感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪191」
本日、わたモテ更新日です。
面白かったので語ります。
・前回の感想
感想記事をリンクします。
以下、最新話のネタバレ注意!
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喪191 モテないし繰り返す
扉絵は一年時のキバコグループですね。
こう見るとゆり真子は随分現在と違いますね。一瞬ゆうちゃんと伊藤さんかと見間違えそうになりました。
対するキバ子とサチはあまり変わっていなさそうです。
この違いはどうにも暗示的ですね。
・いなかった……
出キバ子……今回もキバ子回ですね。
前回で綺麗に〆られたと思いましたが、どうやらまだ続くようです。
とはいえキバ子の周りで起こった出来事の中で、取り返しのつく問題はもうたった一つしかありません。裏で行われると思われたそれが今回描写されるという事は、今度こそ最後のキバ子回という事になるのでしょう。
さてキバ子、誰かに会いに3-4を訪れます。前回二木さんと話した通り、彼女を嗤いに来たようです。進級以来身の振り方に頭を抱えていたキバ子も、ここにきてようやく精神的な余裕が生まれたという事でしょう。
・マキ……
……
ですよねえ。
マキはノリほどではないにしろ、キバ子グループの一員である事に違和感が無い程度には性悪ですし、無視されるのは想定の範疇です。
そもそもグループ崩壊のきっかけがキバ子のマキの彼氏に対する悪口ですし、それはマキにとっては理不尽な誹謗中傷なわけで(どの口が言えるかという話は置いておくとして)、ノリ以上にキバ子との仲が絶望的であって然るべきです。
とはいえ、無視されて動じないほどキバ子のメンタルは強くありません。
キバ子はキバ子なりに前のグループの事を大事に思っていたようですし、ショックは軽くないでしょう。
グループ崩壊の現実を目の当たりにして、一度は牙の折れたキバ子ですが……
・何か用あるの?
……
うっちー!!!!!
うっちーじゃないですか!!!
「ぼっち」という共通認識が広まりつつあるキバ子に対して声をかける優しさ、素敵です。
しかもうっちーとキバ子は、以前もこっちの悪口を境に対立関係にありました。ギャグで流されてはいたものの、面と向かってクラス出禁を言い渡されるほどに、その溝は深かったはずです。
それを本心か優しさからか「忘れた」と言って水に流す寛容さ、素晴らしいです。
しかも前後のコマを見る限り、うっちーは他に用事があるわけでもないのに食事中わざわざ席を立って、キバ子に話しかけています。
キバ子本人には「どうでもいいから話しかけただけ」と言っています。実際そうなのでしょう。うっちーにはキバ子を好意的に見る理由が何一つ無いわけですから。
それでも手を差し伸べたというのは、紛れもなくうっちー自身の人の良さの表れでしょう。
どうでもいい相手でも困っていたら手を止めて助ける……これがもこっちが全く絡まない時の、本来のうっちーなのでしょう。
そりゃ友人に慕われます。
キバ子とうっちーの人望は、遠足で露骨に対比されていました。サチ達に「ついて来てもいいよ」と上から目線の声を掛けられたキバ子と、凪さん達に「うっちー一緒じゃないとつまんないよ」と微笑みかけられるうっちー。
あの頃のキバ子は、紛う事無く邪悪でした。
しかし今のキバ子は……
・助かったかも
キバ子が誰かにお礼を言うようになったのはしばらく前からですが、ここのうっちーとの一連の会話はさらにキバ子の成長が垣間見え、もはや10話前の名残すら無いように思えてしまいます。
以前のキバ子は悪口を優先する事が行き過ぎて、まともな会話をしている姿が想像できませんでした。
悪口を言う事で会話の流れが全て絶たれ、残るのは子どもっぽい愚痴と悪意に満ちた雰囲気だけ。キバ子や他のキバ子グループの面々がろくな会話をしないのは、「特別編」にて示唆されていました。
けれどもうキバ子はあの頃のキバ子ではないのですね。
・サチ…
さて成長したキバ子がついに、ラスボスと対峙するようです。
サチがいたのは、以前二木さんに姿を見られたその場所。かつてもこっちや智貴がぼっち御用達の場所として使用していたところですね。
サチの言い分だと、二木さんに姿を見られたのは承知済みで、さらにその事がキバ子の耳に入る事も想定していたようです。
ならばキバ子と顔を合わせまいと、別の場所にテリトリーを構えるのが普通でしょう。実際キバ子もそう考えていたわけですし。
しかしそうはせず、二木さんに知られたその場所を利用し続けているという事は、もしかするとサチはキバ子ともう一度話がしたかったのではないでしょうか。口では刺々しく拒絶しつつも、本心ではほんの少しだけ、キバ子の来訪を期待していたのではないでしょうか。もちろん愛憎混じり合った複雑な感情の上ではあるでしょうけれど、そう思えてなりません。
・一緒にご飯食べない?
キバ子から歩み寄ったのはもちろん成長の証として重要ですが、個人的にはこのセリフの前の「ノリもマキもいないけど」という文句の方が重要だと思いました。
キバ子はもうノリとマキとの関係が修復不可能なものだと認識しています。彼女らの事を悪い親友だと認識しつつも、はっきりと見切りを付けています。
しかしその中でサチだけはまだ諦めていないようです。
つまり、キバ子の中でノリ・マキとサチが明確に線引きされているのです。もちろん「サチが自分の事を無視しなかった」という事実がキバ子の背中を押しているというのはあるでしょう。けれどそれとは別に、グループ崩壊後のサチとの会話から、あの二人とは異なる価値観を見出したというのは全く無いとは言い切れないのではないでしょうか。
キバ子はまだ、サチとの仲が取り返しがつくものだと信じています。
・でもいいや
「小陽ちゃんにだけは同情されたくないし」
このセリフとともに、もう二度と見られないと思っていたサチの顔が浮かび上がります。
サチの顔が現れるのは、彼女の心情に強い影響があった時と読んで間違いないでしょう。サチはこの時、間違いなくそれまでとは別の感情を持っていたはずです。
・私の中ではこの前のでスッキリしてるから
サチのこのセリフは、紛れもなく真実でしょう。サチはあのグループ崩壊ので全てを捨てる気だったと思います。
けれどその後の「小陽ちゃんとかもういいかな」というセリフは、嘘だと思います。執着というものは、そう簡単に捨てられないものです。
それは何より、この場で会話が成立しているという事実が物語っています。
・小陽ちゃんが下じゃないと嫌
ここから始まる怒涛のマウント合戦、大好きです。
面と向かって悪口を言い合うというのは、もこっちと小宮山さんの関係に近しいものを感じます。そしてそんなもこっちと小宮山さんとの関係が邪悪なものであるかと問われると、首を縦に振るわけにはいきません。
陰口は最低です。
が、面と向かって相手からの反撃を受ける事を覚悟した上での悪口ならば、まあ落第点でしょう。
このマウント合戦をもってして、キバ子とサチとの仲は、そういう関係に昇華されたのだと言えましょう。
・一応対等って感じじゃん
キバ子のこのセリフをもって、サチの堅固な態度が陥落しました。
「小陽ちゃんが下じゃないと嫌」というこのセリフと矛盾しています。
会話の中で、サチはその考えを撤回したのでしょう。
下じゃなくてもいい……と。
見下すだけよりも魅力的な関係を見出したという事でしょう。
・あの娘とか絶対連れて来ないでね
サチは別段、キバ子以外の他の誰もを拒絶しているわけではありません。ただ、これまで見下していた二木さんやオタク仲間を拒絶しているだけです。これはキバ子が当初オタク達に負い目を感じていたのと同様に、一度見下した相手と仲良く出来ないという考え方に基づくものでしょう。であれば特段排他的だと表現するほどの潔癖さではないでしょう。
少なくともキバ子を独占したいと考えているわけではないようで、いくらか健全ですね。
・映画どうする?
主人公来ましたね。
おそらくこれでキバ子編が終わりでしょうけれど、もこっちサイドの進展も地味に気になります。どうやら文化祭の準備はかなり滞っているようです。間違いなく一波乱ありそうな雰囲気で、徐々にネモの圧迫も強くなってきています。
ここまでずっと、ネモが釘を差すだけの役に徹しているのもちょっと気になります。敢えて手伝わず、もこっちのやる気の有無を測っているのでしょうか。
ネモはやや強引にもこっちを自分の夢と近しい道に引き込んでいます。対するもこっちはネモが提示した「ラノベ作家」という夢に対して、やや受動的というか冷めた態度を取っています。ネモはそのギャップを不安に思っているのではないでしょうか。であればこの二人の間でも、何かしらの仲裁が必要な気がします。
・二木なら多分
映画のために二木さんを探すもこっち達に、キバ子が声を掛けました。
岡田さん等の、キバ子にとっての恐怖の対象がその場にいないとはいえ、まこっち以外苦手な相手だらけの場でわざわざ自分の利にならない事のために声を掛けるというのは、これまで絶対になかった事です。
まこっちがそんなキバ子の成長に嬉しそうな表情を浮かべていたのが印象的でした。
総評
……
キバ子編、今度こそ綺麗に終わりました。
全編通して強く心が揺さぶられる内容で、しかも感動しました。
さて、おそらく次回はもこっちサイドのお話でしょうね。
不穏な文化祭の準備回……楽しみです。
喪191の満足度:100/100
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