見出し画像

感想「映画 ゆるキャン△」

7/1公開の劇場版「ゆるキャン△」、見てきました!!

早速、感想を語っていきたいと思います。

以下、ネタバレ注意!

・良かった点

まずは良かった点を挙げます。

①登場人物がかわいい

シンプルですが、重要な点です。

きらら原作の「ゆるキャン△」では、登場人物のかわいさが重視されます。当然映画版においても、それは変わりません。媒体が変わってもファン層は変わりませんからね。

さらに今回の映画は本編よりも時間軸が先のお話で、本編時点では高校生だった主要人物が全員社会人になっているという点で、大幅なキャラデザや性格・個性の変化が憂慮されるわけです。変化が悪いわけではないのですが、変化した上で原作と同じかわいさが得られるかというと、難しいところです。

ですがご安心あれ。「映画 ゆるキャン△」ではその辺、ほぼ据え置きです。

リンちゃん、なでしこ、大垣の三人は髪型が変わりましたが、それによってその三名の可愛さに悪影響を受ける事はほぼ無いでしょう。

そして性格や個性は、ほとんど原作と変わりません。

リンちゃんは企業勤めでやや落ち着いた風でしたが、普段の振る舞いがクールな一方で仕事で自分の企画が通った時に垣間見せた情熱的な部分、突然の大垣の思いつきに同行する付き合いの良さ、ちくわに見せた犬好きなところ等、魅力的な部分は変わっていません。可愛いです。

なでしこは就職先がキャンプ用品店という関係もあって、原作で見せていたビギナー感がすっかり無くなっていますが、元来の元気で明るい部分は原作と全く変わっておらず、勢いとパワーで友人達の背中を押すその姿はまさに原作同様です。可愛い

大垣は……見事に二代目グビ姉を就任していましたね。職業的な二代目ポジションはむしろ犬山さんなのですが。でも今回の話の発起人として企画を立ち上げ皆を引っ張る行動力の高さ、主にリンと犬山さんに見せる妙な馴れ馴れしさは完璧に大垣そのものです。可愛い

犬山さんと斎藤は全然変わってないですね。というかこの二人は、上三人と比べると描写が控えめなのもあるでしょうけれど。斎藤さんのやってるペットサロンがどんな感じなのか、ちょっと気になりますね。でも二人ともやっぱり可愛い

主要キャラ以外でキャラデザが大きく変化したのは、桜さんとあかりちゃん(犬山妹)くらいでしょうか。この二人はそもそも出番が少ないのもあって、違和感が全くありません。桜さん超かっこいい、あかりちゃんかわいい

総合して、キャラの可愛さは健在です。

②過剰なシリアスが無い

映画版といえば、派手で強烈な展開が映えます。なので分かりやすい山場として、シリアスな展開が待っている事がしばしばあります。それも原作の空気感をぶっ壊すタイプほどに過剰な。やめていただきたいものです。

では「映画 ゆるキャン△」ではどうなのかと言いますと……シリアスはほとんどありません。

もちろん物語の起伏のため、息を呑むシーンはいくつかあります。が、いずれも原作の空気を壊さない程度の緊張を呼ぶに過ぎず、安心して観られます。

犬山さんの勤務していた小学校が廃校になる件は悲壮感がありますが、直後に大垣のイケメンムーブが発動するのでしんみりする程度で止まりました。大垣、有能。

ちくわが年を取り、原作の頃ほど元気が無くなったところもシリアスというか物悲しい場面ですが、その場面ではそれ以上に斎藤さんのちくわへの愛情が強く垣間見え、ほっこりさせられました。というかちくわが二代目とか未登場とかにならず、きちんと続投な時点でハートフル極まりないですね。

あと気になるのは、遺跡発見による工事の中断くらいでしょうか。あれは物語上必要なシリアスですが、そこに要した時間はそれほど長くなかったので気になりませんでした。

あと不穏だったのは各々が働いているという事による世間の理不尽さや友情のすれ違いというのが描かれてたら精神的なダメージになっただろうなあというところですが、そんなものはありません。ゆるキャン△は厳しくも優しい世界ですし、たとえ三年ご無沙汰でも友人のためなら100km単位で離れていようが構わず会いに行く友情は健在です。

もうね、理想的なんですよ。こっちが見たくないと思う展開はきっちり避けてきています。そりゃあその結果、多少ご都合主義なところはあったりなかったりしますけれど、余計なリアルさなんて求めてないんで、それでいいんですよ。何が悲しくて映画館の大スクリーンでリアルさを重視したがゆえのギスギスシリアスを見なきゃいかんのですか。

ご都合主義、いいじゃないですか。その結果、「映画 ゆるキャン△」はきちんと成り立っており、その上できちんとした起承転結があります

映画として理想的ですよね。

・賛否両論点

手放しで称賛していたら何だかおかしいので、気になった点も挙げます。

①展開が冗長すぎる

ストーリーに比べ、上映時間が長いと感じました。

その要因は、一シーンにかける時間の長さに起因しています。もちろん必要なシーンを長く取るのは当然ですし、日常系として間や緩急をつけるのもありでしょう。特にゆるキャン△では風景や食事シーンが重要なファクターなので、そこも重要視すべきでしょう。

ですがそれを差し引いても、ちょっと冗長なシーンが多すぎると思いました。

「キャラの描写が丁寧である」と換言する事もできますが、それで視聴者が退屈する余地が生まれてしまっては元も子もありません。

②大胆なメシテロ

食事シーンが美味しそうなのは罪深いです。

もちろんそれがゆるキャン△の魅力の一つなので、そこに文句を言うのは筋違いでしょう。

いや、それ自体は全然良いんです。サーモン祭り、良いじゃないですか。近いうちに真似したくなりました。これがマーケティングなら、完全に成功だと言わざるを得ないですよ。

じゃあ文句なんてないじゃん、と言われるかもしれません。

……否。

上映開始日が7/1というのが問題です。

サーモン鍋はまだしも、カニ鍋なんて真似出来ないでしょう!

……いや、いいんですよ。本当、垂涎の描写でしたもの。

映画館の横でカニ鍋を売っててくれたら、見逃しても良い点だったんですけどね。

・その他

その他、感想を吐き出していきます。

①リンちゃんの「あおい」呼び

ここ聞いて、思わず身体が固まりました。

そういえば原作でリンちゃん、犬山さんの事「犬山さん」呼びだったんですよね。大垣の事はいつのまにか「千秋」呼びだったのに、犬山さんの呼び方が変わった描写はありませんでした。むしろ「犬山さん呼び」すらほとんどせず、二人の間にはちょっと距離があったくらいだと記憶しています。

なでしこや綾乃は初手から名前呼びだったのを考えると、この問題はなかなかに根深いものだと思っていました。

そんな二人がいつから名前で呼び合い出したのか……この辺のエピソードは原作で回収されるのでしょうか。さらっと流されてしまうのでしょうか。

気になりますねえ。

②桜さんについて

桜さんは個人的に一番好きなキャラなので語りたいです。

なでしこに対して若干過保護な印象を受けた原作桜さんに対し、映画版桜さんはその印象は鳴りを潜めていました。

そういえば13巻にて桜さんは大学生である事が判明し、進路に悩んでいる風でしたが……どうやら彼女は現在、家を出ているようでした。

桜さんこそ今何をしているのか……気になります。

③リンちゃんのおじいちゃんについて

映画の〆担当という非常にインポータントな役割を果たしたリンちゃんのおじいちゃんですが……途中、一回も出てきませんでしたよね?

唐突に出てきて〆を飾るとは……美味しいですね。

④原作ネタについて

「映画 ゆるキャン△」では、原作ネタが結構出てきました。

喋る松ぼっくりや急に戦隊ものポーズを取るシーン、酔いつぶれた大垣に被せられるダンボール等、くすりと笑わせてもらいました。

その中でも描写が上手いと思ったのは、犬山さんの嘘つきネタ。

「嘘やでー」の言葉とともに上の空を向くコミカルな表情は原作でも多用され、定番ネタでした。

しかし大人になった犬山さんはそのネタをほとんど使いませんでした。

使ったのは、勤務先の小学校の閉校式の時。心配して駆けつけてくれた大垣に対しての強がりの嘘でした。

自分を騙すその嘘は、本編時のように上手くいかず、それを示唆するように彼女の表情はコミカルな例のものではなく、虚しさに満ちたものでした。学生時代には飄々としていた彼女が社会に出て、荒波に揉まれた結果、冗談で他人を騙す余裕を忘れ、自分に嘘を吐けなくなった……そんな物悲しい描写に見えました。その描写が深ければ深いほど、大垣の友情の深さが垣間見えたシーンでした。

そう思ったら、エンディングで生徒相手に盛大に「嘘やでー」をぶちかます犬山先生……やられました。

エンディングでそれをやるという小気味良さ、好きです。

総評

簡単にささっと感想を述べましたが、総合して非常に良い映画でした。今すぐにもう一度見たいとまでは思いませんが、次回作があったら是非見たいです。

オススメ度:89/100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?