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感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪176」

この時を待っていました。

あるいはわたしは、このお話を読むためにゴールデンウィークを生き抜いたと言っても過言ではないのかもしれません。

以下、ネタバレ注意!

喪176「モテないし実況する」

合宿、終わってますね。

いや、前回のお話が「モテないし合宿が終わる 後編」だったので、合宿が終わってるのはある意味当たり前と言えば当たり前ではあるのですが……長編ですしもうちょっと引っ張るかと思ったのです。

よもやこうもあっさりと次のお話が始まるとは思いませんでした。逆に不意を突かれた気分です。いや、全然良いんですけれど。

・日付確認

さて、カレンダーの描写から見るに、日付はおそらく8月8日か9日。合宿が終わった翌日かさらにその次の日かのどちらかです。

10と11日にはネモの予定が入っていますからね。時間軸がそれより先なら話は別ですが……ここは素直に額面通りに見て良いと思います。

しかしネモの予定とはおそらく、一学期末に約束した「行きたいところがある」という類のもの……だったと記憶しています。残念ながらそこは単行本収録前のエピソードなので読み返す事が出来ないのですが、確かそんな事を言っていたと思います。

ですが予定を見る限り、日を跨ぐ様子。まさかネモ、もこっちの家に押しかけて個人的に合宿でもするつもりなのでしょうか。

そうなると、かなり重要な回になると予想されます。もこっちの家にはこれまで、友達としてゆうちゃん、友達の友達として小宮山さん、弟のクラスメイトとして朱里ちゃん(あと紗弥加)、アクシデントで吉田さん、あとは合宿前にアポ無しで押しかけてきた加藤さんくらいしか立ち入っていなかったはずです。

ですがこのネモの来訪は、加藤さんや吉田さんと異なり事前に約束を取り付けたものです。重箱の隅をつつくような些細な違いですが、これは大きいように思えます。

元々ネモは、マイペースにもこっちにアプローチを取り、要所要所で爆発的な存在感をアピールするタイプです。これは期待が持てそうです。

家に来ないなら来ないで、それはそれで面白いです。もこっちの友達の家来訪もそれはそれで史上初ですし、外泊するならそれも面白いです。なんにせよネモ回、期待がもてそうですね。

さて、カレンダーの描写だけで熱く語ってしまいましたが、本編のお話に戻ります。

・ユーチューバーに興味を持つもこっち

いかにももこっちが食いつきそうな話題です。これに食いつかなかったらもこっちじゃないくらいです。っていうか、前にやったネタだと勘違いしてしまうくらい「らしい」です。ボカロにはまった時みたく、とりあえずやってはみそうです。

そして無言の一コマから、おもむろにググりだすもこっち。この人本当に、行動力はあるんですよね。ぼっち時代の妙な積極性は、未だ健在なようです。こういうもこっちを見ると、ちょっと安心します。

・ゲーム実況をするもこっち

いわゆるゲーム実況系のユーチューバーをやってみたという事みたいです。それにしても、録画って簡単なんですね。もっといろいろ機材が必要なのかと思っていましたが……簡単な動画を挙げるだけなら手元のゲーム機とイヤホンマイクだけで十分とは知りませんでした。

わたモテを読むと、こういう興味の外だった事を調べてみたくなります。こち亀みたいと言えば齟齬が生じますが、大体そんな感じです。

しかし実況は、無理でしょう。もこっちは緊張とドモり癖があるわけですし、よほど気心が知れた相手でもない限り、基本的に及び腰です。まして不特定多数の顔が見えない相手を前に、堂々を語りを入れられるわけがないのです。

その気持ち、分かります。わたしも実況プレイは出来ないタチなので、よく分かります。ああいうの、緊張が勝つんですよね。相手がいるとかいないとか、見えるとか見えないとか、そういうの関係無いんです。さすがもこっち、期待を裏切らない展開です。

そして騒がしいので弟入室。

「……何一人でやってんだ?」

「勝手に入ってんじゃねーよ!!」


「ド変態女性専門ハーレム異常性癖ストライカーが!!」


ここ、死ぬほど笑いました。

キレッキレすぎるでしょう。こんなん卑怯すぎますよ。

やたら長いセンテンスなのに、口に出してみたい言葉です。私的ランキングトップ独走ですよ、今。

笑わないわけがありません。どんなモノ食って何見て生きてきたら咄嗟にこんな罵倒が自然と口から出てくるようになるんでしょう。ある意味悟りと言ってもいいんじゃないでしょうか、これ。智貴の顔が見えないのも相まって、めっっちゃくちゃ笑いました。

しかしもこっち、動画を投稿したりはしないんですね。前述の罵倒だけで再生数取れそうなレベルではあるんですが……いや、現実は厳しいんでしょう。

もこっち、成長しましたね。チャレンジ精神だけは健在ですが、そこに無謀さは見られなくなりました。少し寂しいですが、英断と言えば英断です。

・まさかの人物発見

ユーチューバーは男のジャンルなのかという疑問から、女流ユーチューバーの動画を漁りだすもこっち。そこに衝撃的な人物が……

二木さんです!!

やった! 二木さん回確定です! 

二木さん……二年生の運動会で登場したもこっちと同じ学年の生徒で、三年時には同じクラスになりました。ありきたりな友達グループの輪を作ろうとせず、夢のプロゲーマーを志す意識の高いポテンシャルさんです。

その二木さんが、ゲーム動画を挙げていたようです。

やっているのはゲーセンの音ゲーのようです。夏休み前にもこっちが吉田さん達不良グループと一緒にゲーセンを訪れた際にやっていたゲームと同じものでしょうか。静止画でも分かる躍動感に、二木さんの魅力が光ります。

そしてもこっち、二木さんのパンツに夢中のようです。どこまでもおっさんっぽいもこっちが、いっその事大好きです。

二木さんのアカウント「しきチャンネル」……わずか二週間程度で登録者5.2万人というのは、素人目からしてもとんでもないですね。

どうやら二木さんは、女子高生特有のあざとさをフル活用する事にしたようです。あざとい動画で視聴者を釣って、本当に見せたい本格的なゲーム動画に誘導する……うまいやり方です。

そしてもこっちの解説から分かる、二木さんの本気度。とても素敵です。

あざとい動画を挙げているというのは、ストイックな二木さんの性格とはかけ離れたやり方ですが、裏を返せばそういう手を使ってでも自分のプレイ動画を世に知らしめたいという意気込みの表れでもあります。

あざといがゆえのストイックさが垣間見えるという逆流現象、そしてそういう思考に行きあたったもこっちの他者を認める審美眼がたまらなく綺麗です。もこっちはなんだかんだ言って他人を素直に認める心をもっていて、だからこそ他人によく好かれるのでしょう。

いや、小宮山さんは別として。

二木さんに奮起されて、勉強を頑張ろうと思うもこっち。最後のコマでチャンネル登録をする描写が、二木さんを本当に認めている事の表れで綺麗な終わり方でした。

さて、このお話でちょっと気になったのは、もこっち自身の指標の無さ。

現在もこっちは、何の目的も持たずにとりあえず大学に行こうという程度のモチベーションです。もちろん友人達と同じ学校で学ぶという目標こそありますが、特定の誰かに一人に対して強い感情を持たないもこっちにとって、それは大したモチベーションにはならないでしょう。

もこっちが受験を乗り切るためには、きっと目標が必要なのでしょう。

そしてそれを示すのは、きっとネモなのだと思います。

七夕の日、ネモに言われて書いた「ラノベ作家」の夢。その時点でのもこっちはあまり乗り気ではありませんでしたが、それが本気の夢に変わった時、そしてその夢と大学進学が結びついた時、それは強大なモチベーションとなるでしょう。

そしてそのきっかけは、この夏のネモとの約束で果たされるのではないでしょうか。

今回の二木さん回はその布石だと言えましょう。

それと今回、珍しく登場人物が少ない回でしたね。もこっち以外の人物にも魅力が分散している今、思い切った采配だったと思います。

でもこれはきっと必要な回です。ギャグが面白かった事以上に、次回が楽しみになる回でした。

喪176の満足度:100/100

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