感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪188」
本日は「わたモテ」更新日です。
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いやあ……
今回は神回ですね。
語るべくして語ります。
・前回の感想
感想記事をリンクします。
以下、最新話のネタバレ注意!
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喪188 モテないしあいつのこと
扉絵にはもこっちとゆり。そしてそれを見上げるキバ子。
そう、今回もキバ子回です。
2連続でキバ子回。これは非常に特殊な事態です。
そもそも「わたモテ」は基本的にもこっち目線でのお話なので、まず他の登場人物が主導で話が進む事自体がかなり珍しいです。そして2連続もこっち以外の人物が主役となった事は、これまで一度もありませんでした。
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それだけ今回の話が重要という事でしょう。
・もっと後ろの席
キバ子目線で席替え回を振り返ります。
キーはまこっち。喪185にてゆりやキバ子から振り回されてムリゲーを強いられていた彼女でしたが……もこっちの離脱によってかゆりが引き下がりました。
「いつもワガママで自分勝手なゆりが私の為に遠慮を……!?」
まこっちはさあ……
いや、ゆりのまこっちに対する接し方を見るに、わりと的確な表現ですが。
まるで保育園の先生みたいなポジションのまこっち、好き。でもその前の懊悩してるまこっちもっと好き。
「どうしても南さんとゆりの希望を聞くと吉田さんと私の席が……」
この卑しさですよ。
まこっちは別に性格が悪いわけではありません。むしろ友達想いです。でもその上でちょいちょい欲望を優先させたがるこの人間臭さ、本当好き。
・ですら…!?
ここのゆりの反応、笑えます。
まこっちはゆりの事、完全に子ども扱いしてますね。そしてキバ子も同様の扱いですね、これ。
もこっちや他の友人に対しては普通なのに……どうしてでしょう。単に面倒見が良いというだけでしょうか。そういえば遠足で暴走していたうっちーを相手にした時にも、ゆりやキバ子と似たような接し方でしたね。どうやらゆりやキバ子を特別扱いしているわけではなさそうです。
特別扱いは吉田さんですね。露骨に態度が違います。やってる事はゆりやキバ子にしているような、単なる世話焼きですが……
・まこっちのくせに私のこと怒って!!
ここのキバ子、子どもですね。こういうスタンスだからまこっちも幼児相手みたいな接し方になるのでしょう。
さて、席替えの結果はキバ子にとって芳しくないものでした。まこっちが隣になったのはともかく、肝心のまこっちが反対隣の吉田さんにご執心なので、結局構ってもらえないぼっちポジション。
ですが前の席は二木さん。その事に安堵するキバ子……素敵です。ぼっちを見下すキバ子が、ぼっち……というか極端にマイペースな二木さんを許容する寛容さを身に付けつつあるというのは、紛れもない成長と言えるでしょう。二木さん側の心情はまだ不明ですが、少なくとも嫌がってはいなそうなので関係は良好だと言えましょう。
・小陽ちゃんは?
代わってサチノリマキ。打って変わってギスギスしてます。
「(キバ子が)うちのクラス来てキョドってんのはちょっと見たいかも」
これは邪悪ですね。仮にも友人であるキバ子を思いっきり見下して笑い者にしようと考えるとは、本当にろくでもないです。しかもその様子をマキに撮影させて楽しもうとするその下衆さは、この漫画史上類を見ないレベルの悪意ではないでしょうか。
全体を通してちょくちょく胃が痛くなる展開が多いこの漫画ですが、明確な悪意を持った人物はそれほど多くありません。読者が苦しむ展開のほとんどは、調子に乗ったりドツボにハマったもこっちの自爆であって、周りの人間はいずれも案外優しいかった印象です。
そこへサチノリマキ。たった4コマ程度の場面で陰湿さが溢れてきそうです。
そんなサチノリマキですが、マキだけスタンスが違うようです。彼氏を作ってサチノリとの付き合いが悪くなったようで、前回もサチノリに陰口を叩かれていました。
悪意だらけの会話に、薄い友情。人間関係の嫌なところがこれでもかと凝縮されたこの部分、本当にいやらしいです。いい意味で。
・飲み物?
そんな会話を尻目に昼食の準備をするうっちー達……通称雌猫グループ。
たった一コマしか出ていないうっちーの存在感、すごいですね。「うっちー一人で毎回行きすぎ」な理由も「寄り道しすぎ」な場所も、何の説明も無くとも丸わかりなのが卑怯です。
うっちーのもこっちへの感情は、仲間内ではどう処理されているのでしょう。凪(眼鏡の人)は面白がっている感じでしたが……いずれうっちーサイドのお話も見てみたいものです。
・あんなに性格悪かったっけ?
うっちーを抑えて買い出しに行ったかよが凪に問いかけます。教室内での悪辣なやり取りに耐えかねたのでしょう。
かよのセリフは、以前のサチノリの性格はもっとましだったという風に捉えられます。そうなるだけの環境の変化が、彼女達に訪れたという事です。
クラス分けでのキバ子との離別や、彼氏を作ったマキと疎遠になっていく事……サチノリマキキバ子の4人グループに溝が生まれた事により、残ったサチノリの精神的余裕がなくなったため、より攻撃的な性格に見えるようになった……とかですかね。
・南ちゃんグループ
凪の印象だと、サチノリマキは「南ちゃんグループ」のようです。つまり二年の頃までは、キバ子が中心だったという事になるのでしょう。であれば、キバ子だけクラスが別になった事がかなり影響しているように感じられます。
そんなキバ子はサチノリマキの事なんて忘れて二木さんと一緒に過ごします。そんな二人に安堵の笑みを浮かべるかよ凪、善性が感じられて好きです。直前がサチノリマキだっただけに、余計に。
・ださ
……
うわあ……
マキの離脱に続いて、サチノリ間でさえギスギスな空気感が出ています。ただ固まって外部に悪意を吐き出しているだけでなく、チームアタックもありとは……いよいよもって嫌なグループですね。まあ元々サチとキバ子でマキの悪口を肴に盛り上がっていましたし、そもそもサチノリマキがキバ子を見下しているからこその今の展開ですから、今更ではありますが。
さて、ここでキバ子を笑えなかった事で不機嫌な表情を見せているのはサチで、それを嘲笑っているのがノリ。
この違いは重要です。
・ていうか今日昼何してた?
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フォント、デカくない?
フォントがデカいのも、執拗にキバ子を糾弾しているのもサチ。
前回から引き続き、サチのキバ子への異様な圧が見えてきます。自分よりも下だと思っているキバ子に待ちぼうけを食わされた事がそんなに気に食わないのか、あるいは……
・またいるよーあいつら
帰り道のゲーセンで吉田さんらヤンキーグループと二木さんが麻雀ゲームに興じていました。麻雀、前にもやってましたよね。麗奈辺りが好きなのでしょうか。
国士和了ってドヤ顔の二木さん、可愛い。
っていうか役満和了して三位って、どうなってるんですかね。トビ無しのルールだと、
吉田さん:33000点
杏奈さん:33000点
麗奈 :34000点
二木さん:0点
くらいの一人敗けじゃないとそんな事にならないでしょ。
前にも二木さん、運ゲーは苦手だと零していましたが……どうやら本当に運が悪いようです。国士なんて運が悪くないと狙いませんしね。きっと「ナナヲ♡チートイツ」の中也みたいな闘牌をするのでしょう。
楽しそうで何よりです。
……
っていうか麗奈さん、二木さん下の名前で呼んでるんですね。
もこっちの事は「黒木」呼びなのに……どうやらもこっちの視界外で相当親密になっているようです。こういう細かいところ、群像劇って感じで好きです。
・…あいつこの前の…
……
ひえっ……
二木さんをロックオンしたサチ……怖いです。
・未だにパシリ
別クラスから見たもこっちと吉田さんとの関係は、そういう風に映っているのですね。まあ二年時に岡田さんも勘違いしていましたし、無理からぬ事ではあるのでしょう。
でもキバ子は二人の関係にそういう上下関係が無い事に、薄々ながら気が付いているようです。そういう風にも映っているのですね。
この視点の違いは、単にクラスという垣根が隔てたものでしょうか。
ここにサチノリとキバ子との違いがあるような気がするのは、少し深読みが過ぎるでしょうか。
・……うざ
いや、まあね。
もこっちも薄々自覚していたようですが、ぼっち目線だとそうなりますよね。この辺もっと深堀して、第三者目線でのもこっちを描写してくれたら……
いや、今以上にお腹痛くなりそうな展開になりそうなので、それはそれで覚悟がいりそうですが。
さてキバ子、放課後ゲーセンに行く二木さんについていくようです。
・あんなのとも仲いいの?
柿沼……体育祭でネモと二人三脚やってた男子がいますね。同じクラスでしたっけ?
太ってるのは安藤……じゃなくて初芝……でもなく、ただのモブですね。球技大会の時に清田くんに肩を抱かれてた地味な男子。
彼らもまた、キバ子が見下している類の人達ですね。だからこその「あんなの」呼ばわり。
でもそんなキバ子の毒舌を気にする様子も見せず、二木さんは淡々と説明してくれます。懐が広いです。
・私帰るね
キバ子……
悪口言ったら嫌われるってロジックは理解していたんですね。
いや、当たり前の話ではあるんですが……これまでのキバ子の口の悪さを考えると、それすら理解していない気がして。
まあロジックを知っている事と、ロジックを理解して立ち回るのはまた別の話なのでしょう。
しかし自分のそんな性格が災いして孤立している現状、キバ子は今身をもって悪口でのコミュニケーションが良くない事だと体感しているはずです。
・よっわ
……
まあ、人ってそう簡単に変わりませんよね。
っていうか別にキバ子は自分の性格そのものを反省しているわけではなく、単に「悪口言った相手と一緒にいるのは気まずい」という程度の認識でしょうし。
結局のところ、相手を見下す性格はまだ健在なんですよね。
二木さんのゲーセン仲間に対して、ここぞとばかりに煽り散らすキバ子は邪悪……
いや、そこまでではないですかね?
サチノリが酷すぎて、相対的にキバ子がましに見えてしまいます。
もちろんキバ子の態度は決して褒められたものではありませんが……面と向かって相手に言葉をぶつける辺り、陰湿さとは無縁です。それにキバ子自身が他人を嘲笑えるほどの何かを持っているわけでもないので、その悪口も薄っぺらいです。子犬が吠えているようなものだと考えると、笑って聞き流せる範疇でしょう。
・みんな言う程下手じゃない
二木さん……
・伸びしろがないだけ
ふ、二木さん……!?
なるほど、「悪口や煽りはよくあること」とはこういう事ですか。トラッシュトークや囁き戦術もゲーマーとしてのスキルと考えると、ゲーマーである二木さんもその能力を持ち合わせているのが自然です。
であれば二木さん、キバ子の悪口に対して特に嫌な顔をしなかったのは、広い懐で受け止めていたのではなく、単にゲーマーとして悪口に耐性があっただけですかね……? いや、ある意味それがベストなのでしょうけれど。
・小陽ちゃんいるじゃん
……
…………
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ひえっ……
サチ怖い。
キバ子がゲーセンに行く前のあの短いお断りLINEから一体どこまで察したのでしょう。もしかすると、後を尾けてきたのでしょうか。見下していた相手にそこまでの執着を見せる辺り、もう怖い。
そしてこの演出。
本当に神がかっています。
見覚えのない「目」のズームインから、次のページで表れるサチの顔。
これまでモブキャラとしてのっぺらぼうだったサチに個性が具現化された瞬間が、簡潔に分かりやすく、そして劇的に描写されています。
この顔見せシーン、ものすごく感動しました。
感動したと同時に、慄きました。
サチの顔、こわっ!!!!!
いや、ね。分かってましたよ。18巻のおまけ冊子でもこっちがサチの顔を怖いと表現していましたし、このままじゃ終わらないとは思っていました。
でも顔見せが来る事なんて想定していませんでした。
・うるせぇな
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いや、もう文字だけのリアクションが追い付きませんよ。
何そのフォント。
何その簡潔な暴言。
何その態度。
たった一言で、サチの心情がありありと読み取れます。
サチは苛立っています。キバ子が自分達の他にコミュニティーを形成し、楽しそうにしている事に。
明らかに異常な執着です。軽い気持ちでキバ子に会いに来ているであろうノリマキとは明確に異なる態度です。
今はもうノリやマキなんてどうでもいいと思っていないと「うるせぇな」なんて言葉は出ません。そのくらい、サチはキバ子しか見えていないのでしょう。
口元は笑っています。
目も怒っているようには見えません。
ですが言葉は、有無を言わせない雰囲気に満ちています。
二木さんを振り返るキバ子の表情は、動揺だけではないでしょう。
これからサチはキバ子とどんな話をするのでしょう。サチにぞんざいな態度を取られたノリマキは、どういう態度に出るのでしょう。残された二木さんは、何を思うのでしょう。
ただ分かるのは、大波乱の予感だけです。
総評
……
ホラーかな?
サチが怖い回でした。こういうキャラ、個人的に好きですが。
でもそれだけではなく、前半にはきっちり笑いどころが用意されていました。日常モノとしても十分に和める描写も含まれています。
つまり神回です。
続きが楽しみです。
本当に……本当に楽しみです。
喪188の満足度:100/100
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