視聴メモ『【落合陽一】自粛期間のメンタル・クライシスを考える』
出席者
落合陽一、佐々木紀彦、下園壮太、青砥瑞人、櫻本真理、佐藤昭裕、宮田裕章
視聴メモ
4:10 下園、かつて戦場の兵士は船で帰国していた、その移動の期間で癒やす、いまはその期間が取りづらくなっている、自粛=楽をしているわけではないという認識、青砥、ストレスを感じやすいのは不確かさ、ストレスそのものは悪いものではない、櫻本、カウンセリング増、宮田、LINE調査でも調査した、大きな影響が出ている、この後立ち上がって行くにあたり大切な問題と認識している
11:50 宮田、フランスにおける制限解除方針、何を解除し何を制限するのか、マスク装着は重視されている、マスクしていれば満員電車OKとしている国もある、NZ:4段階で解除、USA:失業者対策が喫緊の課題、3段階解除、スウェーデン:ノーガード戦略、マスクせず感染増、高齢者へ感染で死者増は問題点、各国ロックダウン解除の条件、感染状況の把握、感染経路の把握のためのテクノロジー活用、国民の6割は使っていないと効果がない、いずれApple/Googleが端末標準で入れてくるか、中台韓はGPSを活用、スマホの履歴のみでOK、データを何のために収集・使用するか、落合:GDPRと相性悪い、落合、EUは国境を越えたトレーシングは?、宮田、1国1アプリ+相互運用が大事、活動再開のための条件、USA失業者数は急増、1600万、新型コロナ大きな影響は単なる死者数だけではなく社会へのダメージ、それがメンタルへ与える影響
26:10 下園、ストレス=二種類、直後のファーストショック(パニックなど)、その後一部の人がセカンドショック(うつなど)、日本もこれからセカンドショックの時期か、青砥、セカンドショックはファーストショックの辛い記憶を再生して注視してしまう、記憶に囚われる、下園、疲労蓄積の三段階、1段階疲労=身体にでる、不眠、食欲不振、2段階疲労=負担を避ける、イライラ、余裕がない、3段階疲労=別人化、自責、不安、無力、負担、宮田、自粛などで家庭内に溜まる、青砥、心的安全状態、心的危険状態、ストレスが適切なときと過剰なときで脳の活動領域が変わる、過剰な状態=冷静な思考ができなくなる、思考停止、不適切な行動を抑制できなくなる、櫻本、ストレスをまず自覚することが大事、ボディスキャニング、意識を向ける
39:40 落合、狩猟採集時代の人類はストレスにどう適応していたのか、安定した社会に自然が入ってくると読めなくなる、青砥、人間の脳がまだそこまで進化しきれてない、シナプスの最大値は前頭前野は2歳がピーク、刈り込みで使っていない回路を減らして省力化、10歳程度までの環境がその後もあまり変わらない前提の設計という説、宮田、ストレスに気付いた後にコロナで難しいのは先が分からないこと、落合、先が読めない時代のメンタルヘルス=戦時中と同じ、下園、硫黄島の状況(爆撃が続き洞窟でしのぐような)だと30日で95%が不調に陥る、5%は元から反社会的気質があり逆に適合してしまう、宮田、アメリカ:ベトナム戦争、ゲリラ、民間人相手という条件が兵士に多大なストレス、青砥、同じ環境でも同じストレスを受けるわけではないという認識大事、落合、集団行動の中でどうなるのか、下園、共感だけではダメ、自分を基準にしすぎると他者に攻撃的になる、佐藤、自粛-解除が躁鬱に当てはまりそうで怖い、ケアする側のケアも課題、下園、長期戦を戦うには休息を適切にとることが大事、自信があると不安は小さくなくなると大きくなる、健康状態への自信、睡眠を取ることが大事なのでは、落合、寝る以外にないか、下園、孤立した状態が強ストレス、他者とのコミュニケーションをうまく取ると前向きに行動できるようになる、宮田、ソーシャルディスタンスのリスクの議論はまだこれから、青砥、ハグでオキシトシン出るなど、それができなくなっているがなにかしら可能性はあるのでは、宮田、遠隔でサポートする技術を活用できれば、櫻本、オンラインカウンセリングの可能性、クライアント側はオンラインの方が良い、セラピスト側はオンラインはやりづらい、非言語情報が少ないので想像しないといけない、宮田、外出できない人にも最初のアプローチが可能になる利点ある、落合、ソフトドラッグの活用も必要では、宮田、遠隔サポートだけでなくアプリ自体をドラッグの役割になることもある
58:55 メンタルヘルスへの対処、櫻本、「支え合う」、メンタルの問題は弱い人のもの=>誰もが持ちうる問題、専門家がさせる構造から皆で支え合う構造へ、支え合う人が身近にいない問題=意識して作っていく、宮田、サイコロジカルファーストエイドが必要なスキルになっていく、青砥、今回のコロナは5年もすれば教科書に載るような事態、その際にどのように語られたいか、「有り難う、感謝」、外界の大量に溢れる情報に注視せざるを得ない現代社会=>自分の内心に意識を向ける、心からの感謝=ポジティブな状態、利他的であり同時に利己的、下園、「楽しむことに自責を感じない」、うつ段階までいくと楽しみを避けるようになる=>努力して楽しむ、、青砥、笑いは癒やし、下園、軍楽隊の意義、パーソナルスペース、ひとりの時間のなさのつらさ、青砥、音楽も有効、宮田、「今こそインクルージョン」、どう立ち上がるかに社会の姿が映る、佐藤、オンライン診療でコロナの可能性有無の診断、落合、共感性があるヤツから病んでいく=>人類から共感性を取り除いていくかが大事なのでは、失業者が大量に発生する場合にどう復帰するかではなく失業したままで成り立つ社会を考えないと、週休五日の社会にどう変えるか、下園、暇でも比較することで苦悩する、落合、ベーシックインカムの出口戦略は、櫻本、ストレス要因は多様、1つの解決策で解消はしない、宮田、人の常識・ノーマルが急速に更新されている、元の状態に戻るサポートだけでなく、新しい状態へ導くサポートも必要、落合、開けたり閉じたりを繰り返していく、「もうずっと有事」、平時というものがあると思いたがる
視聴後考察
正直なところ今回はまとまらない。課題やそれに対する各人の持論は展開されたし、そこに一定の説得力もあるのだが、社会全体が対象となると当事者もまた多様でありたったひとつの冴えたやり方というものがない。
ストレス対策として、落合さん以外が述べていたようにボディスキャニングや内省などで自覚し、ストレスが蓄積してきて過剰になりそうであれば、楽しみを見つけるなどして解消することが大事というのは同意する。視聴しながらアランの教え「人は幸せだから笑うのではない、笑うからこそ幸せなのだ」を思いだして強く首肯したものだ。また音楽も高い効果を得られるというのも反対する人は少ないだろう。ストリーミングサービスとデータ定額プランの組み合わせでいつでも聴ける環境はかなり整ってきているし、お気に入りの曲をいくつか見つけておけば、いつでもセルフケアができる。これは自分でも実践しているので実感した上で推奨できる。
しかしそれがうまくできないからこそうつ病になる人が出てくる。問題はそうした人たちをどうケアできるのか。もはやその状態になってしまった人が自力でそこから抜け出ることは至難だろう。至難だからこそその状態にまで陥ってしまうのだから。
落合さんが「メンタルヘルスへの対処」として、他の参加者が様々な提示をしたあとに真っ向から疑念を呈したのが「共感性のあるヤツから病んでいくのだから、人類から共感性を抜くにはどうしたらいいかを考えるべきでは」というもの。例えば戦場において間断なく爆撃がある中で洞窟に潜むことを余儀なくされた場合、30日で95%が不調に陥るという統計があるそうだが、この95%をいかに復帰させるかという観点は誤りで、95%は復帰できないことを前提に社会を設計する必要があるのではないかということらしい。これはWithコロナ時代とは「もうずっと有事」なのであり、その状態においては95%が不調に陥るという前提に基づき、その95%がそもそも不調に陥らない状態を可能にする社会デザインが必要なのではないかということ。
面白いなと思ったのが「週休5日で二日はストレスフルにバリバリ働き、残りの五日のなかで小銭稼ぎくらいの副業をいくつかする」というスタイル。この仕事さえしていれば人生安泰という安心感は得られないが、まぁそもそもこれやっておけば安泰というものが崩れてきているのが現代なので、発想を根底から更新することはより一層重要になるかもしれない。
一方で、これもまたある方策はある人には大変有効だが、別のある人にとっては逆にパフォーマンスを落とし、不調に陥りやすい条件になる可能性があるというもの。ここはAIなどの活用で、パーソナライズ、個人に最適化した働き方を可能にするテクノロジーの応用およびそれを可能にする社会基盤の設計構築が課題だろうか。