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【Thank you #9】ロメロにメロメロ

こんばんは〜😊





という個人的な感情は置いておいて(?)

楽天が前オリックスのステフェン・ロメロ外野手(32)を獲得したことが、春季キャンプを目前に控えた1月27日に発表されました。

ロメロのInstagramでの匂わせ等から、日本球界にしろアメリカ復帰にしろ何かしらの動きが決まったのかな?と思っていましたが、同一リーグの楽天への移籍に少し恐怖感を覚えます😢

開幕戦が奇しくもオリックス戦とあり、ロメロの逆転サヨナラホームランで試合を決めるなんてことも無きにしも非ずですね。笑

安達とロメロが見れなくなるのは寂しいなぁ…、オールスターでまた見たいです笑

さて、このnoteでは、ロメロの動向とボラス式契約について纏めていきたいと思います。最後に余裕があればロメロがどういう選手かをまとめるので、楽天ファンの方ももし良ければ4章だけでもお読みください。笑


①貴重な大砲のジェットコースター

昨シーズンは前途多難様々な苦労がありましたが、オリックスにとって最も厳しかったのは類を見ないほど貧弱な打撃力でした。

日本代表の主軸として活躍する主砲の吉田正尚(26)が、厳しい個人マークに逢いながらも年間を通して大活躍、2年連続のベストナインに選ばれ名実共に日本を代表する選手となりました。

が、あとの選手が本当に酷い…笑

吉田正尚と並ぶ打線の軸として期待されたジョーイ・メネセス(27)が開幕から低空飛行を見せ早々と二軍降格、更にはドーピング違反で夏頃に追放処分を受け即日契約解除とまず打撃の軸が定まりません。

中堅所では昨年堅守と勝負強い打撃で活躍した西野真弘(29)が、打って変わって低調な打撃に沈み、また、貴重な大砲のTー岡田(31)が腰痛の影響もあり僅か1本の本塁打に低迷。他にも若月健矢(24)が打率.178ながら対抗馬もおらず、1年間レギュラーで固定され、センターやライトは小田裕也(30)、後藤駿太(27)らが打率2割前後ながら起用され続ける有様。

ドラフト7位ルーキーで東洋大から加入した中川圭太(22)と、前述の吉田正尚を除く全員が機能不全に陥った時期もあり、ロメロがいない時期は1.2.5.6.7.8.9番が自動アウトという最早プロ野球チームを名乗るべきか怪しいほどの低迷へ収まりました。

そんな中、打線の軸として活躍していたのが、ステフェン・ロメロ(31)だったのです。

今期は3年契約の2年目で、打撃自体はシーズンを通して常に好調と、破壊力を欠くオリックスにおいて、無くてはならない程依存度の高い選手でした。

セ・パ交流戦では、最終規定打席へ到達するとともに、チームトップの5本塁打、打率.273を記録した。シーズン通算でも81試合の出場ながら何れもチーム2位となる打率.305、チーム2位の18本塁打・63打点の成績で、一時期オリックスをAクラス争いへと導きました。

それでも契約に結びつかなかった理由は、やはり故障離脱の多さにありました。

今シーズンの怪我の遍歴を纏めると、オープン戦開幕直後の2月27日に首痛を訴え故障離脱、復帰に1ヶ月半を要し、開幕に間に合いませんでした。
4月11日の西武戦で復帰を果たしたものの、1週間で右内腹斜筋損傷で故障離脱、再び1ヶ月半の離脱を余儀なくされます。
交流戦の序盤に復帰したものの、今度は交流戦の終了を待たずに右内腹斜筋損傷の再発で3度目の1月半の離脱。
後半戦が始まって数試合で戻ってきたものの、8月末に右膝膝蓋腱の故障で4度目の長期離脱、そのままシーズン絶望と余りにも故障離脱が多すぎました。

▲2018年にはライトの守備で負傷。この故障が尾を引いたのか、以後センターやライトを守ることは二度と見られなくなってしまった…。  

また、一昨年に膝を故障して以降は、満足に守備に就く事もままならず、事実上のDH専となるなど、故障によって起用の幅を縮めてしまったことも大きなネックになっていたのではないでしょうか。

よくロメロの獲得を所望していた球団(特に阪神とロッテ)や、今回ロメロを獲得した楽天のファンが、予想スタメンに"RF ロメロ"と書いているのを目にしますが、あのオリックスでも一昨年の7月末以来一度もライトを守っていないことからも、正直厳しいんだろうな〜と察せます、笑

そもそもライトが本当に守れるのなら、佐野や小田や後藤が、平然とライトで試合に出ているはずがないのです。

このように、稼働期間の破壊力はパ・リーグでもトップレベルの数値を誇りましたが、その反面余りにも故障離脱が多く、その離脱と共にチーム成績が左右されるため、"計算できるが計算しにくい"二律背反な状態になっていました。

また、オリックス自体が福良GM体制に入り、付け焼き刃でない再建へ舵を切ったことも、今回のロメロの放出に拍車をかけました。

長きに渡る低迷と、現代社会の流れによるオリックス本業の好調ぶり(経済の低迷により、自動車を初めとするリース事業がかなり好調である)、そしてオリックス株式会社のシニアチェアマンであり、球団のオーナーである宮内義彦氏が大の野球好きで羽振りが良いことも重なって、非常に流動的に動く条件は整っていました。

▲リース・保険事業を展開する企業としては最大手。球団にも18年オフの大放出劇もあり、お金は余す程残っていた。

再建中で動きやすい間に、ロメロを放出して新しい風を吹かせようという風潮は少なからずあったと思います。


②なぜオリックスはロメロを手放したのか

第1章でも述べたように、結論から述べると、故障離脱の多さがネックになったことが1番の理由なのですが、この章ではロメロの放出と新外国人獲得について話していこうと思います。

元々、ロメロは2018年〜2020年の3年間で、総額8億円の契約(3年目は球団、ロメロ双方に契約続行オプション付き)を結んでいました。

オリックスは、夏頃に3年目の契約を延長する体制を代理人、本人を交えて行っていました(丁度3度目の長期離脱の辺りです)。

ただし、度重なる故障離脱による不安定さと、一度もフル出場をしたことがない脆さ、前述した2018年の膝の故障によるポジションの制約(事実上のDH専になってしまった)もあり、微減〜現状維持(凡そ1年換算で2.5億円〜2.75億円)で契約を更改する予定であったと報じられています。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/10/01/kiji/20191001s00001173089000c.html?amp=1

が、波乱含みでこれが上手くいきませんでした。というのも、ロメロ側の代理人が、稼働期間の爆発力と3年間の実績をアピールし、新たに3年総額12億円+出来高払いの高額契約を最低条件として提示したのです。

オリックスの提示する1年2.5億円と、代理人が提示する新たに3年契約(2020〜2022年)で12億円+出来高払いでは、余りにも差がありすぎました。

その後も、粘り強く両者交渉を続けますが、交渉の長期化を見たオリックスは、同時にロメロに変わる右の外野の大砲の獲得へ調査を進め始めました。凡そロメロが4度目の長期離脱をした9月頃と見られます。
ロメロに関しては、その後も両者具体的な折衷案は出ることなく、タイムリミットの11月30日を迎え、自由契約選手として公示されることになりました。

その調査を進め始た9月頃に、国際渉外部担当や、当時アリゾナ・ダイヤモンドバックスでチームメイトであったOBの平野佳寿(現シアトル・マリナーズ)を通じて、アダム・ジョーンズ(34)が日本球界へ興味を持っているという情報を極秘でキャッチ、その後は水面下での獲得調査を進め、12月10日(火)に突如獲得を発表し、日本球界に激震が走ったことは記憶に新しいでしょう。

▲今回のジョーンズ獲得劇の"影の立役者''となった平野佳寿。今季からシアトルに活躍の場を移す。

アダム・ジョーンズの獲得の裏側については、以下の記事がかなり詳しく纏めておられるので、ご参照ください。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191225-00000040-dal-base

彼のオリックス入りには、ジョーンズが拘る2020年のオリンピックの東京開催や、背番号10を提示してくれた気遣いなど様々でしょうが、1番は近年のMLBの市場の停滞だと推測できます。

MLBには年俸の高騰を抑制し、戦力の均衡を図る手段として"贅沢税"というものが存在します。贅沢税とは、予め全体で定められた基準額を超過すると、それに対しての課税がかかり、更に進行具合によってはドラフト指名権の降格が起こる等の大きな影響が出るシステムです。
昨今では、プロスペクトを上手く獲得・育成してコストのメリハリを明確にしつつ、ワールドチャンピオンを狙うことが主流になっています。

一方、この流れはマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)やジェイコブ・デクロム(ニューヨーク・メッツ)といった超大物選手や、指名されてすぐAAAやメジャーリーグでそれなりの成績を残すプロスペクト選手以外には、大きな逆風となりました。

アダム・ジョーンズも例外ではありません。
レギュラーに定着後は毎年150試合前後の出場を重ね、走攻守全てが一流のトッププレイヤーとしてオリオールズ打線を牽引してきましたが、加齢もあり2018年には.281 16本 63打点に留まります。
当時32歳でセンターがメジャーリーグ水準並みには守れなくなりつつある中で、オリオールズはジョーンズに対し、容赦なく契約を更改しないことを発表。その結果、移籍市場を彷徨い、3月11日にダイヤモンドバックスと前年の1/6の年俸となる単年300万$(1年約3.1億円)でありつく格好になりました。

このような大物選手でも、市場の様子やプロスペクトの保有に基づいた、蓋然性合理主義的な契約更改方針を前には歯が立たず、いわゆる"買い叩かれた"契約しか貰えないことを痛感することとなったジョーンズ。
2019年も前年度とさして変わらない成績に推移したため、2020年は更なる買い叩き&プロスペクトのために出場機会が減らされることが予測されます。
このような辛すぎる市場の被害者にならぬよう、当時のチームメイトであった平野佳寿を通じて日本球界、オリックスのことを聞き出し、またオリックス側の補強ポイントにマッチしていた(まぁ補強ポイントは全てだけど…😇)こともあり、今回の夢のような移籍が実現したのでした。

▲福良淳一GMとジョーンズ。豊富な人脈や優れた人間性、機動力の高さに戦力理解、そして守りたいこの笑顔。

その平野も、2年契約の最終年となる2019年シーズンに成績を落とし、また36歳と高齢であるため、ダイヤモンドバックスとの契約を結び直さずFAになることが確定。
最も、平野の場合は元の年俸が格安であり、かつ消費の激しい中継ぎ投手であることから、それなりの需要があること。、更に本人が母校の京都産業大への表敬訪問において、『日本への復帰は考えていない』と答えたこともあり、日本球団の獲得調査は無くなり、そのままシアトル・マリナーズとの契約にこぎ着けました。

ジョーンズのようなバリバリの現役メジャーリーガーの移籍には、このような辛すぎる近年の市場動向が影響しており、更にそれによって今回のロメロのような放出劇も起こり得たと考えるべきかと思います。

③やってて良かった"ボラス式"…??

近年、MLBやNPBを初めとする世界各国の野球リーグにおいて、外国人選手の移籍にある傾向が見られます。

それが"ボラス式"と呼ばれる代理人を使った交渉劇です。

ボラス式の成功例を簡潔に説明すると、まず選手と契約した代理人が、チームにとって欠かせない存在であるという前提を盾にして、あからさまな高額&長期契約を提示します。
提示されたチームは、高すぎる…と感じながらも、チームにとって欠かせない存在であり、かつ他球団への移籍が実現すると余りにも痛手になると判断し、費用対効果を無視して言い値(かもしくはそれに近しい額や期間)での契約を結ぶという手法です。
近年の成功例では、中日と新たに3年総額11.3億円+出来高払いの契約を結び直したダヤン・ビシエド(29)らが挙げられますが、彼もまた同一リーグの阪神タイガースが獲得調査に乗り出しているという情報があり、いち早く中日が手を打って契約を結んだのでした。

その反面、提示された額が高すぎる!有り得ない話!と所属先のチームが交渉を打ち切るケースもあります。
これがいわゆる失敗パターンで、大抵はメジャーリーグの招待キャンプ参加を経てAAAに逆戻りするか、余りにも買い叩かれた値段での国内移籍や韓国球界移籍となります。
近年では、前年度3億円の日本ハムのブランドン・レアード(31)が大幅アップを狙うも契約を打ち切られ、半額以下の値段でロッテへ移籍。
また、ロメロもこの例で、3年総額12億円+出来高払いを要求するも契約を打ち切られ、1/5の1年契約6000万円で楽天へ移籍することになりました。

このような契約が起こる背景としては、名代理人として様々な優良契約を勝ち取ってきたスポーツエージェントのスコット・ボラスの成功が挙げられます。

▲数多くの優良契約を勝ち取ってきた敏腕スポーツエージェントのスコット・ボラス氏

具体的に言うと、"チキって安全な契約を結ぶくらいなら、リスクを冒してでも高額長期契約を獲得しに行く方が良い''とされる風習です。

最も、ボラスは豊富な人脈やコネ、敏腕な交渉術を活かして成功を収め続けウハウハではありますが、球団も流石に馬鹿ではないので、いずれかが欠けた状態のスポーツエージェントが交渉に臨んでも、失敗することが多々ありますが、それでもこのような"ボラス式"が毎年のように繰り広げられているということは、それだけNPBの球団が舐められているということではないのかなとも思います。

ただ、MLBの蓋然性合理主義による市場の停滞を見ると、20代中盤でMLBに上がれないことを察した1B/LF専や、30を過ぎた大物(低出塁率、低守備や1B/LF専等でコスパが悪い)が次々に日本球界へ来るケースは今後も増えていくと予想されます。
また契約事項においての国内移籍に制限がかけられ自由な移籍ができないパターン(同一リーグの移籍禁止事項etc)もあります。
このような日本球界へ移籍する外国人が供給過多気味となり、高額契約を結ぶより自前で獲得したり、カープアカデミーのように自前で外国人選手を育成すれば良い!と考えるケースが続出すれば、市場を鑑みながらもボラス式の動きは減っていくのではないでしょうか。

▲巨人の新外国人の目玉、ジェラルド・パーラ。他にも阪神のボーアやソフトバンクのムーアら大型外国人の移籍が相次いだ。


④ロメロの取り扱い説明書

☆走攻守全て全力で頑張るムードメーカーで、試合にも凄く出たがります。
ただし身体の耐久性の低さとスペックの高さが見合わないため、上手く運用しなければ、尋常ではないペースで故障します😢 実際にオリックス在籍3年間で7度の長期離脱を経験しました。
最も、楽天生命パークは京セラドーム大阪とは違い、外野が天然芝の球場であるため、兼ねてからの膝の負担は少しは軽減されるのではないでしょうか。

☆足は意外と早く、走塁意識は高いです。ただし、高すぎるが故に自由奔放にやらせるとすぐに故障離脱します。
守備における範囲は並か少し以下程度。打球判断や送球は良くないですが、福良前監督(現オリックスゼネラルマネージャー)をもって、『センターができる』ほど球際は強いです。

☆守備位置はCFは愚かRFも無謀です。まずRFできるなら後藤や小田がスタメンに名を連ねる敗退行為は起きません。LFは一応は守れるますが怪我体質のため事実上のDH専。2019年もスタメン起用された3/4の試合でDHとして出場しました(残りは吉田正尚がDHに入ることが多かった)。
とはいえ、全く守れないことは無いので、リスク承知で起用するならまだ何とか耐えられるかもしれません。その怪我の責任は追えませんが…、、、。



⑤むすび

以上で今回のnoteは終わりとなります😌

第1章では、ロメロの活躍と怪我の遍歴
第2章では、なぜロメロが放出されたのか
第3章では、ボラス式の是非について
第4章では、楽天ファンへ向けた"ステフェン・ロメロ"選手についてを纏めました。

外国人選手の移籍1つにおいても、
・メジャーリーグや日本球界の経済
・背番号の編纂や異文化理解へ取り組む文化
・人と人とが交わり縁となり作用する社会

を初めとする様々な相互作用が複雑に関与した上での事象であるため、この考え方が正しいとは言いきれないですし、数年後にはまた別の風が吹いて変化を見せているかもしれません。

このような1つの考え方として、ジョーンズやロメロの移籍劇が考えられる〜と捉えていてくれれば幸いです。

拙い文章でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました😊


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