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天才はカフェにいた

あ、ハート!

仕事で疲れ切った私の顔がほころんだ。

ーーー

ラテアート。
コーヒーをキャンバスにミルクで描くアート。

元はエスプレッソとスチームミルクの
混ざり合った様子から生み出されたものらしい。
つまり「偶然」だ。

だが今やどうだろう。

その美しさに魅了され
腕を磨く人が続出し、
コンテストが各地で開かれている。

1つの「アート」として
確固たる地位を築いているのだ。

ーーー

他のアートと異なるのはその儚さだろう。

皆さんもご存知の通り、
繊細にほどこされたデザインが
形を保っている時間はごくわずか。

少し揺れれば、口をつければ、
たちまち姿は変わってしまう。

10分もすれば跡形もなく消えてしまう。

ーーー

しかし消えるのは目の前のラテアートだけ。

ラテアートに工夫を凝らす
文化そのものが消えることはない。
なぜだろうか。

私にはカフェラテを飲む人の
幸せを願う作り手と、その受け取り手が
無数にいることのあらわれに思える。

ラテアートは残らない。
けれどもラテアート付きのカフェラテを
飲んだ時の嬉しい気持ちは、
ラテアートが消えても残り続けるのだ。

コーヒーとミルクが混ざり合う様子を見て、
そこまで思いを馳せられた人がいた。
だからラテアートは生まれたのだろう。

その人、すごすぎる。

ーーー

そんな天才の恩恵にあずかりたくて、
カフェラテを飲むためにカフェにおもむく。

浮気性なブラックコーヒー派が私なのだ。

#私のコーヒー時間

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