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積極的な学び

 「勉強しなさい!」と言われてしぶしぶ行う学習と、「自分にとって必要だ!」と考えて行う学習では、同じ時間を費やしてもどちらが充実するかは、言わずとも明明白白です。

 教育職に従事している者として、生徒に強制的に学習させることよりも、生徒自身が必要性を感じ、それが積極的な学びにつながるための仕掛けの設定が重要と考えます。

 学校の授業は基本的にクラス単位で行いますので、多数の生徒が同じ授業を受講します。「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」、「知識・理解」の4つの観点おいて、学習活動全般(授業、課題、定期考査等)を評価して単位認定をします。

 なぜこんな話をするかというと、「評価が悪くなるから学習しなければいけないよ!」というスタイルでは学習意欲は相当低下するということです。100点法で通算40点未満の生徒は朱点(いわゆる赤点)といって単位認定がされません。そうなってはたいへんですので、私の勤務する高校ではそういう生徒に「補習」を義務づけています。

 「補習」を行うこと自体はとても良いことです。しかし、「朱点解消のため」「単位認定のため」「このままいくとたいへんなことに」など、積極的な学びが派生する要素は残念ながら見当たりません。(誤解のないように言っておきますが、「補習」を否定するものではありません。朱点の生徒を補習もせずに放置していて単位認定ができるわけがありません。)

 そこで冒頭にも述べた、「生徒自身が必要性を感じ、それが積極的な学びにつながるための仕掛けの設定」がポイントになります。

 その答えは私の場合、昼休み食事後の20分間、教室とは別室で「学習会」を設定するだけです。毎日では生徒共々たいへんなので、週2〜3日としています。

 「学習会」の生徒への知らせ方はシンプルです。

 「誰でも参加自由」「どこを学習するかは生徒自身が決める」「参加してもしなくても評価に全く影響しない」「何回聞かれてもわかるまで教える」

 この学習会を設定することで、生徒自身が考えるようになります。その日の授業でわからなかったところや、遅れを取っているところをチェックするようになります。そして何より、教員から「来なさい!」と言われて来るのではなく、自ら足を運ぶのです。

 「学習会」の設定によって、生徒自身がPDCAサイクルを短期で回すようになるのです。

 もちろん、問題点もあります。それは、来てほしいと思っている生徒が参加しないことや、私自身の昼休み時間の確保です。
 前者については、様子を見て個人面談を入れます。「なぜ来ない?」と言う直球アプローチではなく、生徒が教科の学習状況についてどう自己分析しているのかを聞き取ります。
 後者については綺麗事を言うつもりはありませんが、生徒が自ら学びたくて来ている環境なので、昼休みが潰されたと言う感覚すらありません。むしろ、生徒の積極的な学びの支援ができて充実感を感じます。

 積極的な学びをたくさん経験することで、学習に対する価値観は大きく変わると確信しています。


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