更に詰まりがちになります。良い時は詰まってもフェアゾーンに落とす技量とパワーはあるのですが。
このボールに対処するためには、必然的に初動を通常の打者よりも速くしなければならなくなりますが、大きな動作を速いタイミングで始めるということはストライクボールの選球の点で大きな悪影響を及ぼします。
大城は本来、横のストライクボールの選球眼は悪くなく、そこのゾーン管理はできている一方、外角の“高低”のゾーン管理(ストライクからボールに逃げる変化球 例:スライダー・フォーク)に苦しんでいるのは、以下のバット軌道によるものであると推測できます。また、外角のスラットでの併殺打が見受けられるのも、小さな軌道の外角スラットに対して、遠回りしたバットに当たってしまうからではないでしょうか。

(上が通算、下が対右)

一方、昨シーズンの後半戦から好転が見られ始めたのが安達了一(32)選手です。今シーズンは開幕から好調を維持し、一時は打率.320をマークするなど、攻守に欠かせぬ遊撃手として強みをもたらしてくれています。
この選手も昔は体重がハムストリングスに乗り切っておらず、コンタクトの際に体重が上半身に残っていることが多く見受けられました。国指定の難病・潰瘍性大腸炎の影響もあり、打撃面での好不調の波が激しい選手でしたが、昨シーズン中盤に腰の故障から復帰すると3割近い打率を安定して残し続けています。

(緑はパワーが集まる部分、黄色線のように踏ん張る動作をするには、紫の部分(ハムストリングス)に体重が乗っていることがマストとなる)

大城と異なる点は、体重がハムストリングスに乗り切る形に調整したこと(上半身に残った結果手打ちの打球になることが減った)で、ヘッドが最短距離で出るようになり、外角のボールに対してもハードコンタクトでき始めたのが要因であると考えます。
また、最短距離でバットが出ることによって、初動からコンタクトまでに要する時間を減らすことができ、好球必打の耐久型打者へと変貌を遂げたと考えられます。18年から19年にかけてボール球スイング率が大きく好況したことはその証明ではないでしょうか。
私は、昨日のソフトバンク戦で、8球目の難しいフォークボールを見極めて、3点目に繋がる四球を選べたことは必然だと思っています。


このように、コンタクトの際に体重を乗せる部分の違いによって、ボールに伝わるパワーは大きく変わります。
大城の場合、昨年の5月〜交流戦途中にかけてを見れば分かるのですが、体重が乗り切っている時は広角に強い打球が飛び、優秀なテーブルセッターとしての役割を果たしていますね。
それを言語化できず、感覚に頼った打撃をしているのが勿体ないように思いますが、安達のように改善された時には、走攻守揃った大型ユーティリティプレーヤーとして一気に覚醒するポテンシャルを秘めているとも言えます。

二軍にはトッププロスペクトの太田椋(19)を筆頭に突き上げもあります。故障離脱から前キャプテンの福田周平(28)も帰還しました。彼らに負けないプレーでの巻き返しに期待しています(*ˊᵕˋ*)

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