感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪187」
本日は「わたモテ」の更新日です!!!
今回も非常に面白かったので、語りたいと思います。
・前回の感想
感想記事をリンクします。
以下、最新話のネタバレ注意!
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モテないし他人のことは知らない
開幕で扉絵というのはなんだか珍しいですね。
映っているのは豚餌さんこと三家の彼氏かっくんとキバ子、そして二木さん・
……
なるほど。
二木さん回だと読み取れます。実際そうなのですが。
・一週間前
「わたモテ」でこうして時系列が前後するのは珍しい事です。それはひとえに、この物語のほとんどがもこっちの一人称視点のお話だからです。例外は10巻の「モテないし弟はサッカーやってる」での智貴単独回、15巻の「特別編8」でのネモ単独回、16巻の「モテないし謹慎するってよ」でのもこっち不在回くらいでしょうか。いずれも非常に変則的な回でしたが……どうやら今回もその類のようです。
今回の主役は……まさかのキバ子。
この現実を、一体誰が予想できたでしょうか。予想外過ぎて面白いです。
・つぐちゃん
三家さんが委員長の事をそう呼んでいました。
2年生編の初期くらいから登場していたネモ並の古参キャラクターであり、これまで幾度と無く登場していながら、未だにもこっちとろくに絡みが無いがために名前が判明しなかった委員長、あだ名ではありますがついに情報が開示されました。
彼女も今後、物語に絡むのでしょうか。非常に特殊な立ち位置なので、何とも言えませんが……
ちなみに委員長、クラスが変わってしばらく一緒にいる気配が無かった三家さんと夏休み中「ほぼ会ってた」そうです。情に薄そうな性格っぽかった委員長ですが、クラスが変わっても三家さんと友達関係を継続させていたようです。
委員長も三家さんもクラス内で孤立している様子はなく、それぞれ別に友達がいる風ですが、それはそれとして以前からの友人も大切にしているのですね。当たり前の事かもしれませんが、微笑ましいです。
今回のメインであるキバ子とは対照的ですね。こういう対比、好きです。
・今日から学校か…
キバ子目線の学校は実に淡泊です。加藤さんによって劇的ビフォーアフターを遂げた覚醒伊藤さんも、いつもの4人で集まるもこっち達も、キバ子にとっては無関心の対象のようです。
キバ子が孤立しているのがよく分かります。敵対しているゆりや見下しているもこっちは元より、クラスマッチで苦手意識を植え付けられた小宮山さんや小宮山さん信者の伊藤さん、見るからにヤンキーっぽい吉田さんなどに絡みに行くのは無理ですよね。
かといって岡田さんや加藤さんとは遠足時に軋轢がありますし(キバ子側が一方的に気にしているだけのようですが)、これまで挙がった人物と一緒にいる事が多いネモの相手も駄目。
そうなるとキバ子にはもうほとんど選択肢が無い事になります。唯一の例外は、元々友達で、かつ誰にでも優しいまこっちなのですが……
誰にでも優しいがゆえに、まこっちはいつもキバ子と一緒にいてくれるわけではありません。基本的に押しに弱くフラットな存在である彼女は、キバ子の相手と同じくらいゆりの相手もしています。
しかもその上……
・吉田さんの夏休み楽しそうだねバイトして免許とって友達とドライブして私達は乗ってないけどねえゆり
……
ひえっ……
現在の時間軸ではその辺りのイベントは終わったかのような雰囲気だったので油断していましたが、当然そうなりますよね。
っていうかまこっち重いです。重すぎて笑います。
先程まこっちを指してフラットだと言いましたが、吉田さん相手は例外ですね。遠足以来まこっちは吉田さんに対して強めに好意を抱いているようで、最近は特にそれが目立ちます。うっちーや雫ちゃんがもこっちに向ける好意と違って、まこっちのはなんだかパワーが高い感じなんですよね。
まあ、ガチレズさんですからね。嘘から出た誠という事で。
ともあれそういうわけで、まこっちは現在キバ子よりゆりより、に吉田さんにお熱のようです。ますますキバ子の孤独感が浮き彫りになるというものです。
そんなキバ子にも、昔は友人がいました。
・小陽ちゃん体育でしょ
これね。
「間に合うの?」からあふれ出す見下した空気。キバ子を含めた彼女達だけ、わたモテ世界の中でもかなり異質な雰囲気を纏っています。
キバ子の友人、サチとノリです。基本的にサチ・ノリ・マキ三人一セットで動いている上、三人ともろくに顔が映らないのでこれまで彼女達を一人ずつ分割して考える事はしませんでしたが……今回からそういうわけにはいかなそうなので、きちんと区別します。
雫ちゃんに似たセミロングの髪型がサチ、似てないのに何故かちん子ちゃんっぽい顔つきなのがノリで、ここにいない彼氏持ちの金髪(?)がマキですね。
クラス替えでキバ子だけ別クラスになって孤立しているのをいい事に、見下しまくっているサチ・ノリ・マキですが、三人だけ仲が良いというわけでもないらしく、マキがいない場所で彼女の悪口を言って盛り上がる等、非常に陰湿なグループですね。
もうなんか、口の形が邪悪なんですよね。愛嬌があるだけ、キバ子がましに見えます。
そんな邪悪極まりない人間関係すら、クラス外の事。本格的に孤立し始めたキバ子は、クラス内に目を向け始めます。
・二木さん
フットサルだ活躍する二木さん、かっこよ!
もうなんというか、全身のフォームが美しいです。ボールをシュートしているワンシーンだけ取っても、無駄の無い精練された動きが表現されたような身体の使い方、素敵です。手前の棒立ちキーパーさんとの対比が素晴らしいです。
っていうかゆりはキーパー向いてないでしょう。精密動作性Eなんですから。パワーで叩き落す回想シーン、二木さんに対抗するように躍動感あるフォームで笑います。ゆりって別段体格に恵まれているわけでもないのに、どうしてこんなにパワータイプなのがしっくりくるんでしょうね。不思議でなりません。
っていうかもこっちとゆりで自責点11って、えぐい負け方してますね。岡田さんと二木さんが敵チームですし、妥当かもしれませんが。
まあそれは本筋ではないので置いておくとして。
・よかったら食べて
……
ひえっ……
いえ、違うんです。三家さんすごくいい人です。
ただ豚の餌がね……
もう三家さんってこのネタ一つでギャグやってるキャラなんですよね。
まこっちと違って誰にでも優しいところが美点である三家さんは代償に料理の腕がとち狂ってます。元を辿ればもこっちのせいですが……最近の被害は、彼氏ことかっくん――ついに快くんという名前が判明しましたが――とキバ子に集約されています。合法的にキバ子に制裁を加えられる三家さんの豚の餌、良い舞台装置です。ぶただけに。
もはや味覚が機能していなそうな快くんも大概ですが、露骨な逃げ口上を用意したにも拘わらず逃げ場を失ったキバ子の死亡確定顔、大好きです。
・お昼のローテーション
案の定大ダメージを負ったキバ子と、そんなキバ子を見て面白がるいつもの三人……
いえ、違います。よく見るとサチだけ面白がっていません。咎めているような、まるでキバ子の身を案じているかのような口の形です。さりげなくキバ子に向かって手を伸ばしていますし……どうやらこの辺りから、キバ子に対するスタンスがノリやマキと異なる事が見えてきました。
17巻の「モテないし夏」を見る限り、サチもノリやマキと同じく内心でキバ子を思いっきり見下しており、そのスタンスは共通です。が、18巻の「特別編10」辺りから、一方で悪口ばかりのキバ子を良い話し相手としているのも見られます。
悪口ばかりなのはノリもマキも同じなので、キバ子だけ特別重宝しているわけではないと思ったのですが……
・席替え
うざ…!!
このふてぶてしさ、キバ子ですよね。一周回って好きです。
さて、席替えを期に動くキバ子。ターゲットは先に話題に出た二木さんです。
「ねぇ! 一人でしょ? 一緒に食べない?」
ここだけ見ると、すごくいい人みたいに見えるから不思議です。実際は下心満載だというのに……
・吉田さんと黒木さん
ちょっと今回の本筋と違いますが、わざわざこの二人に言及しているのは珍しく思えます。ここでのゆりとまこっちの会話は、二人がいても特に問題無く成立するはずです。であればこれは、次回以降の布石ですね。
吉田さんともこっちは仲が良いので二人で何かしているというのは特に不思議ではありませんが、お昼休みに一体どういう用事で席を外すというのでしょうか。
・他のクラスに友達いないの?
……
キバ子さあ……
どうしてこの後に及んでマウントを取ろうとするのでしょう。しかもご丁寧に「クラスに友達いないの?」ではないあたり、自分にはサチノリマキがいるからという保険を掛けた発言……邪悪です。
ですが二木さん、そんな邪悪さなんて気にも留めていないようです。さすがは二木さん。
この問いに対して「いる」と答えた二木さんの心情はいずこ……
最近仲良くなった別クラスのヤンキー二人に思いを馳せているのだとしたら、それはとても素敵だと思います。
・完全食
……そういうのもあるんですね。初めて知りました。
Amazonだと16個セットで3980円……一個あたり200円ちょっとですか。どうやらこれ2個で一日に必要な栄養の1/3を取れるのだとか。
であれば一食2個食べるとして、お昼ご飯の単価としては500円近く。やや割高ですね。美味しいなら食べてみたいですが……
しかし食べてる二木さん、滅茶苦茶可愛いですね。以前サイゼリアに行った時、もこっちが何か言ってましたが……「金魚王国の崩壊」のパロディーですね。あっちはあっちですごく面白いのですが……それはまた別のタイミングで語ります。
・何? トイレ?
食べ終わるや否や、マイペースに席を立つ二木さん。自由ですね。
関係無いですが、キバ子は顔の上に集中線を生やすのやめて下さい。小宮山さん大好きドン引きガールを連想しちゃいます。
・何コイツ?
驚きすぎて、キバ子の罵倒の語彙が死んでます。
二木さんはストイックなだけですが、傍から見ると普通に変人ですしね。智貴も3-5を訪れた時、教室の後ろで一人ストレッチに勤しむその姿に驚いていました。
そしてそんな二木さんを見てキバ子が思い出すのは、昔の話。制服が今と違うところから見て、中学生の頃の事でしょう。少なくともゆり、まこっち、サチが同じ中学出身という事が判明したのはなかなか不可思議です。
だってこの時点でキバ子はゆりに悪印象を抱いているはずなのに、高校一年時点で二人はしばらく同じグループにいたわけですからね。キバ子、意外と周囲に流されがちなんですかね?
・今は……?
昔はマイペースで空気を読まない相手が嫌いだったキバ子。でも今はそうではないようです。
そう思えるようになったのは、自分自身が孤立した事でマイペースな人間の気持ちが分かったから……とかですかね。
そうなるとクラス分けの采配はとてつもなく有能ですね。
さて、そんな二木さんを見たキバ子。心情に変化が訪れているようです。
・小陽ちゃんは? あれ?
サチノリと下校中のキバ子はその際に二木さんを見かけ、一人で彼女を追いました。
一人で。
グループの輪から誰にも言わずに勝手に抜けるのは、マイペースな人間がやる事です。キバ子自身、過去のゆりが同様の事をした際に悪印象を抱いたのを思い出したばかりなので、意図的でしょう。
・マジでアイツどこ行った?
サチの口元が笑っていません。
「アイツ」というきつい言い方も、「いやマジで!」と執拗に消えたキバ子を執着する様子も、普通ではありません。ノリも「……」と困惑気味です。キバ子に対する二人のスタンスに、明確な違いが現れました。
・部活仲間
そういえば二木さん、遠足や移動時の廊下なんかで、男子に囲まれていましたね。あれは部活仲間だったんですね。
ゲームが好きな男子は多いです。ならばプロゲーマー志望の彼女が男子に囲まれるのは自然です。雫ちゃんと違って侍らせてる感じが無くて、好感が持てます。
「入りたい?」
「いや全然」
「……」
勧誘失敗する二木さん、可愛い!
・?
……
ひえっ……
一話で三回も戦慄させられるとは思いませんでした。
まこっちの圧とも三家さんの圧とも違う、陰湿な圧を感じます。
キバ子に対する歪んだ独占欲が、サチにはあるようです。
未だに顔が見えないのが惜しいほどに強烈なキャラ付けがされたものです。次回が非常に気になります。
総評
今回、ページ数が多いだけ会って非常にインパクトのある回でした。キバ子と二木さんのコンビが生み出す不協和音が、これまで薄かったサチノリマキを目立たせます。委員長やかっくんのパーソナリティーも一部開示され、いよいよ総力戦といった様相を呈してきたわたモテ……
最高に面白かったです。
喪187の満足度:100/100
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