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ウエスト症候群⑩ウエスト症候群 完治

その後も毎週、杏の樹鍼診療室に通いました。

杏先生の治療は、てんかんに対する治療を終了し、娘の「こどもらしさ」を引き出す治療方針に変わりました。(私には同じことをやっているように見えるが)
「こどもらしい脈」「こどもらしい感情」「こどもらしい代謝」
弱ったり抑えたりしているものを引きだしていくと言います。
一見、変わった考え方に聞こえたし、てんかん治療を終えちゃうの?大丈夫?という気持ちも少なからずありました。
けれど、杏先生は”人にとって当たり前に必要なこと”をしているだけだと言います。土台があるから軸が支えられる みたいなことなんだろうなぁ。それで治っちゃうんだから古典鍼灸っておもしろい。


その後の脳波

1ヶ月後の脳波検査では脳波は全く乱れることなく正常になっていました。
さらに2ヶ月後には全ての薬の服用を終了した上で、正常な脳波が確認されました。娘の回復を"薬による一時的なもの"と考えている医師からはまだ正式に伝えられていませんが、”完治した”と考えていいと思います。
再発の心配も娘の様子を見る限り、全くありません。

結局、バルプロ酸減量は医師から前例がないとのことで認められず、自分の判断で薬味匙1杯ずつ減らしていきました。医師には2ヶ月後の脳波検査の際に、伝統鍼灸治療にかかり薬の服用を自主的にやめてしまったことを告白しました。
いつからどんなペースでどの薬を減らしていったのか確認され、少し、、いや、かなりムッとされた印象がありました。
それはそうだと思います。患者が治療計画を無視したのですから。
鍼灸治療については何も聞かれず、次の検査予約をとって診察終了してしまいましたが、私としては、何ヶ月も見てきた患者が、薬を使用せずにどうやって劇的な回復をしたのか、それを医師には聞いて知っていてほしいと思いました。
たくさんの弱りきった患者を、子供を見ているはずなのですから。

病院が、鍼灸治療を紹介できるようなシステムになる日が近い未来にあってほしいと強く願わずにはいられません。

終わりに

もし古典鍼灸治療に出会ってなかったら今頃、、と考えると本当に恐ろしいです。きっとあのまま薬で弱っている娘に2度目のACTHで強いステロイド治療をしていたに違いない。それでも治らなくて、、の繰り返しだったに違いない。そして、そういうお子さんとご家族が今どこかにいるかもしれない。どうかそういった方々に、私が杏先生の古典鍼灸治療に辿り着いた時のように、届いてほしい。その思いを込めて、治療記録を残すことにしました。


娘はもうすぐ2歳になります。闘病のために延期されていた療育や発育発達支援も受けられるようになり、運動機能訓練や人との関わり合いなども覚えていく環境でニコニコ元気にトレーニングをしています。
杏の樹鍼診療室へは毎週通い、ダウン症が持つ低緊張や発育不全に働きかけるような治療を続けています。同時に私は仕事と子育ての傍ら、杏先生に弟子入りし中国伝統古典鍼灸の考え方を少しずつ学んでいます。娘のてんかんがどうして治ったのかをちんぷんかんぷんのままではなく、どうしても理解してみたいと思うのです。

杏の樹鍼診療室での出来事や、私が杏先生から教わる東洋医学の面白さの数々、さらに娘の予後などを、今後も記録していきたいと思っています。


ウエスト症候群の記録①〜⑩   

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