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レインボーパレードに初めて参加して感じたこと

10月26-27日に、大阪の扇町公園で行われたセクシャルマイノリティの大イベント「レインボーフェスタ!2024」。
今回、LGBTQ+当事者である私が、レインボーフェスタの目玉でもあるレインボーパレードに初めて参加した。そこで、パレードの一員として歩く中で感じたことを書き綴っていこうと思う。


レインボーパレードに参加した経緯・理由

私がレインボーフェスタ!に初めて訪れたのは2年前のこと。
同性のパートナーができて数か月経った頃で、まだ同棲はしておらず、週に1回程度週末に会う程度だったように思う。
LGBTQのイベントとか興味あるかな、あまりそういう会場には行きたくないかな、みたいなことを考えながら、おずおずと「レインボーフェスタ行ってみない?」とパートナーを誘ったと記憶している。

私にLGBTQ関係の知り合いはほとんどおらず、しかもあまり社交的ではない自分は会場で誰とも話せず、人で賑わっているブースに入るのもなんだか気が引けてしまっていた。結局、交流しなくても済むメインステージをパートナーと一緒に鑑賞しただけだった(とはいえ、メインステージを見るだけでも結構楽しめる)。

初めてレインボーパレードを見たのは去年のこと。といっても、用事があって会場に着いたのはパレード終盤の時刻で、パレードの隊列がゴールする瞬間を見ただけだ。
雨が降っていたこともあってあまり長居できず、先頭の隊列のゴールを見届けただけで、パレードの全体像や熱気を十分に味わえないまま終わった。

そんな感じで、一昨年も去年もレインボーフェスタの会場には行ったものの、イベントを満喫できずに終わってしまったため、今年こそは!という気持ちもあった。知り合いの少なさが十分に楽しめない要因でもあったため、イベントの2か月前くらいからLGBTQ関連の交流会に色々参加しておいた。
面識が少しでもあれば、内向的な自分でも話すハードルが下がる。ブース出展されている方と軽くお話ができ、なんとなく仲間の一員になれた気がしてほっとした。

前置きが長くなってしまったが、今回パレードに参加しようと思った理由を書いていこうと思う。
理由は3つ。

  1. パートナーが仕事のため、一人での参加になったから

  2. パレードの中から見える景色や自分の感情がどう揺れ動くか知りたかったから

  3. レインボーパレードに対するネガティブなイメージやニュース(主に衣装に関すること)を見聞きしており、実際にどうなのかを確かめたかったから

LGBTQ+当事者として、一度くらいはレインボーパレードに参加するのはいい経験になると思った。今回はパートナーが仕事で不在だったため、身動きがとりやすかった、というのもタイミングとして良かった。

ということで、実際にレインボーパレードの隊列の一員になり、そこで何を感じたのか書いていこうと思う。

レインボーパレートで感じたこと

パレードの中から見た景色

まず一番に思ったのは、パレードの隊列が思った以上に長い!ということだ。隊列が長いということは、それだけパレード参加者が多いということでもある。
出発の30分前から集合場所に移り、その時はまだまだ人はまばらだったのだが、出発前には人でびっしり。目を凝らして見渡してもパレードの先頭と最後尾が分からないくらいの長蛇の列ができあがっていた。もしかすると、扇町公園からはみ出すレベルの長さになっていたのではないだろうか。
パレードはそのくらいの規模感であったため、一参加者としては全体像は把握できなかった。

私は隊列の中間より少し後ろあたりに位置していた。
もちろん、個人参加なので周りは知らない人ばかり(知り合いになった人はほとんどブース出展側だったため)で、ずっと居心地悪そうにスマホの電源を付けたり消したり、キョロキョロと周りを見たりしていたと思う。
あまりにも長い隊列で、なかなか前に進まず、長時間の待機を強いられていたのだが、ほとんどの方がワイワイと楽しそうに話しながら過ごされていたのが印象的だった。当事者なのか、あるいはアライなのか、当然ながら見た目では分からないのだが、参加者のほとんどはこの祭典を心から楽しんでおり、盛り上げていきたいのだな、というのを感じ取れた。

少しずつ隊列が前に進み始め、公園の外に出る。
各所に配備された警察官の指示に従いながら、歩みを進める。
パレードでは、一般の車道を歩くため、警察官の協力は欠かせない。こうして協力を得ながらパレードができるということは、これまでのレインボーフェスタで信用を獲得し、更には熱意が伝わっているからだろうと思う。本当にありがたいことだな、と感じた。東京のレインボーパレードではどうなのか分からないが、少なくとも関西のレインボーパレードでは私が見る限り、過激な恰好や非常識な行動をしている人はいなかった。
これはあくまで私個人の考えではあるが、やはり周りの理解を得るにはルールを守った正当な方法で行った方がよいと思っているため、そこをしっかりとわきまえて運営されているのが良いと感じた。

歩いてみて驚いたのだが、公園の外に出ても沿道に多くの人がいた。
当然のことながら視線がこちらを向いているので、人に注目される恥ずかしさがあり、どんな風に振る舞いえばいいのか悩みながら、しばらくぎこちなく歩いていたように思う。

パレードの中から見えた、多様な人たち。
パレードからほど近い沿道から声を上げて応援する人。
ビルの高層階の窓から身を乗り出して手を振っている人。
カフェの店内から笑顔を向ける人。
「これはなんだろう」と自転車を押しながらちらりとパレードの方に目を向ける人。

パレードへの興味や関わり方は様々だが、そこにはゆるやかな”つながり”が生まれていたように思う。少なくとも私が見た限りでは、パレードに対する罵倒や反対運動を行うような人は見られず、パレードに関わる全ての人たちの間にどこかあたたかな一体感を感じた。
セクシャルマイノリティはここにいる。
マイノリティだけど、確かに存在している。
そして、それを認めて共に生きようとするアライの方々がいる。
そんなことを実感した。

たくさんのシャボン玉がキラキラと飛んでいた。
どれも球体ですぐ壊れてしまう儚さがある。
でも、飛び方は一様ではないし、よく見ればそれぞれが放つ色も異なっている。
ひとつひとつがどれも綺麗で、それがたくさん集まればもっと綺麗だ。
そんな風に、一人一人の個性を本当の意味でお互いに尊重し、愛していけたらいいな、なんてことを思った。

企業や自治体の参加

レインボーパレードは当事者だけではなく、アライもいる。そして、企業や自治体も参加している。

近年、LGBTフレンドリー、ダイバーシティなんて言葉をよく見かけるようになった。今では多くの企業・自治体がLGBTQへの理解を深めようと試行錯誤しているところなのだろうと思う。

企業や自治体がレインボーパレードに参加することについて、
「レインボーパレードに参加するのは、会社の価値を上げたいからだろう」
「自治体の宣伝をして人口を増やしたいだけなのでは?」
などと思う人も少なからずいるのではないかと思う。
もちろん、そのような意図もあるかもしれないが、ポジティブな見方もできるのではないだろうか。

純粋に応援したい、多様な生き方を尊重し、社会で自己実現してほしい、そんな思いで参加する企業・自治体も多いと私は考えている。
もしかすると、LGBTフレンドリーを謳っているだけで、実態としてはまだまだ安心して働いたり住んだりできるような場所ではないかもしれない。しかし、だからと言って、LGBTフレンドリーやダイバーシティを目指すことは諦めてはならない。

未知への理解、というのは時間がかかる。
しかしながら、諦めずに運動を続けることが重要だ。
レインボーパレード/レインボーフェスタに関わってくださった企業や自治体の方々にはぜひ、社会の先頭に立って頑張ってもらいたいと思う。

『Happy Pride』という言葉が生み出すもの

『Happy Pride!』
パレード中、一番耳にした言葉だ。

Happy New Year!とか、Happy Halloween!みたいな、お祝いをするときの挨拶・合言葉のような言葉である。
どうやらHappy Pride!には「自分が自分であることに誇りをもって楽しもう
」という意味があるようだ。
特に「Pride」はLGBTQコミュニティーの誇りや自尊心を指す言葉として使われている。

パレードを歩く人も、沿道で応援する人も、「Happy Pride!」と声を掛け合う。パレードの始まりから終わりまで、ひたすらHappy Pride!と言い続ける。それ以外の言葉を交わすことはほとんどなかった。

沿道から喉を枯らしてしまいそうなほどに大きな声で叫び続けておられた方もいた。その懸命な姿には、すごく力をもらえたような感じがした。
Happy Prideは世界共通言語だ。海外から来られたであろう人もたくさんいたが、この言葉を交わすことでつながり、互いに力を与えあっていたように思う。

自分は恥ずかしくて最初は何も言えずに黙々と歩いていたのだが、Happy Pride!という言葉を浴び続けているうちに、少しずつ自分も声にすることができた。
今度パレードに参加することがあれば、もっと力強くHappy Pride!と言えたらいいな、と思う。

まとめ

初めてのレインボーパレード。
人に見られながら歩く恥ずかしさはあったものの、パレードの中で色んなものが見えたし、色んな感情が沸き上がってきた。

これは、実際に歩いてみないと分からないと思うので、ぜひもっと多くの人に体験してもらいたいと思う。
パレードの一員になるのもいいし、沿道で応援するのもいい。また、建物の中から手を振ったり、小さなレインボーフラッグを振ったりするだけでもいい。
パレードの参加の仕方は多様だ。できるところからやってみてほしいと思う。きっとそれが多くの人を勇気づけるだろうし、自己肯定にもつながるのではないかと思う。

マイノリティがこんなにも集まる機会はなかなかない。
自分以外にもこんなにもLGBTQの人たちがいて、さらにはこんなにもアライの人たちもいる。それを肌で実感できる機会がある、というはとても貴重だ。

LGBTQの祭典を強い意思を持って続けて下さっている人たちに感謝したい。

Happy Pride!!




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