やっと向き合えた日
3月11日、当時私は小学2年生だった。学校から帰って、テレビを見て、私の生きている日本で、遠く離れた東北で、なにが起きているのかを知った。ただ、呆然としていたような気がする。8歳の私にはあまりにも衝撃的で、受け止めきれなかったのだと思う。あの日から半年くらいは記憶がほぼない。長期的な記憶力はいい方だと自覚をしている私だからこそ、ごっそり抜け落ちている期間が真っ白で、より目立ってみえる。
学校で毎年していた黙祷。今回初めて、自分の意志で黙祷をした。13年経って、21歳になって、私はようやく向き合えるようになったんだと思う。不安や怖さ、私にはなにもできないという無力感、亡くなった方への追悼。当時の私を突然襲ったいろんな感情たち。受け止めきれず、自分の心を守るために蓋をした感情たち。涙が溢れた。私には13年必要だった。
あの時の私がどう受け止めたのか、鮮明にはわからないし、きっと何年経っても思い出せないのだろうと思う。でも、今の私として、当時を振り返ったり、向き合ったりすることはできる。知って、伝えることができる。アルバイト先の塾で受け持っている小中学生たちはみんな、あの日を知らない。まだ幼かったり、生まれる前だったり。そしてもし、来年の春、教壇に立てるようになったら。大切な教え子たちが、自分の身を守れるように、日頃から備えられるように、私の言葉で伝えていきたいと思う。私にできるのはそれくらいだけど、私だからできることでもあると思うから。