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11月25日は憂国忌

1970年のこの日は、三島事件の日です。

小説家である三島由紀夫が東部方面総監部を襲撃したという衝撃的な事件です。最終的に彼はその場で割腹自殺し、その生涯を終えています。

戦後の日本の状況を憂いて起こした事件という事で、彼自身の著作である「憂国」にちなみ、この日は憂国忌と呼ばれているそうです。

作家や芸術家は個性的で我が強い人が多いと聞きますが、三島由紀夫もその一人と言えましょう。世界的な著作を生み出し、名声を手にしながら、自ら壮絶な死を選ぶという生き方は良くも悪くも印象的です。

三島由紀夫に限らず、戦前生まれの有名な作家は自殺者が多いように感じられます。太宰治然り、夢野久作然り……そういう作家に限って情景描写や心情描写が特別秀逸なような気がして、なんだか少し複雑です。

しかし著名作家に自殺者が多いとはいえ、著名作家がいずれも自殺しているわけではありません。むしろ自殺者だからこそそのエピソードが有名になっているので殊更話題に上がりやすいというだけで、自殺しない作家が凡百というわけでは決してありません。

けれどエピソードが有名だからこそその最期にエキセントリックさや話題性を見出され、その結果そういう表向きの面そのものが、しばしば作家としての資質として語られたりします。

ともすれば不謹慎なお話になりかねないのであまり深く語る事はしませんが、そういう風潮や印象に流されないよう気を付けましょう。

なんだか何が言いたいのか分からない記事になってしまいましたが……とりあえず自我はしっかり持つようにしましょう。

さて、三島由紀夫といえばこの小説です。

「仮面の告白」は三島由紀夫自身のパーソナリティーが赤裸々に語られた純文学です。

有り体に言うと、同性愛がテーマになっています。男性が男性に対して恋愛感情ないしは劣情を感じる事への葛藤を描いた名作で、非常に趣深いです。

個人的な話になりますが、わたしは純文学というものを読むのが苦手です。純文学は基本的に「何を書いてもいい」みたいな感じなので明確な起承転結が描かれないパターンが多く、だからこそ冗長さを感じられたり退屈したりして、読書に集中できない事が多いのです。

が、同じく起承転結に乏しい「仮面の告白」はすんなり読めました。それだけ文章が美しく、卓越しているからです。

文学として、非常に高度な一冊だと思います。

そういうわけで、明日は憂国忌。三島由紀夫作品を読みましょう。

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