離職について
「離職」ひじょうにネガティブな言葉です。
工業高校での進路指導は、就職8割(民間7割、公務員等1割)、進学等2割です。
すなわち、ほとんどの生徒が卒業後に就職になります。
ところで、「工業高校で学びながら一生涯の生業とする仕事を見つけ、定年退職までその会社で働き続ける。」ハッキリ言って遠い過去の話です。
私が初めて担任をした生徒は、卒業して23年目ですが卒業時に決定していた進路先に在籍している方はほとんどいません。
つまり、何らかの形で離職しています。
ここでお断りを入れておきますが、「同じ会社で一生涯働き続けることがいけない。」ということではありません。後述することが満たされるならばこれほど良いことはないと思っています。
新卒の就職は以下の点で難しさを感じます。
それまでの人生経験が「児童・生徒・学生」でしかないこと。
年度を超えた瞬間「初めて働く」という未知・未体験の世界に一変すること。
これらを解決すべく、
企業側は「現場見学」「インターンシップ(職場体験)」「出前講座」「応募前職場見学」「採用後研修」「採用後の定期的な面談」などを行っています。
さらに、建設業協会という一般社団法人があり、「建設業に関するフォーラム」「テレビラジオ等の企画」「資格取得費用の助成」「測量等の実技講習」「就職の模擬面接指導」などを行っています。
20年前は「現場見学」はありましたが、その以外はほとんどありませんでした。
今の生徒はとても恵まれているなと感じます。
ここで、全くアプローチを変えて考えてみます。
人間はどんなときに「もっとがんばろう」と意欲的になったり、「やりがい」を感じるのかということです。
それは、「仕事が人の役に立ち感謝される」「適正な評価と報酬が与えられる」「自身の成長が実感できる」などに集約されるのではないかと思います。
働くことと並行してこれらのことを感じることができれば、「離職」はまずあり得ません。
しかし残念なことに、そこまで辿り着くためには「スキルアップ」「経験の積み重ね」がどうしても必要になります。
この過程で価値を見出せないと離職につながっているケースがほとんどです。
さて、どんな工夫と実践をすれば良いのか。
日々の教育活動の中で試行錯誤をしています。