感想「海浜秀学院のシロイハル 第5章」
「マンガワン」で連載中の漫画「海浜秀学院のシロイハル」が更新されました。早速語っていきたいと思います。
・漫画紹介
紹介記事をリンクします。
・前回の感想
全開の感想記事をリンクします。
以下、最新話のネタバレ注意!
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・前回の続き
回を跨いでのエピソードというのは、この「海浜秀学院」では初めてです。前回時点でかなりオチがついていた状態でしたが、ここからさらに深淵に向かうのかと思うと、胸が高鳴ります。
そして当然続きなので、前回の登場人物「棗さん」と「たかゆき」も続投です。まだ第5話なので何とも言えないところではありますが、この漫画に置いて回を跨いで登場した人物は、叶の他は星のみです。たかゆきはともかくとして、棗さんはレギュラーの一人と見て良いでしょう。
というか星、あんまり出てきませんね。
てっきり彼、叶と一緒にダブル主人公を張るものだとばかり思っていましたが……いや、まだ5話だから本当に何とも言えないのですが。
この手探り感……この漫画がどういう方向性に進むのか未だ未知数な以上、毎話楽しみです。
さて、冒頭は前回と同様に棗さんの部屋から。何故か女装している棗先輩ですが……
・撮れ。そして使え。
……なんやねんその顔。
叶って全然表情変えないからサイコ感あるんですよね。谷川ニコ先生の描くイケメン系のキャラは結構無表情なところがあるんですが、それでも漫画的表現が豊富だから、自然と表情豊かさを感じます。しかし叶は冷や汗一つかかないから、意図的に異質な感じで描かれていると思います。それでいてカップラーメンにちんこを突っ込んだ時や三本立ち型オナニーをした時とか、人並みにダメージを受けている描写もあるので、無敵というわけではないのがミソですね。っていうか、過去の回を振り返った時の字面の酷さがえげつないですね。やっぱこいつやべーやつだわ。
いや、まあそれはこの際いいです。
使えって何です?
いや、カマトトぶってるわけじゃないです。意味くらい分かります。分かった上で訊かずにはいられないというかなんというか……
開始一ページで表現が直接的過ぎやしませんかねえ……
この漫画、ブレーキというものがないのでしょうか。テンポ良くて大好きです。
さて、その後3コマに渡って丁寧に中学生にカメラの使用用途を語る叶。無表情なままで淡々とエロを自給自足させようとするその姿は実にシュールです。
叶の理論に「(棗先輩は)男ですよ!!」と至極真っ当な事を言うたかゆき。こいつ前回滅茶苦茶性欲強そうな発言繰り返してたわりに、常識的ですね。着ている熊Tシャツから、彼の無垢さが窺えます。なんだかんだいってもまだ中学生、叶達とは年季が違うという事でしょう。こういう発展途上の学生の気持ちを詳細に描いているというのは、この漫画がジュブナイルである事を思い出させます。シロイ「ハル」ですもんね。
そんなたかゆきを納得させるために、叶は写真を撮ります。女装した棗先輩の写真を……
・理解の早いたかゆき
……
下半身に集中線を集中させるな!
伊藤さん(わたモテ)の時といい、谷川ニコ先生は集中線の使い方が上手いです。やたら線が濃いのもミソだと思います。
しかし棗さん、写真うつりが良いですね。いや、写真に写っていない時も美人っぽさの演出がすごいです。化粧をしているのか、作画コストがやたらかかっていそうな綺麗さを感じます。元々背が低く中性的な顔立ちの先輩は、この方面の素質が大いにあるのでしょう。
ちょっと気になるのが、棗さんがなんでこんな事を始めたのかというところです。誰かから頼まれたのか、自分から始めたのか……いずれにしても女装そのものにさしたる抵抗を感じていない辺り、棗さんもだいぶぶっ壊れているような気がします。やっぱり全寮制の学校でネット環境が不自由だと、かえってインモラルな環境になるんでしょうか。
さて、そんなインモラルさに多少なりとも影響を受けているのか、あるいはもう我慢の限界なのか、叶よろしく無表情で全てを理解したたかゆき。ツッコミ役が消滅した瞬間でした。やっぱ星いるでしょこの漫画。いや、星は星で変なとこありますけれども。
・そういう店
ほぼほぼページの半分を使って「そういう店」感を演出する棗さん。「会員証」とか「割引サービス」とかいかにもです。っていうか割引サービスって一体何なんでしょうねえ。何をどうサービスするんでしょうか。こういうのって深く考えるべきじゃないのでしょうか。
っていうか会員証、ナンバー見る限りたかゆきみたいなのがあと30人くらいいる計算になりますよね。この学校、変態ばっかですね。
変態ばっかですけれど、撮影が始まると席を外すという妙な律義さを見せる叶。変態なのにちゃんと気遣いが出来るのは、逆にやべー奴感あります。
ド変態なのに真面目に勉強してる小宮山さんに若干引いた智貴みたいな感情が、わたしの中に渦巻いています。こんなところで共感出来るとは。
・撮影終わり
……これ本当に棗さん?
「ちょく!」で見たような制服に「クズとメガネと文学少女」で見たようなウィッグを被った棗さん。変身能力の振れ幅に驚きます。っていうかたかゆき、完全に棗さんの顔が映った写真も使うつもりなんでしょうか。そりゃ性癖も歪もうというものです。この後に及んで「用事」があると、あくまで格好つけて去っていくたかゆき。キャラとしてのインパクトこそ薄い彼でしたが、いいキャラしていたと思います。また登場した時には変態度が上がってそう。
・棗さんと叶
棗さん、割と守銭奴ですね。女装癖というよりも、あくまで純粋にお金への執着の強さが窺えます。「太客」だとか「金もらえればなんでもいい」とか、思ったよりストイックです。叶とは別のかたちの極端さを感じました。
対する叶はあくまでオナニーの伝道師。オナニーを熱く語るその姿はやや不気味ながら、真剣さを感じます。
女子で抜く、女装男子で抜く、人外で抜く、二次元で抜く、叔父言で抜く…オナニーは無限大で、何にも縛られない自由な行為です。
真剣ですが、変態ですね。変態ですが、あくまで真剣です。
叶は女装していない棗さんで「自由」するんですか? 何というか、叶は叶でストイックですよね。誰よりも拗らせているからこそのオナニー伝道師という事ですね。
総評
今回、ちゃんと感想語ってたでしょうか、わたし。
この漫画、いろいろとインパクトが強すぎてきちんとリアクション取れた自信が全くありません。ちょっと整理する時間が必要かもわかりません。
でも今回も面白かったです。次回も楽しみにしています。
第5章の満足度:93/100