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感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪182」

本日は!!!

わたモテの!!!

更新日です!!!!!

待っていました。この日を待ち望んでいました。

読みたくて語りたくて仕方が無いので、語ります。

・前回

前回の感想をリンクします。

以下、最新話のネタバレ注意!

喪182 モテないし夏果と海

夏果……夏の終わりを表す言葉だそうです。知りませんでした。さすがはニコ先生、純文学的。

さて前回は衝撃のシーンで幕を閉じました。今回はその続きのようですが……?

・海

タイトル通り、今回の舞台は海ですね。元々前回の終着点は海でしたし、自然な流れではありますね。

着いた海で遊ぶ麗奈と二木さん。彼女達の足元にはク〇ニーヌことマロが。相も変わらず一挙手一投足のフォームが美麗な二木さんが印象的です。

二木さん、初登場時から考えると結構キャラ変わってますよね。いや、内面よりも外見が。元々可愛い系のキャラで等身が低くデフォルメされるタイプのキャラだという印象だったのですが、ここ最近は等身が上がり、ますますポテンシャルに磨きがかかったフォルムに。もしかしてもこっちが「絵文字一族は身体が良い」なんて余計な事言ったからなんじゃないんですか? いや、これはこれで好きですけれどね。

そんな二人とマロの様子を離れたところで見守るのは、我らがもこっちと今江先輩。もこっちにとっては卒業以来の邂逅になります。

卒業式……忘れもしない喪115。この漫画における最大の山場の一つです。もこっちの精神的な成長の大きな後押しとなったあの行事における、最重要人物……それが今江先輩です。

今江先輩が卒業した後も、もこっちは要所要所で今江先輩を思い出しています。かつて独りぼっちだった自分に対して、メリットや打算抜きで無償の愛を与えてくれた存在として。

心の中で悪態つきまくりなもこっちが唯一「あの人」と呼び、その後ろ姿を追おうと彼女なりに尽力してきたある種の到達点の一つ。

その今江先輩が今回登場し、話の中心として存在している事に、未だ戸惑いを隠せないわたしがいます。12巻で卒業してからこっち、単行本の特別編以外で登場してこなかった今江先輩がついに……しかもこんなかたちで登場するなんて、想像だにしなかった事です。

嬉しい一方で、不安もあります。この漫画のここ最近の作風です。

敢えてモデルケースを挙げる事はしませんが、同時連載を持っている漫画家先生の作品は、もう片方の作品からの影響を如実に受ける事があります。谷川ニコ先生の現時点でのもう一つの連載は「海浜秀学院のシロイハル」。この間新連載として始まったばかりの漫画は、元々下ネタ要素が多いニコ先生の著作の中でもぶっちぎりでハードな下ネタ漫画です。前回の時点でその煽りを食らっていた今江先輩の身が案じられます。

・マロについて

もこっちにそっくりな今江先輩の飼い犬、マロ。その名前は17巻のおまけにて判明しましたが、それまではク〇ニーヌなどというあんまりな名称でした。

その犬について、今江先輩自らの口から語られます。かつて捨て犬だったマロを拾って育てた今江先輩。

……

やっぱり聖人じゃないか!

さらっと言ってますけれど、今江先輩の善良性がよく表れたエピソードです。小学生の時点で人格が完成されているイメージが確立してしまいました。もうこの人、何やっても株が下がらなそうです。

しかしマロ、例のクセさえなければ可愛い犬ですね。木の枝を咥えて上目遣いに麗奈を見る姿はまるで忠犬のよう。今江先輩の吹き出しの向こうで尻尾を振っている姿が容易に想像できます。

しかしずっと飼っている今江先輩が言われるまで例のクセの事を知らなかったのはどうしてなんでしょう。やっぱこの犬、ちゃんと人見てるんですかね? ラッキースケベ体質の吉田さんが主な被害者ですし。

・ク〇ニについて

……なんでこんな事を取り上げなくてはならないのか。開始2ページで一体何度この単語が出ているのか。やっぱ「海浜秀学院」のペースですね、これ。

さらっとク〇ニーヌの名付け親である事をばらされるもこっち。今江先輩にだけはこれ、聞かれたくなかったでしょうね。白目になって愕然としています。可愛いですね。

しかしもこっち、「真面目でぼっちの智子ちゃんのイメージ」って、本気で言ってます? 雨の日に吉田さんとじゃれてた時点で真面目っぽさのアピールは無理筋ですし、同様の理由でぼっちでもありませんし。

まあでも、「そう見られたい」という心理が働いているゆえのセリフかもしれませんね。ぼっち評は自虐的ですが、真面目である事は生徒会長だった今江先輩に対しての心証が良いですからね。

そんなもこっちに対しても、杏奈さんのいやらしい質問にも動じずに、表情も変えずにさらっと流す今江先輩。思った以上に強いです。さすがの精神力です。

元々顔立ちが似ている事も相まって、きーちゃんっぽさを感じたのは秘密です。きーちゃんは下ネタ体勢すごそう。下ネタだらけのこの漫画において、被害者になっている姿が全く想像できませんからね。ただしもちろん、両者の「強さ」は全く異なるベクトルです。直接対峙したらどうなるか……楽しみではありますが。

さて、今江先輩の強さを目の当たりにしたもこっちの心情。

まっ赤になる会長さん見たかったがそういうあざとい女ではないか…」

もこっち……今江先輩にまでそんな変態性を向けようとは。本当にこの人、節操無いですね。女と見るや誰でも良いと言っているようなものでしょう、これ。セクハラも大概にしてほしいものです。

でも後半の「あざとい女ではない」というのは、もこっちとしては「まっ赤になる今江先輩は見たいけれど、そうならなくてよかった」という風に捉えている風に見えます。見たいけれど、見られなくて良かったという感情は、両立します。

あざといといえば、平沢さん。よりによって今江先輩相手にその単語を使ういうのは、なんだか恣意的です。何かと比較対象になりがちな二人ですが、割と正反対の性質の持ち主なんですよね。

しかしさすがにこの二人が出会う事は、多分無いでしょうね。3学年差という事もありますが、出会うには相性が良すぎる気がします。もこっち抜きで話が進みかねないのではないでしょうか。話を作るのが難しそうです。

おっと、話が逸れてしまいました。ともかく今江先輩はあざとくないです。

・吉田さん

今江先輩と吉田さんも、あの雨の日の一件で特別な仲です。敬語こそ使いませんが、一応先輩を慕っているような雰囲気を見せる吉田さん……すごく綺麗です。

吉田さんって、直接的な言動で感情を伝える事を不得意としている節がありますが、持ち前の不良気質に反してすごく素直なんですよね。素直に先輩として尊敬できる今江先輩を、素直に尊敬しているようなまっすぐさが今回の話で見て取れます。根は素直な不良と優等生の先輩後輩関係……これはなかなかのなかなかですね。

・大学について

今江先輩は、自分の進学先を明かしませんでした。この時の今江先輩の心情を推し量るのは、現時点では難しいです。

先輩の進学先は、14巻のおまけ編で青山だと判明しています。読者側としては周知の事実である事をわざわざ隠すのは、メタ的な事情を抜きにした、100%登場人物そのものの心情が表れている場面であるはずです。であれば何としてでも読み取りたいところです。

一つ予想を立てるとするなら、今江先輩は自分の進学先を明かす事によって、もこっちに何かしらの影響を与える事を避けたのだと思います。

もこっちは今江先輩を慕っていますし、今江先輩の視点から見てもそれがある程度読み取れるはずです。

ならばもしも自分が青山に進学したと語れば、もこっちが自分を慕って青山に来るかもしれない……それでなくとも進学先の選択肢の一つとして、青山がピックアップされるかもしれない。

そうなるともこっちの進路に大なり小なり変化が起こってしまう。もしも青山がもこっちの望む進路に直結しないとか、学力が足りずに無謀な目標を与えてしまうとか、そういう悲劇は避けたいはずです。

そういう今江先輩なりの思惑があっての「内緒」だとしたら、やはり見上げた人格者です。

そんな今江先輩に対してもこっち。

案外こう見えて恥ずかしい大学に進学とか?

……お前マジ、いい加減にしなさいよ。

今江先輩はそんな間の抜けた顔はしない! してももっとかっこいい背景を携えてくるでしょうが! っていうか優ちゃんにもちょっと失礼だし。

でもそんな失礼千万な想像の中でも、今江先輩の学力は「主席」なんですね。もこっちなりの譲れない部分というものを感じたような気がしなくもない……いや、やっぱ失礼でしょ。

さて、話は変わって世間話。

やっぱり車の運転は校則違反なんですね。まあバイクが違反なら車も違反でしょうけれど……そんな違反を知った上での吉田さんの落ち着き払った態度、素敵です。この人、悪い事を悪びれずにやるのにかっこいいのずるいんですよね。いや、決して良い事ではないんですけれどね。それで一回停学になってるわけですし。結局懲りてないってだけの話ですからね。

でもそんな「懲りなさ」も吉田さんの魅力です。天丼ネタに便利なキャラですね。

・イラっとする今江先輩

麗奈……不良だからってやっていい事と悪い事があるの分からないの?

この人、絶妙に空気読めないから怖いんですよね。いつも吉田さんに殴られて突っ込まれてるからトントンみたいな感じですけれど、非常にアンタッチャブルです。善人だらけの「わたモテ」において、爆弾抱えてる人物の一人だと思います。こういうキャラも大事っちゃ大事ですが……

その矛先を今江先輩に向けるのは許されざる事です。温厚な今江先輩をイラつかせるほど下ネタぶつけるのはやめて頂きたい。ただでさえ現在今江先輩は下ネタ要因になりかかっている危険な状況に立たされているというのに。その後のコマで杏奈さん達と悪だくみをしているのも合わせて、なんだかんだ彼女らが不良である事を思い出させられます。悪意のある悪戯はやめてほしいものです。麗奈登場時の「間」が上手い具合に笑いになってギャグとして成立しているからよいものの……

・過去の話について

もこっちは今江先輩に、一年時の文化祭についての事を訊ねませんでした。

あの時もこっちは今江先輩と知り合って、着ぐるみごしに抱擁を受けています。それが卒業式で重要なファクターとなったわけですが……

あの時の着ぐるみの中身はやっぱり……

そんな疑問を、もこっちは胸にしまい込みました。言葉にしない事の美しさは、それこそ言葉では語りつくせません。

あるいはここで何も口にしない事で、このエピソードはもう一度、この漫画の中で生きてくるのかもしれません。メタ的な話ですが、ここで二人が二年前の話をしなかった事は、非常に重要かもしれません。覚えておきましょう。

・今年の文化祭の話

クラスの出し物の映画の話は、ネモと約束した事でした。半分くらいは先の話題をごまかすための方便のような会話ですが、もこっちなりにネモの提案を真面目に受け取っている事が分かって嬉しいですね。

そして何より、その話を聞いた今江先輩。

「なんか嬉しくなっちゃって……」

……

…………

……………………

天使か!!!!!!!!!


可憐過ぎる横顔に、目が焼かれそうになりました。こんな無邪気な笑みを浮かべて素直に後輩の成長を喜べる先輩が存在する尊さに胸を打たれた気分です。この一コマだけでも、今江先輩の行く末を案じ続けた三週間の甲斐があったというものです。今江先輩の新たな一面を垣間見た気がします。もう明日死んでも悔いはないです。

・二木さんについて

麗奈といい、何でこの人達は交互に会話に割り込んでくるのか。

そして何でそれに対して絶妙な「間」があるのか。

無言のコマって、前後の状況次第で笑いになるんですよね。シュールさって、大事なギャグの一要素だと思います。

さて、動画編集に詳しい二木さんがスマホを使って映画撮影についてのレクチャー。グラサンを外して皆でスマホを取り囲みます。

……いや、麗奈も外せよ!

なんでお前だけ頑なにグラサンつけっぱなんだよ!

いや、外したら外したで顔に影が差すだけなんでしょうけれども。なんとなく釈然としなくて笑えした。

・吉田さんの進路について

スマホを囲んで騒ぐ皆を遠くから眺める吉田さんと今江先輩。吉田さんが唐突に零した言葉は、真子やヤンキーグループ、もこっちらには口にしなかった類の弱音です。吉田さんが今江先輩に気を許しているからこその言葉だと思うと、非常にエモーショナルを感じます。

やりたい事がない吉田さん。

今が続けばいいと思う保守的な思考に、今江先輩が同調します。

そうですよね。

ネモみたいに高校生のうちから自分の夢が決まっている人間なんてごく少数だと思います。ほとんどの人が唯々諾々と社会のルールに則って無思慮に学生生活を過ごし、大学でようやくやりたい事を見つけるものでしょう。

吉田さんも今江先輩も、まだやりたい事を探している途中なのです。

今江先輩はそれを恥ずべき事だと思わず、むしろ誇らしげに語ります。やりたい事がなくとも、今江先輩には今江先輩なりの矜持があるように思えてすごく深い会話だと思います。

そして今江先輩。ただ楽しかったというだけではなく、「色んな人に出会えて色んなものをもらえて楽しかった」と語る辺り、最高に今江先輩らしいです。人間関係や思い出を「物」と表現し、取得するという考え方は社交的で思いやりのある今江先輩だからこその言葉です。美しすぎて灰になりそう。

そんな今江先輩の言葉はしかし、彼女自身がすごく高い理想や崇高な理念を持ち合わせているわけではない事を表現しています。等身大の、当たり前の人間の姿の現実感に、吉田さんは救われるわけです。

今江先輩は聖人ですが、決して超人ではありません。普通の人……当たり前ですよね。

そんな二人をフレームに収めるもこっち。きっと二人とも、すごく良い表情をしていたのでしょう。それを嗅ぎつけるとはもこっち、何気にカメラマンの才能がありそうです。

・オチ

麗奈いい加減にせえよ!!!

最終的に下ネタに持ってくるこの強引さ、嫌いじゃないんですが……今江先輩が不憫でなりません。この人、何にも悪い事してないのに……

で、殴られる麗奈。ナイス吉田さん。

巻き添えでもこっちも殴る辺り、吉田さんにとっての今江先輩の大きさが読み取れます。まあさすがにもこっちは可哀想ですが……吉田さんの心情を慮ると仕方なしといったところです。

スマホ画面のENDの文字とともに寄せる波で終幕。直前の下ネタなんてなかったかのような爽やかな終わり方に困惑です。

総評

今江先輩回という事で、今回は綺麗な描写が多かったと思います。反面、下ネタもしっかり効いていて、いつものわたモテでした。

ギャグとして面白かった部分以上に今江先輩ともこっち、吉田さんとの関係がすさまじく綺麗で素晴らしかったです。

今江先輩の明日は……ちょっとまだ分かりません。下ネタ枠だけは勘弁してほしいと願っています。

喪182の満足度:100/100

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