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【個人Vが一人でLARPを開催した感想】

◆前置き

 今回LARPを行うにおいて情報収集を行ったところ、ネット上においては全くと言っていいほど「テクニック」「コツ」などの技術、手法的なものが見つけられなかった。
 恐らくLARP自体がメジャーでなく、技術が一般的になっていないためだと思われる。
 また、VtuberとしてもLARPを銘打って活動した先人がいないように思われたため、わずかでも情報が文章化出来ていることが望ましいと思い、今回筆をとるに至った。

◆開催にあたって

目的:個人Vが、集客・リスナーに対し世界への没入感を与えること。それによりリスナーのアクティブな活動(コメントなど)を誘発し、配信の活性化を図る。

選定理由:http://obakensan.com/
こちらは、LARP型のお化け屋敷です。実在する建物を使用し、経営を行っていらっしゃいます。
このサイトの「咽び家-2章」はオンラインでの開催が行われています。
これをきっかけとして、「LRAPはオンラインでも可能である」と気が付き、今回の取り組みに至りました。

LARP:ライブRPG、またはライブアクションRPG(英:Live action role-playing game)はロールプレイングゲームの1形態で、現実世界でプレイヤーの身体的行動を大きく伴う。略称としてLARP(ラープ)とも呼ばれる。
≒ プレイヤー没入型のRPG

◆結論

 配信型、および個人VtuberがLARPを行うにあたって、下記の要素が必要とされると思われる。

・ストーリー
・演出 (≒ 雰囲気の作り方)
・低難易度の謎解き
・簡易かつ明確な回答の提出方法
・時間調整(≒ 演出?)
・リスナーによる協力体制を構築させる

実際の配信:

◆実情

 今回行われた『バニシングツイン』においては、「新人Vtuberの自己紹介&交流配信」の形式をとって、配信が行われた。結論での内容を踏まえて、ひとつずつ解説と葛藤を書いていく。

・ストーリー
 作中のストーリーやそれに付随するシナリオ背景など。正直TRPGのシナリオを書ける人であれば、それほど悩まず書く事が出来る部分だと思われる。
 PLを実際の人物に置き換えただけで、実際のところはほとんど変わらなかった。
 強いて言えば、ダイスロールで補える知力部分を実際の人間に置き換えなくてはならないため、ややトロッコ(ストーリーを読むだけでシナリオが解決する)シナリオに寄せる必要がある。
なお、この部分は自身で解決出来るため問題なし。

・演出(≒ 雰囲気の作り方)
 問題その1。(シナリオに密接する部分なため気付きが多いかも)
 この部分で問題となったのは「演出は配信画面のみで完結させるべきか」「配信画面で演出を行う際のバリエーション不足」「配信外で演出を行う場合の演出、情報の提示方法」。
※過去TRPGで演出を培ったため、TRPGとの比較を多用しています。

「演出は配信画面のみで完結させるべきか」
→今回はNoとして考えた。
 配信画面以外に触れることは、配信者リスナー共に手間が増えることだが、それ以上に没入感を感じさせられると考えた。
 今回はコメント欄へ別アカウントよりチャット(URL投稿)を行う事で、名前だけの第三者を登場させようとした。
→失敗。同PC上では別アカウントを開けても、チャットの送信が出来なかった。また、配信を見ながら外部URLにアクセス出来ない人もおり、情報提供が満足に行えなかった。
 別端末からのチャット、URL以外での情報提供を検討する必要がある(未検証)

「配信画面で演出を行う際のバリエーション不足」
→言葉の通り。追記するなら、OBSは専門的な知識なしではバリエーションを持つ事の難易度が高く、演出の種類を増やすことが難しい。また、配信画面で行う場合情報提供のリピートが難しいため、より明確に伝わるものでなくてはいけない。

「配信外で演出を行う場合の演出、情報の提示方法」
→今回は文章媒体での情報提供を行った。レスポンスが不足しているため効果があったかの検証が出来ていない。
また、多様な事が出来るはずの為、継続的に取り組んでいく必要がある。
また、時間が限られているコンテンツであるため、可能な限り簡素である必要があると思われる。(読解に必要以上の時間をかけさせない)

・低難易度の謎解き
 リスナーは一般的に謎解きに慣れていないものが多く、また前述の通り情報を確認する手段、種類が限られているため、必然的に簡易な謎解きであっても難易度が上昇する。
 そのため、配信型の謎解きを行う場合は謎の難易度を低く設定する必要がある。
(ただし、高難易度謎解きを行わせたい場合はこの限りではない。今回はストーリーへ没入させることを目的にしている為、このような問題が現れた)

・簡易かつ明確な回答の提出方法
 今回、回答においては(世界観のひとつとして)一定の記号「⭐🔥」を並べた上で、解答を示すことを要求した。
 しかし、問題文の記述「答えは旧き神の星火と共に」が伝わりづらいものだったため、謎解きの正解にたどり着いているリスナーが回答方法に困惑する場面が見られた。
 演出のひとつとも言えるが、世界観を保った上で明確に回答を提出する方法を検討する必要がある。

・時間調整(≒ 演出?)
 今回は、配信である以上アーカイブを残すことや後から観に来たリスナーへ対してフレンドリー(途中参加しやすい)かつ観ていて飽きさせない状態を作る必要があったが、その観点を失念していた。
 そのため、各情報を提示するタイミングが前半に非常に偏り、そこからアドリブで徐々にヒントを出していく形を強いられた。
構成としてなしでは無いが、より謎解きの難易度を安定させるため、また配信中にリスナーを途中参加させ飽きない番組構成にするために時間配分に対して独特なテクニックが必要になると考えられる。
(そのテクニックは恐らく謎解き界隈で用いられているテクニックが有用に使えると考えられる。TRPG界隈は謎を提示した後の時間制限に厳しくない為、テクニックが熟達していないと考えた為)

・リスナーによる協力体制を構築させる
 考慮はしていたものの、具体的な工夫ができていなかった要素。
 具体的には謎に対する議論を誘発したく、またその集合知により謎解きの回答を提示させたり、さらに踏み込んでシナリオの背景となった存在を解明する事などが出来ると考えていた。
 しかし、謎を提示後、NPC(配信者)へ行った質疑応答がある種他リスナーへの情報提供にもなる部分は見られたものの、見方によってはそれ以上の協力体制は無かったものと言える。
 リスナー同士の集合知による謎解きはコメントを加速させる要因となるため、チャンネルの賑わいを促す為にも積極的に工夫したい。

◆総評

 配信型LARPは、Vtuberと非常に相性がよく、またアクティブなリスナーを獲得するために非常に有益なコンテンツであると考えられる。

 LARPはTRPGと違い、V本人を主軸とした新たなストーリーを展開することを可能とし、謎解きのような積極性を絡めた要素により、リスナーをそれに没入させやすい環境を構築できる。

 LARPは、主催者側とプレイする側によって、印象とテクニックが異なるものであった。
プレイヤーにおいては「TRPGと謎解きの間」。主催者においては「TRPG、謎解き、即興劇の間」。
 リスナー層にもよるが未だ「謎解き」が広く浸透していると言えない部分もあり、それ故にリスナーに対しての歩み寄りが必要だと感じた。
 主催者においては、僕が持ちうる技術、知識がTRPGに著しく偏ったものであった為、十全な成功が得られなかったと思われる。謎解きの知識や経験、テクニックがあれば、よりリスナーにフレンドリーなLARPが開催できると思われ、より盛り上がる配信が行えると思われる。

 何より、今なら界隈の先達となれる。コンテンツの飽和する現代において、一コンテンツの先人となれるというのは何にも変え難いメリットだと思われる。
(ハッシュタグも現実開催のもの以外ほぼ出なかったので、今なら広告効果も高い?)

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