【ほらふき日記】元カノが人生に後悔しているらしいが、僕と別れたことか?
今日、起きたこと。
まず、それを端的に申しますと、元カノに1年ぶりに会いました。それも別れてからちょうど1年。
そんな運命的なお話をします。
朝、起きると僕はまずSNSを見ます。そして一通り、友人やら好きなアイドルの投稿に目を通してから、別アカウントに切り替えます。
元カノの投稿を見るためです。なぜこんなことをするのかというと、別れるときに元カノのことはブロックしてしまったから。
そしてフォロー0フォロワー0の、「マヨネーズ探偵」というアカウントで、元カノのSNSを検索すると、衝撃のツイートが飛び込んできました。
「人生、後悔していることが一つだけある」
投稿日は今日。つまりは僕たちが別れてからちょうど1年の日。それは間違いなく僕とのことでした。
彼女に会いに行こう。
僕は、ベッドから飛び起きて、クローゼットを開けました。ですが、こういう時に限って、お気に入りのシャツを洗濯しているのです。あぁ、彼女に会いに行くと分かっていたら、昨日は別のシャツを着たのに。
僕は後悔をしながらも、2軍のシャツに袖を通しました。せめて髪はセットしようと、ヘアアイロンやらワックスを使って、彼女の好きなマッシュヘアに仕上げました。
YouTubeでヘアメイクを紹介している男の解説動画を見ながらやったため、1時間もかかってしまいました。それなのに出来はイマイチ。マッシュルームというより、毒キノコ。
ですが落ち込んではいられません。好きな人のためなら、毒キノコだって食べられる。そう自分に言い聞かせて、僕は家を出ました。
「今から会いに行く。どこにいるの?」
彼女にそう聞けたら楽なもんですが、やはり1年ぶりの再会なので、もっとドラマチックにしたいと思いました。
そこで近所の花屋で、小さいですが花束を作って貰いました。店主さんに彼女の写真を見せると、ピンクを基調とした可愛らしい花束に仕上げていただきました。
まずは彼女のバイト先へ向かいました。付き合っていた頃は塾講師をしていましたが、今はアパレルショップで働いています。SNSにあげていた服などで、店の名前は分かっていたので、すぐに辿り着けました。しかし彼女はオフのようでした。
次に彼女の家へ向かいました。3ヶ月ほど前から一人暮らしをしていることは知っていたので、事前に写真から割り出していた住所へ向かいました。
そして、彼女の苗字が書かれた表札の前で待つこと5時間。ついに再会のときが訪れました。
「久しぶりだね。君に花をあげたくなって」
キザすぎるかと思いましたが、ドラマチックにしたかったのです。
すると彼女は泣き出してしまいました。
「ごめんなさい、ごめんなさい」と。
最初は戸惑いましたが、僕は彼女の頭をそっと撫でることにしました。しかし、それを阻むように家の中から男が出てきたのです。
僕よりも綺麗にセットされたマッシュルームくんは、ものすごい顔で睨みつけてきました。
「おい、いつまで、まとわりついてくるんだよ」
「はい?」
「バイト先、何回変えても店に現れるし。やっと引っ越せた家にも現れるし。いい加減にしてくれよ」
僕は、マッシュルームくんの言っていることが理解できず、彼女に目を向けました。すると彼女は泣きながら、僕にまた謝ってきました。
「ごめんなさい、ごめんなさい。私がもっと、しっかり振ってあげられたら。あなたが前に進めるように別れてあげられたら」
僕は再び、彼女の顔の前に花束を差し出しました。
「君をイメージして作ってもらったんだ」
「ごめんなさい、ごめんなさい。私の心残りは、あなたをストーカーにしてしまったこと」
彼女とマッシュルームくんが言っていることは最後までさっぱり理解できませんでした。ですが、やはり話の合わない相手とは別れて正解だったのかもしれません。
今日はそんな1日でした。