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夏。玉手箱を開けて。
夏。気が付いたら知らない土地に居て知らない人達に囲まれていてスマホを確認すると3年の月日が経っていた。
私はさっきまでスマホでofficial髭男dismさんの新曲「アポトーシス」のミュージックビデオを眺めていた…はずだった。
今は2021年の8月だと思っていた。
スマホには2024年8月…と記載されていた。
物凄いスピードで脳内に情報が流れてきた。
私の中に何人もの人格がいること。
その私とは別の人格が交代しながら3年間生活をしていたこと。
その中の1人の女の子が私を名乗って恋愛をしていたこと。ここは地元から離れた場所ということ。一人暮らしをしていること。
そしてその恋人さんとは失恋してしまったこと。
失恋した直後から新しく出来た友達(今私の近くにいる人)とそのご家族さんのお家でお世話になっていること。
他にも様々な情報が流れてきた。
3年間私を名乗っていた私とは別の人格の女の子と私の意識が半分ずつの状態で私の意識は戻ってきた。
何故か現在の状況が理解出来たのは早かった。
だが、思考は混乱していた。
だって私は今地元の就労移行支援で就職活動を頑張っていて気になる企業を見つけてそこの企業に応募しようか迷っていたばかり。
なのにそこの企業の面接を受けて採用されて休職したりもしたけど2年以上も働いて退職。遠距離恋愛もしてそのお相手の近くに引越して失恋して…なんて状態になっていて。
18歳になったばかりのはずの推しが21歳になっていた。推しに歳を越されていた。そして垢抜けていた。
半ば浦島太郎みたいな状態だった。
その翌日からアルバイトの予定だった。
アルバイトは2日だけ乗り越えた。
その翌日。アルバイトは休みだった。
突然、地元に、実家に帰りたくなった。
感情が溢れ出した。涙も止まらなかった。
「帰りたい」
「帰りたい」
「帰りたい」
泣きながら親に電話した。
「帰りぃ帰りぃ」
久しぶりに両親の声が聞けて安心した。
その翌日友達のお家から一人暮らしのアパートに連れて帰してもらいその後両親にアパートまで迎えに来てもらった。
車に積めるだけ荷物を積んでもらい私は地元に帰れることになった。
多重人格と言うらしい。
地元に帰る途中、車の中で親に状況を説明した。
一人暮らしのアパートは後日片付けて退去した。
10月。私としての意識が戻って2ヶ月が過ぎた。
ここ3年間の身の回りの環境について少しは出来たけれど身に覚えのないことも多々ある。社会情勢とかも。
お気に入りのテレビ番組は1年以上前終了していたり、コロナウイルスは第5類(?)に引き下げられていて半ば普通の風邪のような扱いになっていたり。遠い国で紛争になっていたり。
また「去年こんなことあったよね〜」と2020年の出来事を親に話すと「それはもうだいぶ前だよ」と言われてしまったり。
親から「こんな出来事あったよね」と言われ記憶になく「いつそんなことあった?」と聞くと2022年の出来事だったり。
そして私とは別の人格の女の子がお付き合いしていた元恋人さんのことを私は知らない。
私として会ったことも話したこともない。
だけど感謝してる。
苦しいことも多かっただろうけどきっと大事な人同士だったんだろうな。
2021年の時点では私の精神状態はとても苦しかった。親との関係も苦しかったし自分の成りたい姿と求められてる姿の不一致だったり、色々上手くいかないことばかりだった。
きっと私の意識がどこかへ行っていた3年間の間に私とは別の人格の女の子とその元恋人さんが色々乗り越えてくれたんだろうなと思っている。
また別の人格の女の子が失恋してしばらくお世話になった友達とそのご家族さんにもとても感謝している。私の意識が戻ったとき状況を知っている人が近くに居なかったら更に混乱していただろう。
多重人格にはなった。私が他の人格の子達に肩代わりしてもらってたから他の子達に苦しい思いも多くさせただろう。
だからこれからは私も他の人格の子達も一緒にゆっくり休みたい。きっと悪いことばかりではない。
3年間私のために一生懸命戦ってくれたからこれからは私が他の人格の子たちを守っていけるように頑張ろうと思う。
必ずみんなで幸せになろう。
基本人格 遥陽🌼