国産カカオを通じてつくる未来
そこには、日本一のチョコレート街がある。
ミルクチョコレート、ボンボンショコラ、ガトーショコラ、ビーントゥーバー、、、チョコレートの専門店が道の左、右、どの方向を見てもずらりとひしめいている。
カカオを焙煎している香ばしく、甘い花の様な香りがいつも街中に広がっている。
甘い香りに惹き付けられるように、近所の小学生から大柄な外国人観光客までたくさんの人が毎日集まってくる。
ホットチョコを飲みながら、とろけるフォンダンショコラを楽しめるカフェ。テラス席では、宮崎の青く、澄んだ空の下、友人や家族と楽しく食べ話している。
熱狂的なチョコレートファンは、両手にたくさんのビーントゥーバーを抱え、フレーバーの違いを味わいながら、街を散策している。
夜になれば、カカオバーが扉を開く。
芳醇な赤ワインと濃厚なナッツのような香りのダークチョコレート。
アルコールとチョコのマリアージュを大切な人と楽しめるこのバーでは、日常を忘れたゆっくりとした時間が流れる。
少し郊外に出ると、高いヤシの木が揺れる広大な
宮崎平野に、カカオを育成するハウスが並んでいる。
ハウスの中に入ると、小さいながらも花火の様にパッと広がる白い花が満開の木。
赤、黄、緑、紫、茶、、、宝石のように鮮やかで色々なカカオポッドを実らせた木。
カカオの観光農園もある。
自分がオーナーのカカオの木を育て、花の受粉からカカオポッドの収穫、カカオ豆の発酵、乾燥、そしてそこから世界にひとつだけのMyチョコレート作りが出来るみたいだ。
小さな白い花が甘く香ばしいチョコレートになるまで一年近く。それだけ時間をかけて作ったチョコの味は格別だろう。
カカオ農園で働く人達の顔は、明るく輝いている。
カカオの木に囲まれ、自然の中で人間らしく体を動かしながら働く。
カカオは寒さに弱い。
だから年中ハウスの中は暖かい。その中で爽やかな汗を光らせながら花を受粉させたり、実りを収穫したり。
時には、乾燥させているカカオ豆をかじって味見してみる。濃厚なチョコレートの香りが口一杯に広がるこの瞬間は、幸福感に浸れる、農作業中の癒しの一時。
お金や名誉よりも大切な、豊かな自然に囲まれながらの人間らしい暮らしや、心の豊かさに気づいている人たちばかりのようだ。
色とりどりのフレーバーのカカオ豆作りから笑顔を生み出すチョコレート作りまで。
そして、カカオ産業は宮崎独自の一大産業となった。
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これが、僕が描く宮崎産カカオを通じた未来です。
2013年、僕が高校生の頃、「地方創生」という言葉が生まれました。
当時から地方は、人口減少、高齢化に伴い、衰退の一途をたどっています。
宮崎も例に漏れず、身近な市街地も閑散としたシャッター街が広がり、街を歩く人は少なく、若者はいない。
このまま故郷が廃れていく姿を指を加えたまま見ていられない。
将来的に、何かこの状況を変えられるような事をしたい。
高校生の僕は、心の中で密かにそう思いながら過ごしていました。けど、自分には何も方法が思い付かず、もどかしさと無力さを感じる悔しい日々でした。
関西の大学に入り、宮崎からは離れることになりました。
田舎の高校生あるあるですが、一度は都会で暮らして大学生活を楽しみたいと思っていました。
それとともに、外から客観的に宮崎を見てみることによって宮崎の地方創生に繋げられるようなヒントを得たいいう思いもありました。
だから、将来的には、宮崎に帰って来て仕事をするということも高3のうちには心の中で決めていました。
体育会の部活に入ったので、普通の大学生の様な華やかさはありませんでしたが、大切な事をたくさん学べました。
部活漬けの日々の中、宮崎の地方創生のことはすっかり記憶の奥底に眠ってしまっていました。
3年生の終わりになり、就活も始まる頃、今後どうするか考えたとき、高校生の頃のことを思い出しました。
やっぱり宮崎のためになる仕事がしたい。具体的に何をしたいか思い浮かばなかったので、公務員になることにしました。
公務員だったら、宮崎の商業、工業、農業、福祉、交通など様々な分野の仕事ができて、何かしら地方創生に繋がるような仕事ができると思ったからです。
部活と試験勉強を両立させながら頑張った結果、何とか合格することができました。
そして公務員として働き始めました。
そんな中、2020年の4月、宮崎の地方創生の具体的な方法をざっくりと描けるようになりました。
それが宮﨑産カカオの生産とそれに伴うカカオ産業の樹立です。
思い浮かんだ理由はシンプルです。
チョコレートが好きだからです。笑
毎日食後のチョコを食べ続け、カカオの事をネットで調べるようになりました。
長くなるのでここでは書きませんが、
主に以下の四つの理由でカカオの高い可能性を感じました。
①国内に競争相手がほぼいない
②将来的な需要供給バランスの崩壊の可能性
③お菓子でなく健康食品や嗜好品としての市場拡大
④僕が美味いチョコを勝手に大量に作って食べれる
宮崎の強みである農業と田舎の要素を使った地方創生
宮崎県は、農業生産額全国第5位の農業県です。
さらに、マンゴーやライチなど熱帯の果実を生産し、ブランド化してきた歴史とノウハウの基盤があります。
このことは、熱帯の果実であるカカオ栽培に非常に有利であると考えています。
さらにコロナ禍。
危機的な状況の中に勝機があると思います。
これまで都会志向で地方からたくさんの人が東京へと流出する東京一極集中が起きてきました。
コロナが流行り始めると、生活様式が一変しました。
仕事は会社に行かず、在宅勤務。
飲食店は時短で遅くまで楽しめる店がない。
ライブなどの人口集中地域でしか楽しめないイベントが開催できない。
そもそも人が多過ぎて感染リスクが高い。
有力企業の地方への本社移転。
都会には、仕事がある。楽しい店がたくさんある。ライブなどイベントを楽しめる。
これら都会特有の強みがなくなり、ただ感染リスクの高い人混みになりつつあるように感じます。
そこで田舎(地方)に目が向けられる時が来たと思います。
海が美しいリゾート地のような場所でリモートワーク。
人混みがなく、ストレスフリー。
感染リスクが都会に比べて低く、のびのびと生活できる。
サーフィンや釣り、自然の絶景などの感染リスクが低い趣味を楽しめる。
コンクリートジャングルを抜け出し、自然とふれあいながら人間らしい生き方ができる。
今、働き方、暮らし方の大転換点が来ていると思います。
田舎で人間らしさ溢れる仕事、農業をする。
その中でも、珍しいカカオ栽培をする。
仲間と美味しいチョコを作って食べて自然の中で豊かな休日を過ごす。
さらに小さなビニールハウスから始まったカカオ栽培が巨大なカカオ産業へと成長して宮崎の地方創生に繋がっている。
そんな未来があっていいんじゃないでしょうか。
一緒に未来を作っていきましょう!
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